第1話 始まりの街シュタットフェルム
チュートリアルが終わり、始まりの街シュタットフェルム目指して2時間くらいトボトボと歩いた。
途中でゴブリンやスライム相当の魔物と2.3度戦闘となったが、最高レアリティーの剣があるので難なく倒すことに成功し、ようやく街の門が見えるところまでやってきた。
門には槍を持った門番が二人おり俺が来るのを眺めていた。
門に着くと、門番の一人が話しかけてきた。
「ようこそ、始まりの街シュタットフェルムへ」
と愛想よく笑顔を振りまいてくれる優男とは別で、もう一人の門番はなんだかけだるそうにこっちを見ていた。
「一応聞くが身分証は持っているか?」
俺が持っていないというと、またかと言いたげな顔をしてもう一度質問してくる。
「その黒髪に若者にしては良すぎる装備、もしかしてお前も勇者候補の一人じゃないだろうな?」
そうだと告げると、「またかこれで何人目だ?」
優男がけだるそうな門番に告げる。
「確か38人目くらいじゃないか」
「まあいい、身分証を持ってない奴は入場料として20ゼニ―いただくぜ」
そう言われ、20ゼニ―と念じると手には20ゼニ―が出てきた。
門番たちは急にお金が出てきたにも関わらず、別に大した事でもなさそうにし、お金を受け取り、やっとのことで街に入ることができた。
この世界でアイテムボックスとかは別に、不思議ではないらしい。
――街に入るとそこはまさに中世ヨーロッパのような雰囲気の街並みがあり、どこからか吟遊詩人の歌と音楽が聞こえてくる。
すると急に携帯が鳴り、スマホを見ると件名クエストと書かれたメールが来ており、内容を見ると「まずはギルドに登録しよう!」という文字が書かれていた。
下にスクロールするとギルドへの地図と現在位置が乗っており、迷わずにギルドへ行くことができた。
ギルドに入ると、1階は酒場とギルドの受付とクエストボードが張られていて、本当に異世界に来たんだなっと心底思えるような風景であった。
入り口でぼさっとしていると、「邪魔だ坊主」と言い大柄なスキンヘッドの冒険者が入って来た。
まだ16歳の高校生がこんな体育会系の奴に人に言われたら、非常に怖いものである。
無言ですぐに道を開ける俺であった。
気を取り直して、ギルドの受付に行こうとすると、可愛い受付嬢のところは露骨に並んでいるので、年老いたおっちゃんのところに迷わず行った。
受付のおっちゃんにギルドへ登録しに来たというと、丁寧に説明してくれてくれた。
内容をまとめると、ランクには上からS.A.B.C.D.Eランクとあり、初心者はまずはEランクから始めなければいけず、自分のランクの一つ上までクエストが受けられるらしい。
しかし、クエストに失敗すると違約金を取られるので、自分の実力をしっかりと見定めてクエストを受けるようにとのこと。
そして、ギルド内での実剣による喧嘩はご法度で、破れば何らかの処分がくだされるらしい。
これは優秀な人材をいざこざで失わないようにするためのものらしい。
ギルドカードは再発行可能だが、お金を200ゼニ―も取られてしまうので無くさないようにとのこと。
最後にギルドカードに血を一滴落とすとギルドに所属する冒険者になれるとのこと。
これらの説明を受け、血を一滴落とし、晴れて冒険者になった。
今日はここに来るまで何度か戦闘をして疲れているので、宿を取って休む予定なのでギルドを出てからスマホで宿と検索する。
すると何件か候補が出たので一番安いところに行くことにした。
駿河亭と書かれた宿屋で一泊夕食付で50ゼニ―らしく、かなり安い。
宿屋の受付で18歳ぐらいだろうか。
エリーというらしい。
俺よりも少し年上の美人が営業スマイルで駆け寄ってきた。
「うちの宿屋は安くておいしいよ、真心こもった料理だからね!」
「で、何泊していくの?」
可愛らしい笑顔で迫ってきたので、5泊という予定だったが、思わず10泊と言ってしまった。
「10泊ね!500ゼニ―よ」
そう言われ、アイテムボックスからお金を取り出し渡した。
「夕ご飯は17時から食べれるから、17時過ぎたら1階の食堂に来てね」
わかったと返事をし、とりあえず夜になるまで自分の部屋で待っていることにする。
部屋に入るとそこはベッドと机に椅子だけという質素なものであった。
鎧を脱いで、ベッドに転がりスマホを触っていると「チロリン」という効果音と共にメールが来た。
件名はじめまして!と書かれたメールを見ると、そこには私はあなたをサポートすることになりましたこの世界の下級神のエレアと申します。以後お見知りおきを…
この世界であなたがくたばるその日までスマホでサポートさせていただきます(笑)
今この世界にはあなたを含め1000名の勇者候補がこの世界に転移してきました。
命が尽きるその瞬間まで冒険者として一人の人間としてあがき続け、そして世界を救ってください。
下級神エレアより。
追伸
2ケ月後魔王が復活します。
もし何か聞きたいことがあれば、このスマホから返信してね
唐突に来たこの驚愕のメールに驚きつつも、物語の主人公になったような気がして興奮が冷めきれないまま、よっしゃ俺が必ず救ってみせる!と意気込む俺であった。