第1章 その6 その母の自慢気に苦笑する
説明が多くてすいません。
「アルフは、能力が高いし才能もたくさん。魅力もすっごく高いから将来モテモテね」
そう満面の笑顔で語る母のエミー。詳しく知りたいと顔をエミーへ向けようとするが、メロン(胸)に挟まれている為に上に向ける位しか出来ない。それでも理解してくれたのか、教えてくれる。
どうやら産まれたばかりの子は、殆どの能力が5以下らしい。エルフやドワーフなどの種族特性で高いものもあるらしいが、それでも10を超える事はまずないらしい。それで考えれば、魅力の32や器用度の14は高すぎる数値といえる。成長や鍛錬などでも徐々に上がるらしいので、筋力の3も悲観する事はないようだ。
才能に関しても、普通は2、3個が普通なんだそうな。これだけあるなら、将来は色々な職業を授かるだろうと。気になったので、職業のあたりを指差して詳しく教えて貰えないかと促してみた。
この世界では『登録の儀』と『職授の儀』というものがあり、全ての種族で産まれて10歳になった年に『登録の儀』を、16歳迄に『職授の儀』を受ける儀式なんだそうな。『登録の儀』は、前世で言う住民登録みたいなもので、この儀式を受ける時に自己鑑定の才能を貰えるとの事。『職授の儀』はある意味、職業選択。個人の能力の数値や才能の有無により選択出来る職業が増えるそうだ。
早く職授の儀を受けたいが、こればかりは登録の儀を経てからと決まっているらしく今はどうしようもない。
で、気になっていたもうひとつ。部屋の隅に置かれた荷物に目線を向ける。やはり前世での私の荷物だ。
手を伸ばすが、当然届かない。「ん〜どうしたのアルフ?」とエミーに声を掛けられた時。
「今、帰ったよ。おや、二人して私の部屋でどうしたんだい?」
と後ろから声を掛けられる。父であるオズが帰って来たようだ。
「オズ、アルフが喋ったの‼︎ステータスって。だから産まれた時のを見せてたのよ」
「まだ2歳なんだから、喋れる訳ないだろう?」
「…信じてないのね?ほらアルフ、もう一度ステータスって言ってみて‼︎」
そう言って私を抱えながら、オズにどうだと言わんばかりに正対するエミー。そのやりとりに脱力しながらも私は仕方なく言ってみる。
「ふうぇーあう」(ステータス)
「…う、うん…まあ聞こえなくもないね」
「そうでしょ⁉︎この子天才かもぉ〜」
自慢気に私を高く抱えて、くるりと一回りするエミー。その様子を見て、私とオズは苦笑いの表情しか出来なかったのは言うまでもない事だった。うん、こういう親は何処の世界でもいるんだね。
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