第1話「主人公になりたいと思いましたっ!」
時間切れになってから、何分が立つだろうか?
まぁいい。どうせ俺は消えるんだ。ならばさ、最後に・・・。最後にあの子を誰かに託そうと思うんだ。
そのほうが、いいだろう。 なぁ、ビッグフォレストよ・・・。
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「やべぇ、今日も遅刻しちまった。」
そうつぶやいたのは既に15時。
学校が終わるのと同じくらいの時間だったのだ。
「まぁ、いいや。これから学校行ってももう間にあわねぇし、町に出てみるか。」
俺の名前は大森幸雄。高校1年の男子高校生だ。最近の趣味は・・・カラオケでストレス発散することだろうか。そんなことはどうでもいい。
俺は今、この錦糸町という町に繰り出したわけだが・・・。
「と、とりあえずアニメイロにでも行ってみるか。」
ま、まぁアニメイロに行くって言うからにはオタクということもまぁ、わかるだろう。きょうは某ラノベが発売されるので、それを買いにいきたいのだ。
「秋葉原のアニメイロは有名なのにー錦糸町のアニメイロは有名じゃないー♪」
とかいう即興音楽を作りながらアニメイロへと徒歩で向かっていた。
俺の家は錦糸町の北口ロータリーを左にまがって橋をわたる手間の交差点を右にまがり、カーブで小道に入った先にある小さなボロアパートの2階に一人で住んでいる。
親とはいろいろあって別居中だ。たまに父親や母親が来るが。
アニメイロまでは徒歩5~6分。普段よく通る道を歩くだけ。
だが、その道は人通りはそこまで多くない。
「あぁー、妹ほしいなぁ・・・。」
そんな道で彼は偶然出会ってしまう。
「あ・・・あれは、女の子・・・?」
道端に13歳前後と見られる女の子が倒れていた。
「だ、大丈夫!?息してる!?」
その呼びかけに少女は反応した。
「ぁ・・・あの、助けて・・・ください!」
「わ、わかった。急いで救急車を呼ぶから!」
普通この場合は警察か救急を呼ぶのが普通だろう。しかし少女は違う要求をしてきた。
「私を、私をかくまってください!」
少女は自分をかくまってほしいと頼んできた。
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「これからいくつか質問させてもらうよ。で、君は誰なの?」
「私はこの世界とは別の世界から来た、グラシア・ナミリアと申します。」
俺は反応に困った。確かに俺はオタクだよ。そういう異世界とか好きだよ。でもさ、現実にそういうことがあったらどうよ・・・。しかもそれがいま現実に起こっているんだよ。対応に困るってば。
とりあえず俺は濁しつつ、質問を続ける。
「お、おう。じゃあお前は誰かに追われてるのか?」
「たしかに追われてはいます。が、その敵はいまどこにいるのかはわかりません。」
そして少女は話を続ける。
「私は魔力をまだ沢山蓄えているので、魔力をサーチされたらばれるかもしれません。なのでお願いがあります。」
「な、なんだ・・・?」
「私の魔力、半分をあなたにあげるので、私と一緒に逃げてください!」
・・・。これは夢か?いや、夢じゃない。正直、一緒に逃げてくれと言われても困る。俺には金がないから引越しの金もない。
俺は最善の策をとる。
「じゃあ、お前が追われているなら、その魔力ってのを、俺に半分くれ。だが、おれはここから逃げない。」
「えっ?」
「俺がその敵ってのを倒してやるよ!」
「ほっ、本当にっ!?」
「あぁ、まかせとけ!」
・・・と言ってしまった。だが、よくよく考えたら魔力とか言ってるんだから、相手だって相当強いに違いない。それに比べて俺はその魔力をもらっても使い方がわからない初心者だ。
そんな俺にできるわけないのだ。
それでもやる。
なぜって?
それは、俺が
主人公みたいなことを、してみたいからさっ!
次回
第2話「魔力をもらいましたっ!」