第1章 その20 その奔る光に呆れる父
眩しくて熊が身体を振ってヨロけた為、エミーは熊の正面から逆袈裟に斬りつけ、オズは後ろから首元を狙って突き刺した。何方の攻撃も有効打の様だが…
致命傷にまで至っていないのか、クレセントベアは身体を振る様にして背中側のオズを振り弾く。眼も眩んだ状態なので、闇雲に腕も振っているが二人は避けている。ただ追撃が思う様にいかない様子。
『奴の首元を狙え。口の下に白い部分があるだろう。其処が弱点だ』
ムーンウルフの親…。前世で見た某有名スタジオの作品に出てくる、白い狼に似てませんか?と思いながら見てみると既に息も絶え絶えになって今にも倒れそうだった。眼に映る地図の光点も、何方も点滅が早くなっている。これは倒れる前兆…ってムーンウルフも死にかけているのか?
うーん…この声も二人には聞こえて無いんだよねぇ。上手くいくか分からないが、もう一度魔法を使ってみるか。この世界の魔法は、殆どが明確なイメージが出来ていれば呪文や詠唱が無くても上手く発動する。家にある魔法大全なる書にも書いてあったが、これまで知られている魔法でも効果は人によりけりだったり、独自の魔法を作る事も出来るそうで…。オリジナルの魔法とは言えないかもしれないが、前世でも裁縫をやっていたから、馴染みのある『針』を魔法にする。だが、今の私は火魔法が使えない。風では針状にイメージするのは難しいと思う。森林魔法はまだオズに教えて貰っていないので、失敗する可能性がある。つまり『光の槍』を小型凝縮した『光の針』をイメージする。細く、何物も貫く様な…そう畳針の強さ。
イメージは固まり、魔力を注ぐ。太さ3ミル、長さ10セメル程の光る針が出来てくる。頭の中でカチリと音がした気がする。狙いはクレセントベアの首元の白い部分。『光の針』発射。
眩しい程の光を発しながら『光の針』は首の白い部分を貫いた。
で終わらなかった。更に向こうの木々数本を貫いて消えた。カチリと音がする時って大抵、威力が強いみたい。私ってレベル低いのになぜこんなに威力が強くなってしまうのか。今度オズやエミーに聞いてみよう。
思考を視界に戻すと、クレセントベアの光点が赤くなりDEADの文字が。『統合機構』判り易くて便利だね(笑)。オズはギョッとした顔を、エミーは信じられない様な輝喜の顔を向けてくる。うん、やりすぎた様だ。ドウとクレセントベアは音を立てて倒れた。と同時に頭の中にピンポーンと音が鳴った。
【レベルが2から11に上がりました】
あ、え?なんですと?そんなに強敵だったの?てかそんなにレベルって簡単に上がるの?と困惑していたらエミーが剣を鞘に戻して駆け寄り、抱き付いてきた。
「アルフは、ホンッとうに凄いわ。天才だわ」
私を抱え上げて、頬擦りやキスの雨霰。悪い気分じゃないけど、エミーは親馬鹿さんだねと思う。オズは何とも言えない苦笑いの表情。そうだよね、お父さん的にはそれが正解だよね。
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