第1章 その23 その天上より、観察する女神達?
今回は、ナレーションがいます。誰ってツッコミは無しでお願いします(笑)。
ナレーション付きなので、神々の台詞の頭に頭文字を今回のみ入れます。
タ「ホンットにこの子、面白いわねぇ。想定以上で笑っちゃうわ」
80年代のブラウン管テレビを思わせる様なものを、食い入る様に見ている女性…ではなく男性。
此処は所謂、天界とも言われる場所。丸い卓袱台の様なテーブルの上にある、無骨な湯呑みを手に取りズズズっと入っている液体を飲む男性。
彼の名は『タウリア』。此処ソウルグランディアの神の一人である。ソウルグランディアでは、『武の女神』と言われて崇められている。何故、女神なのか。それは彼が女装好き…いやオカ…
タ「ちょっと誰よ!私の事をオカマって言おうとしてる奴はぁ?」
と、兎に角、女装している事やソウルグランディアでの生きとし生けるものに才能を作り与えた神である。その凛々しくも逞しい姿に、武の女神と誰かが言ったのでそれが後の世に広まったのだ。
タ「変ねぇ。今度は誰かに褒められてる気がするわ。なんなのかしらぁ?」
流石に神様だからと、ナレーションを感じ取らないで欲しいところなのだが…。
ル「おーす、タウリアちゃん。なんか面白い事でもあったん?」
タ「ん?ルシェールじゃない。デートは楽しかったぁ?」
片手を上げてやってきたのは、ルシェールと呼ばれた女神。ソウルグランディアでの生と死を掌る神だ。
ル「あの世界の神…名前忘れたわ。アイツ、サイアクでさ。自分の世界自慢ばっかで呆れて帰ってきたわ」
タ「あら、それは残念だったわねぇ。まぁ、ルシェールに合う神もどっかにいるわよぅ」
ル「…暫くはメンドイからいいわ。んでタウリアちゃんは何してんの?」
タ「あー…ちょ〜っと面白い子がいてねぇ。観察してたのよ」
そう言って、テレビの様なモノを指すタウリア。ルシェールはそれを覗き込み、納得がいく。
ル「あーこの子ねぇ、グランデちゃんがオキニの子なのよ。間違って自分の力のかけら、あげちゃうくらいだし」
タ「え?どういう事?」
ル「アタイが忙しくてさぁ。チョコっと仕事変わって貰ったワケ。んで転生者に間違って…」
タ「なーる…緊張しいだもんねぇ、グランデちゃん」
ル「この世界の主神なんだからさ、もっと堂々とすりゃ良いんだよ」
そう言って卓袱台の前に座り、何処から出したのか、手に持ったグラスに酒瓶から液体を注ぎ一気に煽る。
タ「まぁあ〜、本人も祝福の能力に薄々気付いてる様な感じだし…」
グ「お二人が揃うのは久し振りですね」
ル「を〜グランデちゃん。良いタイミングで来たね。まぁ、飲み飲み〜」
何処からか現れたグランデに全く慌てる様子もなく、卓袱台の上に新たなグラスを出したルシェールは歓待するべく酒瓶…ではなく葡萄水をなみなみと注ぎグランデ前に差し出す。
グ「ありがとうございます」
御礼を言いながら、卓袱台の前にちょこんと女の子座りで…いつの間にかあった花柄の座布団の上に座った。因みにタウリアとルシェールは胡座をかいて、靄のかかった床らしき場所に直に座っている。
コクコクと飲んで一息つけたのか、大きな溜息を漏らすグランデ。
グ「んで、お二人で何を歓談されていたのですか?」
タ「んふ、グランデちゃんのオキニよ」
タウリアとルシェールは二人して、テレビの様なモノを指差す。何だろうとグランデは覗き込み…固まり…冷や汗をかき…眼をグルグルと回し始める。
グ「…あ〜…確か、礼儀正しい方でしたねー。そ、其の方が何か?」
タ&ル「「何って貴女があげた祝福についてよ」」
そう二人に言われて、より一層と冷や汗をかくグランデ。しっかりと憶えている様だ。
タ「貴女があげた祝福が、また新たな祝福を生んだのよぅ」
グ「……………え?……………」
石化したかの様に固まるグランデだが、画面だけは注視している。そして気が付く。
グ「ええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ……」
事の重大さに、ようやくのグランデ。その声はかなりの範囲まで響いた。そしてある決意をする。
グ「よ、呼び出します。んで状況を確かめて…」
タ「一度与えた、祝福は取り消せないわよぅ?」
グ「…そ、そ、そうでした。どうしましょう?」
ル「ん〜…制約でも付ければ、良いんじゃね?」
タ「を〜、ルシェールちゃん、アッタマ良いわねぇ」
グ「そ、それだ!それでいきましょう」
冷や汗をかきながらも、立ち上がりガッツポーズの様に握りこぶしを作るグランデ。その様を面白そうに見ているタウリアとルシェール。画してアルフの呼び出しが決まった瞬間である。
誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。
区切るに区切れず、少し長めの今回です。他の先生方に比べれば、少ないんでしょうけど(苦笑)。
初の試みですが、台詞の分かり易さとして其々の神の台詞の頭に頭文字を入れました。