第2章 その3 その程度なら大丈夫
森の中をドゥバードの馬車が疾走していく。一応、ドゥバードって鳥だから鳥車って言うのが正解なのだが、元々が馬車なので馬車で行こう。もう気にせん。
2ハウル(2時間)程経っただろうか、少し開けた場所に出てきた。ロドル達の速足が緩やかになる。オズが言うにはいつもこの辺りで休憩を入れる場所なのだそうだ。ロドルとペルニーも疲れているのか、息が少し上がっている。
「父様、この辺りに水場はないの?」
「あぁ、そっちの方へ100メルも歩けば、小川が流れている」
よし、私が水汲みに行ってくるかと思ったら、エミーに肩を掴まれた。
「アルフ、大丈夫。ロドルは知っているから」
どう言う事だと思って見ていたら、オズがロドルとペルニーを馬車から外していた。外れるとロドルは「クァ!」と一言発すると小川のある方へ駆けていく。ペルニーも付いていった。
「ロドルも此処を何度も通っているから。ペルニーに教えてあげてるのよ」
成る程。勝手知ったる場所なわけだ。私達も休憩とその辺りの石に腰掛け、ウエストバックから魔法瓶を取り出した。
以前、魔法鞄の性能実証の為、生物や水などの鮮度がどうなるのか実験をしてみた。だが鮮度は鞄に入れた時と変わらずに保たれていた。植物以外の生物は入れる事が出来なかった。そして容量の限界はウエストバックは母エミーが持つ鞄と同じ500キグル位まで入り、バックパックは分からなかった。ので、詳細解析して見たが、許容量が【♾】になっていた。無限に入るってことか…怖ろしい加護だよ。閑話休題。
んで水を飲んで、人心地付いていると魔力感知が反応。地図を見ると…周囲に…27もの敵性生物反応。
オズ、エミーも気付いたのか武器に手を伸ばす。
光点の殆どに、ゴブリンの文字が。そしてひとつだけゴブリンリーダーの文字。この位なら…。
「アルフ、警戒しなさい。大量のゴブリンが来るわよ?」
「うん、27体だね。私だけでイケると思うよ」
そう返しながら、私の周囲に『光の針』を何本も出現させていく。総数32本。オズとエミーが冷や汗をかきながら、尋ねてきた。
「「アルフ?」」
「…父様、母様、動かないでね。んじゃ発射!」
全ての『光の針』が森の彼方此方に飛んでゴブリンを撃破していく。ゴブリンリーダーには5本もあれば充分でしょ。
どうやら断末魔の声も、殆ど挙げる事もなく全て倒した様だ。眼に映る敵性反応の光点が全て消えたから間違いない。
うん、やっぱりオリジナルの『光の針』は使い勝手が良い。最初の頃は魔力を5も使っていたのが、今では1で済む。それもある程度のホーミング機能も付けられた。威力も雑魚程度なら一撃で仕留める事が容易くなってしまった。レベル上げたせいかな。閑話休題。
「…ア、アルフー。今のってー…」
「うん、光の針って魔法だよ。前にも何度か見てるよね」
「其れにしては、数が尋常じゃないが…」
エミーは驚き過ぎて、棒読みになっている。オズには尋常じゃないって言われたけど…。
「え?その程度なら大丈夫。魔力も半分くらいしか使ってないし。まぁ、本数は限界だけど」
普段なら、駆け寄って抱き締めて来るエミーも、冷や汗をかきながら未だ固まったまま。オズが冷や汗を拭って言ってきた。
「…アルフ、それは魔法士では無理だ。魔導師でもその数は無理かも知れない」
…え?…そうなの?…でも…並列思考使えば…あ!並列思考って私しか持ってないか。コレは…。
「…やりすぎちゃった?」
「「あれはやりすぎだ!(わ!)」」
あ、あはは。流石にやりすぎなのね。これからは自重しよう。よし気分を変えて、ゴブリンの核である魔石と使えそうな装備品を回収に行こう…いや逃げよう。
「んじゃちょっと回収に行ってくるね〜」
「あ!こら!待ちなさい」
三十六計逃げるに如かず。時間空けば、落ち着くだろう。たぶん…。
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