第1章 その32 その脇で見ていた夫婦
書き始めてから半年過ぎました。中々思う通りに書けないジレンマを感じてるところです。
少し時間は遡る…
クレセントベアの肉って高級な食材なんだけど、調理が面倒なのよねぇ…と思っていると、オズが「俺がやるよ」って言って家事を手伝ってくれる。うん、ホント男前な旦那だよ。
リビングでは、アルフが拾ってきたムーンウルフに清浄の魔法を掛けている。アルフもこの歳で気遣い出来るなんて、ホント将来有望ね。まぁ、薄汚れてたのもあるのだろうけどね。
暫くして覗くと、ムーンウルフを撫でながら、寝てしまった様だ。初冒険だったし、魔力も使い果たしちゃったかな?考えてみると、アルフにはまだ早かったかもね。
「エミー、野菜を頼む。俺はクレセントベアを捌いて、ステーキとシチューにする」
「りょーかい。じゃあ葉物は千切ってお皿の上に敷くわ。根菜は適当な大きさに切って置くわね」
「頼む」
ハッキリ言って、料理に関しては私よりオズの方が上手い。クレセントベア特有の臭みを抜く為に香草を挟んだりするのだが、私がやっても余り抜けない事が多い。以前、アルフに離乳食として作ったシチューはお肉の臭みが取れていなかったのか余り食べて…いや、肉だけ残していた。私は臭いすら感じなかったのに。
後で余りのシチューを食べたオズが「若干(臭みが)するな。(子供だから)敏感なのだろう」と言っていた。
オズも憶えているのか、切り分けた肉にスパイスを念入りに振り、香草で挟んで包み込むようにして臭みを取る様だ。その手際がまた早い。ちょっと嫉妬するレベル。その様子に気付いたオズが…
「こんなのは慣れだ。回数こなせば、自然と出来る」
と言ってきた。上手くなるかしら?私、結構不器用なのだけど。
オズと会話しながらも、ポルタム(※馬鈴薯です)やキャルト(※人参です)の皮を剥き、適当な大きさに切り分ける。
「以前よりも上手くなってる」
うん、フォローしてくれてるのは分かるんだけれど、余り嬉しくない褒め言葉だわ。
そうして調理も終盤に差し掛かった時、アルフが起きた様だ。声掛けしようと思ってたら…あろう事か、あのムーンウルフがアルフに噛み付きやがった!
何ばしよっか、こん犬っころがぁ〜と腕捲りしてアルフ達の処へ行こうとすると、オズに羽交い締めされてしまった。いや、あの犬っころをね?って、オズを見ると「大丈夫。アルフは分かっている」って言ってきた。そうかもしれないけれど〜…
あ、あの犬っころ、反省したのか疵を舐め始めた。黴菌入ったらどうすんのよ〜と、オズの羽交い締めを振り解こうとしてると、アルフがサムズアップしてくる…。
はぁ〜、分かったわよ。私が折れれば良いのよね…アルフも大人な態度なんだし…う〜。
調理に戻ってからも、気になった。暫くしたら、急に泣き出したよあの犬っころ。なんなのよと見ると、アルフがあの犬っころ抱き締めてる。え?どういう事?
「多分、アルフが状況説明したんだ」
え?だって言葉通じないでしょ?どうやって…
そういえば、あの母親ムーンウルフにも話し掛けてたわね、あの子。もしかして『意思伝達』とか『念話』まで使えるの?アルフは本当に天才…いえ、多分英雄になるのかも。グランデ様は何も使命与えていないって言っていたけれど、もしかしたら…
アルフが英雄になったら、私は英雄を産んだ母親かぁ…
実家の分からず屋な家族の、驚く顔が見れると思ったら悪くない気分だわ。
誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。
お気付きの方もいるとは思いますが、九州北部の方言が偶に出てきます。決して誤植ではないので悪しからず。次回は来週の土曜日18時更新予定です。




