第1章 その9 その内に秘める祝福の片鱗
えー、夏休み企画?として8月の28日の火曜日から、31日の金曜日まで毎日18時に一話づつ更新する予定です。
バックパックの中に、ウエストバックを戻し大きく息を吐く。とりあえずこの世界で使えるのはこのバックパックとウエストバック、小物のポーチくらいが妥当なところ。他は…この世界の技術レベルが分からないので暫くは入れたままにしておこう。オズやエミーも取り出せないから安心かな。
現状、まだ2歳(前世で考えればまだ1歳)で歩く事も出来ないので、やれる事は少ない。自由に歩ける様になるまでは知識を増やす…この世界の文字を教えて貰いながら、この世界の歴史や状況、後は魔法も分かれば良いところか。
興奮し過ぎた所為なのか、頭や身体が怠くなってきた。目もショボショボと…無意識に目元を擦ってしまう。
「あら?アルフはお眠の時間かな〜」
エミーはそう言うと、私を抱き抱えながらも胸をはだけさせて私の口にその頂を当てる。いつも思う事だが、恥ずかしいとか躊躇いとかが全く芽生えずに口に含んで吸ってしまう。生命の神秘だねぇ。そして段々と意識が遠のき始める。
赤ちゃんや幼児期は寝る時間が多い。身体の成長促進とか睡眠学習しているとか…etc…前世で聞いたのを思い出す。寝ながら何か出来たら更に成長するのかな?そんな才能があれば良いのにと思っていたら…
【ピンポーン、既存しないスキルの申請を受諾。新たなスキルを獲得しました。スキル名『並列思考』】
という機械的なアナウンスが頭の中に流れてきた。は?並列思考?文字的には同時にいくつか別の事を考えられるって事?どういうことなんだと考えるが、意味が…あれ?身体は寝ている。目も瞑っている。スヤスヤと寝息も立てている。なのに考えている自分がいる。
これならば、寝ながらこれまでの状況整理やら…ちょっと整理しよう。先ずは、産まれた時のステータスだ。なぜ、エミーの、母親の姓なのか?…この世界でも婿入りってあるのかね。能力値…魅力の他はまぁ有り得る範囲と思うが…才能関係は、前世での経験や両親の才能が概ね起因してる気がする。棒術や作製は、明らかに前世での職業。それに様々な不運に巻き込まれていたのが関係しているだろう。そう考えてみると随分と納得がいくのと同時に、末恐ろしさも感じてしまう。ゲームチックではあるが、これが現実だとすると能力や才能が大きくモノをいう世界って事になる。それも自分の才能が何なのか知る事が出来る。前世では才能なんて感じなかったから、かなりぬるま湯に浸かった生活をしていた。今世は気持ちを入れ替え…正しく産まれ変わったのだから、幼少の時から能力や才能を伸ばす努力をした方が今後の為にも良いはずだ。本来、悠々自適な生活を望ん、で…
あれ?…そういえば、『悠々自適』の祝福を望んで転生したよね?あれはステータスの用紙にはどこにも記載がなかった。それに先程のアナウンスみたいな声で、『並列思考』って才能を獲得したって言ってた。ん〜どういう事なんだかサッパリだ。
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