表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

ご飯に釣られました。

  今日の夜は何食べよう。寒いから鍋にしようか。キムチ鍋か白菜鍋もいいな。ああ、考えてみたら冷蔵庫の中のものがなかった、買い物して帰ろう。


 そう考えながら、更衣室で制服から私服に着替えた。すこし早かったのか、まだ誰もいない。しかし今日は残業をする気がないので、定時で帰る。今日の仕事はしっかりしたのでいいのだ。

 部長に報告したからいいのだ。


 タイムカードを押し、帰ろうとした。が、廊下の先でこちらを見ている人がいる。気にせずに帰ろう。見てはいけない、まだ、仕事しているはずだ。



「真奈夏…」


 

 仕事中なはずの社長がなぜかいた。

 無視して帰りたいのだが、社長という地位にいるため無視ができない。本当は関わりたくはないが社長だからしかたがない。

 もう一度言う。 本当は関わりたくはない。しかたがないから口を開いた。



「お先に帰ります。社長」



「その言葉は聞きたくないな。残ってくれないか?少し私と付き合ってくれないか」



 挨拶をして立ち去ろうとしたが、立ち去れなかった。帰ろうと思ったのに。いいわけを使ってどうにか帰ろう。今日は鍋の日にするつもりなのだ。冷蔵庫に何もないので買い物に行かなければ鍋ができない。



「すいません、今日は家の用事があるので。また今度」


 社長がなぜかため息をついている。私こそつきたいよ。その後私をじっと見つめてきた。何もゴミなんて付いてませんよ。ああ、顔は平凡ですよ。見つめるほどではないですよ。



「夕ごはん奢るから駄目かい?」

「わかりました。お待ちしてます」



 あっ……やば…返事をしてしまった。社長を見ると嬉しそうな顔をして、休憩室で待つように私を言い残すとまた戻っていった。昼よりも元気そうだ。



「やってしまった…」



 私は小さな声で呟いた。

昔から食べ物に釣られる癖があるのだ。治そうとしたがどうも治らなかった。仲のいい同じ部署の社員にもご飯に釣られて手伝いをしたことが何度もある。食べ物にはほぼ釣られている。入れ食い状態のザリガニではないが。ザリガニは雑食だからパン屑でもつれるみたいだ。私はパン屑ではつれないぞ。美味しいパン屋のパンとかで釣られる自信があるが。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ