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第1章 その21 その優しさと理解


レベルが上がった事も、オズの苦笑いもとりあえずは置いといて…ムーンウルフに近付いていく。


親?である方は『統合機構』が示している瀕死状態なのを確認するまでもなく、傷だらけで血だらけだ。


『女神に祝福されし人の子よ、我が子を助けてやってくれ。我はもう間に合わぬ』


頭に響く声に、慈愛に満ちた色が混じる。余程、子供が大事なんだと思えるけど…


「私の名前は、アルフだよ!」


名乗りながら、エミーの横を通り過ぎてムーンウルフ達の元に駆け寄る。子供の方を見ると、耳あたりから少しだけ血が出ている。傷は見当たらないが、落ち葉やらが毛に絡まり薄汚れている。打撃を喰らって転がったといったところだろうか。


「かー様、回復魔法(ヒーリング)をこの子に掛けてあげて」


小さい方のムーンウルフの方を指差してエミーにお願いする。エミーはオズと眼を合わせて…二人して盛大な溜息を吐く。下手するとこの子死んじゃうかもしれないんだけどなぁ。


「ホントはムーンウルフも警戒しなきゃいけないのに…仕方ないわねぇ」


まさにやれやれといった感じで近付いてくるエミー。オズも同じ態度だが、切り替えたのか周りを警戒し始める。私も思考を分けて警戒していよう。

エミーが側に寄り、子供のムーンウルフの頭辺りに手を翳す。淡い優しい光が手の平から漏れると、薄っすらとムーンウルフにも光の膜の様なものが浮かぶ。無詠唱での行使のようだ。


「効くとは思うけど、まも…幻獣に掛けるのは初めてだわ」


んー普通は同じ『人』に回復魔法を掛けるんだろうなぁ。

エミーの内情も慮っていると、眼に映る黄色の光点の点滅が止んで点灯したままになった。うん回復したんだろうね。エミーに笑顔でサムズアップをすると、エミーは苦笑いしながらも私の頭を撫でてくる。


親のムーンウルフは安心したのか側に寄ってしゃがみ込み、子の汚れを舐めて拭っていく。


あ、親の方の光点の点滅が激し…あ、消えた。意識を親のムーンウルフに戻すと、凄く満足したかの様な安らかな顔(そう見えた)で眼を瞑った。


『この子を頼む。アルフ殿』


そう頭に響いた声を最後に、親のムーンウルフは事切れた…



※※※※※※※※※※



クレセントベアとムーンウルフの親の死体をオズが魔法鞄に回収し、エミーがムーンウルフの子と私を抱えて帰路につく。家が見える頃になると、遠吠えの様な『クゥエェェ〜』と心配する様にも聴こえる声が聞こえる。ロドルが迎えてくれた様だ。


「かー様、この子…飼ってい〜い?」


凄く優しい顔で私を見つめながらも大きな溜息を吐くエミー。


「最初からそのつもりだったんでしょう?ちゃんとアルフが面倒見るのよ」

「ありがとー、かー様。だいすき〜」

「ふふふ。先ずは名前を付けなきゃね。何が良いかしら?」


もう既に名前は考えている。安直かもしれないが…


「なーまえーは、ねぇー…ルナマリアにする」

「ルナマリアかー。うん、良い名前ね。とっても美人な子になるわねぇ」


新たな家族?ルナマリアが我が家の一員として迎え入れる事になった、アルフの初冒険だった。



誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。


大まかな区切りとしては、ムーンウルフの子を助けた時点で1章の区切りとなりますがもう少し1章は続きます。次週は二人目の転生者のお話です(ネタバレ笑)。

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