第2章 その1 その月狼は旅立つ
第2章、始まります。拙筆ですが、今後とも宜しくお願いします。ちょい長めです。
2019/02/12誤字脱字報告 ルナマリアの『月影流双刃術 LⅤ (※レベルを3から5に上げた為SP値24消費)』の部分、「挙げた」と間違っておりました。教えて頂き、ありがとう御座います。
あと10日ほどで10歳になる日の事だ。
朝の日課となっている『朝の体操』をルナマリアと一緒にこなしている最中だった。急にルナマリアは動きを止めて、家から北東方向の…トムレ山がある方へ、ちょっと呆けた様な顔を向けている。
『どうしたの?ルナマリア』
念話で話しかけてみるが、返事がない。体操の深呼吸まで終えてから、トムレ山を見てみるが特に異常はなさそうだ。改めてどうしたのか、聞こうとすると…
『…たぶ、ん〜なんだけど…呼ばれてる気がする…』
呼ばれているって…どういう状況なんだ?トムレ山の方を向いて、無駄とは思いつつも詳細解析をしてみる。【トムレ山 標高3276メル 月狼の祠】と情報が出て来た。薄っすら目に映る地図にも、トムレ山と書かれている部分の近くに『月狼の祠』が新たに表示された。以前も同じ様に見た事があったが、その時には表示されなかった。これはイベント?
『あのさ、アルフさんも、もうすぐ『登録の儀』を受けに街へ行くでしょ?たぶん同じかも…』
月狼にも登録の儀ってあるんだろうか?でも『月狼の祠』って表示が出たって事は、あるのかもしれない。ふと気になって、ルナマリアにも詳細解析で改めて見てみると…
名前 ルナマリア
年齢 9歳
種族 ムーンウルフ
職業 幻獣
レベル 19
体力 66/66
魔力 11/11
筋力 40
知力 17
魅力 17(首輪+1)
器用度 19
敏捷性 42
SP値 14
才能
月影流双刃術 LⅤ (※レベルを3から5に上げた為SP値24消費)
森林歩法術 LⅡ 料理 LⅠ
祝福
月狼の運命
は?…『なんば新しか祝福、貰っとん!』と思わずルナマリアにツッコんでしまった。
『貰っとんって言われても…こんなんいつ貰ったんだろ?』
私に聞かれても知らんがな!って又もツッコみそうになるのを堪えて『月狼の運命』を詳細解析で見てみると…
月狼の運命
10歳を迎える月狼は、成人になる為の試練を受けなければならない。受ける為には、ひとりで月狼の祠まで行く事が大前提。もしも受けない場合は、死亡する。
二人して互いを見つめて…やがてルナマリアは、よく解っていない様に首を傾げて口を半開きになる。まぁ気持ちは分かる。私も半分くらい解っていないから。たぶんコレは月狼にとっての、外せない…成人の儀って事なんだろうな。
『ルナマリア、月狼の祠って処にひとりで行かなきゃ、死んじゃうって事だな』
『あ〜、うん。そだねー』
頭で理解は出来ていないが、本能的に行かなきゃいけないというのは分かっている様だ。返事は怠そうだが、顔付は何時の間にか引き締っている。一緒に行くのは出来なくても、準備くらいは良い筈だ。
『まぁ、行く為の準備くらいしようか』
『…え?…準備って、なにすんの?』
今、持っているのは、腰に付けていた小さいポーチの魔法鞄。ルナマリアの首にしている首輪に取付けてみる。ちょい緩いか。ベルト部分を調節して外れない様に固定する。よし、これで大丈夫だろう。そのポーチにルナマリアが使える様に許可を付与して完了だ。
『え?わたし、人の手じゃないから…』
『これまでの狩りとかで得た魔物の肉とか、ポーションとか入ってる。許可を付けたし、自由に取り出し出来るよ』
そう伝えるとルナマリアは、ものは試しと考えたのだろう。ポーションがポロッと出て来た。勿論、ポーチは閉まっている。片足で瓶の本体を抑えて蓋を噛んで引き抜けば、飲む(舐める)事も出来るだろう。
あ……
『コレ…戻す時、どうするん?』
『……戻せないか。使い切る感じでいこう。ポーションの空瓶とかはそのまま捨てて良いよ』
『…うん、わかった。ありがと、アルフさん』
『まぁ、気休め程度だし、気にしなくていい』
そう受け答えしながら、落ちたポーションを拾ってポーチに入れ直す。一応、6本入ってるから最低限って感じだけど。そうこうしてると、家に戻るのが遅いのを危惧したのか、エミーが家から出て来た。
「アルフ〜、朝御飯出来たけど、まだ遊んで…どうしたの?」
「うん、ルナマリアがね、旅立つんだって」
「???どういう事なの?」
「実は、斯く斯く然々…」
「月狼にも色々あるのね〜」と腕組みをしてウンウン唸っているエミー。本当に解っているのか不安に思っていると…
「人族でいう登録の儀とか職授の儀と、同じ様なもんでしょ?じゃ、行ってらっしゃいな。しっかり受けて帰ってくるのよ、ルナ」
ぶっきらぼうな言い方だが、エミーらしくもある言葉だ。ルナマリアも笑顔っぽい表情で「ウォン」と返してくる。どんな試練なのかは知る由もないが、とにかく生きて帰って来て欲しい。折角出来た最初の仲間なのだから。
『んじゃ、行ってくんね。なんか早よ来んかって言われてるみたいでさ…』
『ん、行ってきー。無事に帰って来な、いかんけんね』
思わず、元世界の方言が出てしまった。それを聞いたルナマリアは笑顔で返し、トムレ山の方へ森の中を駆けていった。出会った頃は私とそう変わらなかった大きさが、今では私を背中に乗せて走る事も平気でこなすサイズになっている。体長だけなら、2メルくらいあると思う。正直羨ましい。
寂しくはなるが、私も数日後には街に行く。そして『登録の儀』と『職授の儀』を済ませて、戻って来る。同じタイミングで帰って来たら、一緒にお祝いしようかね。
誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。
いきなり旅立つルナマリア。話の展開上、必要なのです。いずれ戻って来ます。それまで待ってあげて下さいませ。
次回も通常通り土曜日…ではなく、1時間後の19時更新予定です。




