第1章 その10 その世界の過去の一端を知る
夏休み最終の企画?頑張って書きます。
今から1500年程前まで、世界はひとりの魔王に支配されていた。
その魔王は強過ぎた。人間やエルフ、ドワーフ、獣人達がどんなに束になって掛かろうと、強い武器を持ってしても傷一つ負わないのだ。このままでは、世界の全ては魔王の家畜にされ虐げられ蹂躙されるだけ。そこでエルフ族の族長は一計を案じた。女神様達に助力を賜ろうと。
そして願いは聞き入れられて生命を司る女神ルシェールと、武の女神タウリアが助力してくれたのだ。
女神タウリアは、全ての人族に色々な才能を授けたお陰で一部の者は指導者としても強い存在になった。女神ルシェールは竜や幻獣達にも働きかけ、魔王と魔人達との全面戦争になった。
最初は42人いた魔人も6人まで減らせたが魔王はやはり強過ぎた。このままではやはり勝てないからと、再び女神達へ助力を願ったが聞き届けてはくれなかった。
ひとりの人間がこう言った。倒す事が出来ないならば、封印しようと。そうして全ての人族は封印する為の結界を張る作業を、竜と幻獣達にはそれを悟られない様に無理な突撃をする。
作戦は上手くいき、魔王と6人の魔人は魔国ヴェーグごと結界の中に閉じ込める事が出来た。だが世界は大きく4つの大陸と、いくつかの島に分かれてしまった。戦争の影響か大陸毎に季節が固定してしまったが、人族に平和が訪れた。後に封印戦争と呼ばれる戦いであった。
『封印戦争』と書かれた本を閉じるエミー。私に読み聞かせてくれたのだ。
「封印しようと意見したのが、今いる『春の大陸』を統一しているグラン王国の初代王、マサル・グラン様なのよ。彼は圧倒的な剣術で何人もの魔人を切ったと言われてるわ。アルフも私の子だし、強くなれるかもしれないわよ」
と呑気に言ってくるが…とてもじゃないが遠慮したい。私は悠々自適に過ごすのが目標だ。その為の努力はしていくつもりではあるが、こんな英雄じみた事は願い下げだ。一応はエミーに笑顔で返しておく。
でも…グラン王国の初代王…あきらかに転移者だなぁ。前世でよくありそうな名前だし。名字がグランデ様を捩ってる辺り、明らかに前世での同郷の人みたいな気がする。
他にも転移者って多いのかなぁ。転生者は多いんだろうけど、普通は記憶なんてない…
いやいやいや、私は記憶持って産まれて来たよねぇ。転生者も記憶…いや全ての『人』が持って産まれているならば、もっと科学技術が発展していてもおかしくないよなぁ。家の中しか見てないが、フライパンは明らかに鉄製だし、家の壁や扉は全て丸太を切り出して建てたもの。窓なんてガラスじゃなく、ただの木を組み上げたものの跳ね上げ式だ。照明は電気じゃなく、明らかに魔法を使った様な石が明るく照らし出している。電気照明なんか材料と電気があれば、割と簡単に作れるものだ。まぁ、電気はちょっと大変か。魔法が発展しているから、そちらで代用出来るから必要性が低くなるのか、悩みは尽きない。
誤字脱字等ありましたら、ご報告頂けると幸いです。読んで頂いた方々に感謝を。
明日も18時更新します。