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第3章 その19. その冒険者、家を買う

ドラマ好きだったんですよねぇ(笑)





朝。今日もかなり快適に目覚めた。

ルナマリアが月狼に戻って一緒に寝ていた為だ。ルナマリアの毛並みは、まるでシルクのような滑らかさなのに弾力があり抱き枕の最高級品といった風情なのだ。

出来れば微睡んでいたいが、今日もやる事はたくさんだ。昨夜はあの後から寝るまで、他のメンバーとの会話をしながらブーツ作りをしていた。話の流れでメンバー分を作らなきゃいけなかったが、十五足程作ったところで寝てしまった。余った分はそこそこのお金になると思う。ただ色の変化は工夫してても、同じデザインだから面倒になっている。

あの盗賊らの一人から【錬成】の才能を頂いたので、こちらで作成出来そうな気もするが先ずは家の件が落ち着いてからだろうな。


朝食を頂いて高級宿を出る際に女将さんに抱き締められるテンプレに、シィルの羨ましそうな眼が気になった。今夜でも頭くらい撫でてやろう。


ギルドの朝は早い。夜明けと共に依頼の貼り出しがなされるので朝一番は大変に混む。今は朝二番くらいだがそれでも多い。特にベテラン勢は朝食を食べてから来るので知り合いが増えた。


「おはようおチビちゃん。連日は初めてじゃねーか?ちゃんと目ぇ覚めてっか?」

「おはよう、妖精君。今日も可愛いけど、お口の回り拭いてあげるわね」

「なぁによ、私が抱き締めるんだから邪魔しないでよ」

「馬鹿か?オメエら。頭撫でてやんのが一番だよな?」

「今日もプリチィでご飯が進むわぁ〜」

「ありがたや、ありがたや。まんなんだぶ、ふぉーりらぶ」


一部、違うだろうと思うベテラン勢にも笑顔で挨拶(営業用スマイルとも言う)してから受付に行く。モリーさんは応接室三で資料を揃えて待っているそうなので其方に向かう。


第三応接室にノックをしたら、直ぐにどうぞと返事が来たので入ると資料らしき物を検分しているモリーさんがいた。此処でもやはり抱き締められてしまう。


「おはよう〜、アルフ君。私の〜お婿さんになりに〜来たの〜?」


朝から冗談粧して言ってくるモリーさん。余生を過ごすのなら、モリーさんは凄くタイプではあるが…今は地盤固めの時だし、本気で言ってないだろうからナシだろう。

今更に思うが、私に対して頭を撫でてくるだけでなく抱き締めてくる人が多いのは何故だろうか。下手すると男性でもいたりする。

才能…【魅了】は持っていないし、アクティブにすらなっていない。基礎能力の魅力の数値が原因なのだろうか?


「ではね〜、アルフ君の〜新たなお家を〜幾つか〜紹介します〜」


モリーさん、それだと私は複数の家を持たなきゃいけない様に聞こえますよ。間延びする言い回しは態となのか?



四つほど紹介を受け、其々、内覧もさせて貰った。一番マッチングする家を選んだのだが、皆から文句も出なかった。立地だけで言えば、ギルドから一キメル程度しか離れていない。そして…以前お邪魔した事のある、あのお屋敷の隣だった。マジか〜、元気に学校通って…もうちょっとしたら帰郷する序でに会えるかもなぁ。


そこは置いといて、私の新たなる家だ。建物は二階建てで、別館も二階建て。其々の建物の二階部分は渡り廊下で繋がっている。中庭部分は花壇っぽい残骸が残っている。更に大きな裏庭…と言うよりも小さな練兵場っぽいものもある。植えられている植物、樹木には何処かで見た記憶がある。何だったかなぁ。入口側の表の方は…どう見ても桜が二本咲いている。異世界でも桜があるんだなぁ。脇の小屋は厩だろう。

本館はブチ抜きの玄関ホールと応接室、客間、食堂、お風呂が一階に、二階は部屋が八室。別館の一階は調理場、給仕室、家事室等があり、二階は本館と同じく部屋が八室。


コレ、完全に貴族の家だよなぁ。でも何処か『ニホン』を感じさせる部分もある。

以前住んでいた人が亡くなった為、売りに出したらしいが中々売れなかったらしい。理由は簡単。貴族用としては小さい為。個人的には充分な、広過ぎるくらいと思うが、お貴族様方には足りないのだろう。示威行為としたら、確かに大きさは力とするので理解出来なくもない。

で、この建物、土地付きで金貨百三十四枚という。中古とはいえ、安いのではないだろうか。年の税金が金貨三枚。全部支払うと、財布はスッカラカン。でもまぁ、良い買い物だろう。


後は…家具や補修、改修のお金無いぞ。どうしようと思っていたら、先の報奨金が白金貨十二枚と金貨六十四枚。後、昨日の盗賊?人攫いの分が金貨二十五枚。家…トナンの森を出る時よりお金持ちになってしまった。更に王都より招喚状が来る手筈になっているとの事。招喚されて王城に行けば、今度は鎧奪還の報酬が出るらしい。報酬は嬉しいが、面倒極まりないなぁ。


その後、テオとシィルの職受の儀を受けたのだが、二人とも探掘士を選んだのだ。何故か聞くと、費用が掛からないからとの事。それに後から変更出来るなら、その方が良いと。確かにそうなんだが…何かが違う気がする。今回はいいか。


購入した家に行く。先ずは簡単な掃除として最低限住める状態にする為だ。【清浄】を使って、全ての部屋を回っていく。テオ、シィル、ココの三人は清浄後の部屋の窓を開けて箒で塵などを掃いていく。清浄を使っても綺麗にはなるが、どうしても床には塵などが残るのだ。エリス、イレースさんとルナマリアには部屋に置く日用品や、ベッド、食器などを買って来る様にお願いしている。

手分けしないと今夜中に、住むのが難しくなる。ん〜やっぱり人手が足りないかなぁ。後二人くらい…家事が出来る人が欲しい。まぁ、今は我慢しよう。


全館の【清浄】を掛け終わったら、もう昼過ぎの時間。皆、小腹も空くだろう。時間も勿体無いので、以前に買っておいた屋台の串焼きを…四十…七十本出す。ランドセルの中は時間停止している為、買った時のままであったかだ。個人的にもう少し胡椒を効かせ、私特製の旨味顆粒を少し掛ければ完成だ。


この旨味顆粒は、鳥系の魔物の骨、小川の魚の骨、根菜や香草などをじっくりと煮込んで灰汁を取り、煮凝りになったものに風魔法【微風】を使って完全乾燥させたものを顆粒にしたもの。要はチキンブイヨンとか、コンソメ顆粒とかそんな物を作ったのだ。作るのに時間は掛かるけど、その手間が苦にならない程の手軽さがある。お湯に入れれば、スープになる。何日か野営となるなら、その有難味は如何許りか。閑話休題。


後はスープでもあれば、充分だろう。鍋に水を入れて以前に使ったクズ野菜を放り込み、煮立たせる。煮立ったら丁寧に灰汁を取り、クズ野菜も取り上げる。このクズ野菜は乾燥させてから庭に捨てると良い土の素になる。次に根菜と葉野菜を幾つか取り出し、根菜は水で洗ってから皮を剥き、適当な大きさに切って先程の鍋に入れる。この時に出たグズ野菜は次の出汁の素なので、魔法鞄にしまう。特製のブイヨン顆粒を適量入れて、今度はコトコト弱火で煮る。野菜に串が通る位になれば、野菜スープの完成だ。味見すると、私には充分だが、他は多少味気ないかもしれない。若干、塩と胡椒を振って味を調える。こんなものかな。出来ればご飯が欲しいところだが、ガッツリ食事はこの後の清掃作業に差し障り兼ねないので、夕飯時にしよう。

しっかし、この家を買って正解だと思ってしまう一つに調理用の魔具が残っていた事だ。かなり汚れていたし、魔石も無かったからどうしようか悩んだが、清浄を掛け魔石を補充すると苦もなく使えたのだ。コンロも一つ持っているが、この分なら野営用か予備に取っておいても良いな。


食事の準備が出来たので、呼びに行こうかと思っていたら後ろで全員集合していた。それも買い物組まで…。

食堂に運ぶのを手伝って貰って、皆んなで遅いお昼を食べる。エリスとシィルは割りと上品に食べているが、他はがっついている。思わず戦後か!とツッコミたいのを我慢する。


食後は各々の部屋を清掃する事に。私の部屋は私自身が決め…既に決められていた。本館二階の書斎と寝室が付いている一番広い部屋だった。本自体は一冊も残っていなかったが、書棚は残っていたのが助かるポイントだ。書斎から書棚を広い部屋へ移し、書斎を裁縫部屋と変えていく。厳密には裁縫兼錬成部屋にするつもりだ。広い部屋はプライベートな接客対応が出来る部屋として。寝室はそのまま。これも置きっ放しにされてたベッド。キングサイズじゃなかろうか。年数経っているのにしっかりしているので、詳細解析で見ると魔具だった。


劣化防止?音漏れ防止?◯◯効果?三つも魔石をセットする場所があったのはそのせいか。ま、まぁ、二個で充分、使うのに問題なさそうだ。何故だかどんどんとフラグが建っていると思うのは気のせいだろうか。




読んで頂いた方々に感謝を。


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