凡常
時間がほしい。有限なる時間の中で無限に等しい時間が欲しい。
10代の内は下積み時代とは言え、がんじがらめになっているこの状況に嫌気が差す。
客観視ができない。自分がどれだけの能力を持っているのか。自分という人間の低劣さへの思案から逃れられない。
私は要領が悪い人間だ。だからこそ努力は不可欠だ。そう、だから、努力をしてきた。
ただその一方、努力が嫌いだ。
自らの人間的な位を上げる為に、上がっているように見えるように、相対的な努力を重ねてきた。
目標がぱっとしない。これまで努力してきた理由が見当たらない。
人物的理想像は常に持っている。仕事は真面目にこなし、人望は厚く、有能な人物。それを志して今まで頑張ってきた。
だが、そのような人物になったからと言ってどうなるのか。
ただただ、都合の良い人間ではないのか。
何事にも必死。それは確かに高尚だろう。
どの方面から見ても正しい。正しいからなんだと言うんだ。
重要なのは何を為すか。何を為したいか。
社会的体裁の崩落に怯えながら、日々を一切の綻びなしに送る。その人生に意味はあるのか。
私は何を見つけられるだろう。何も見つけられないのかもしれない。見ているのは虚空。存在したかどうかも定かではないヒトとして、陰に埋もれて消えていく。
そんな未来が目に見えている。自分のやりたいことなどない。
社会的に人気のある者を、羨望して止まなかったこの私が欲しいのはただの人気に過ぎない。
そこには何も意義など無い。自己顕示欲に満ち満ちた醜悪な精神。世界に存在している意味すらない。
己に何ができるのか。何の為に生きているのか。
何もできやしない。信念などない。
私は哲学的ゾンビ。人間的意思の介在しない、ただふつうを求める異常者。
同情すらも必要ない。私と同じような人間がどれほどいるのか。きっと、この時代にはたくさんいるだろう。いなくてはならない。そうでなくては、迎合できない。
私は、ふつうだ。




