オレとペンギン
オレ:童顔、小柄、幼児体型、20代前半
ペンギン:ペンギンの形をした何か
「…死にたい」
『あっそ』
「…止めるとかねぇの?」
『オレが止めようが止めまいが、お前は死ぬ時は死ぬし、死なない時は死なないだろ』
「…まあ、否定はしないけども」
『安心しろよ。お前が死んだらオレが責任もって残さず平らげてやるから』
「愛ってよくわかんねぇよな」
『何だ、お前もいっちょ前に色気づいてきたのか?』
「失敬な。オレだってこれでも大人だぞ?つうか、そういう話でもない」
『じゃあどういう話だ』
「恋だの愛だの、皆言うけどさ、結局みんな、口先だけなんじゃねぇの?っていう思春期みたいな悩みをだな…」
『思春期って言うか、中二病じゃねぇの』
「ひでぇw」
「ハッピーエンドを望むならさ」
『ん?』
「殺し合うのが一番の愛の形って気がしねえ?最終的には互いに互いを殺す感じで」
『それ一般的にはハッピーエンドって言わない』
「だってさぁ、物語じゃあるめぇし、実際にはハッピーエンドなんてねぇだろ。死ぬまで人生は続くんだから、デッドエンドしか存在しなくね?」
『幸せに死ぬのがハッピーエンドだとでも?』
「少なくとも、失意の中で死ぬのはバッドエンドだろ?」
『それは否定しないが、殺し合うのが愛ってのはまた別の話じゃないか?』
「そうかなあ」
『そうだろ』
「でもさ、命って重いだろ」
『ああ』
「だったら、相手の命を背負うってのは愛じゃね?」
『両方生きてる状態で背負えよ』
「幸せってのは幸せじゃない状態と比べなきゃわかんないんだから、不変は幸せたりえないだろ。ってことは、人は放っとけば勝手に不幸せになるんだよ。つまり、生きてると不幸せになるんだよ」
『お前は相変わらず話が短絡的だな。じゃあ聞くが、お前は今不幸なのか?』
「うーん…どうだろう。よくわからないな」
『なんだそりゃ』
「幸せだ、とは思わない。でも、不幸だ、とも思わない」
『ふーん』
「所でさ、ペンギン」
『なんだ?』
「オレと殺しあわない?」
『面倒くさいからいやだ』
「そっか」
「あー…なんかつまんねぇ」
『んー…じゃあ、アレだ。"やらないか?"』
「ウホッ。…いや、どうしてそうなった。理解できねえ」
『オレをお前のメルヘンチ○ポでところてんをだな…』
「いみがわからないよ」
『オレはムラムラする』
「どうしてペンギンって愛と性欲を切り離せないのかしら。キモチワルーイ」
『それは坊やだからさ…』
「はあ?」
『…何か今地味にショック受けたんだけど』
「知らん」
『でもそんな所にちょっとときめいちゃったりして。くやしい、ビクンビクン』
「えっ」
『えっ』
「ていうか、ペンギンって"ピー"とか"ピー"とかあんの?鳥ってうんこと同じ所から卵が出てくるんじゃないの?」
『いいんだよ、メルヘンだから。オレとお前の性別がメルヘンであるように、その辺もメルヘンだから』
「どういう事なの…」
『んで、退屈は紛れたか?』
「そこそこ」
『そりゃよかった』
「愛情と性欲を切り離せる人間がいない訳じゃないらしい」
『そんな事報告されるまでもなく知ってる』
「そうか?」
『そうだ』
「そうか」
「お前とオレってどっちが先に死ぬと思う?」
『そりゃ、オレじゃねぇの?』
「なんで?」
『お前が死んだらオレも死ぬけど、オレが死んでもお前は死なねぇだろ』
「どうだろう。死ぬかもよ?」
『鬱かなんかで?』
「うん、そんな感じ」
『何だかんだいって、オレに会うまでも生きてこれたんだし、生きてけるんじゃねぇの』
「そうかなあ」
『そうだよ』
「そうかなあ」