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こんなのが日常

面白くないと思います。短いです。

私はなぜここに?なぜこんな立ち位置に?

そんな疑問を抱きながらも今日も一日が始まる。

いつも通りの時間に起き、いつも通りの服に着替え、いつも通りあの人の部屋の「前」へ向かう。なぜ部屋の前かって?それは__

「ベアー!」

一歩後ろへ下がり、勢いよく開くドアを避ける。そう、この為だ。1歩間違えれば鼻骨折は免れないからな。

そうそう、この女は私が世話を焼いているこの屋敷のお嬢様だ。お嬢様は一見おっとりしていて髪も光に当てられると光って見える程綺麗で優しそうだが実際はそんな事はない。今からお嬢様と私の会話、動きを見ていて欲しい。

「シトリンお嬢様、おはようございます。今日は一層お綺麗ですね。」

「おはよっ!ベア!そうでしょ〜!なんたって今日はおでかけするんだもの!」

「あぁ、そういえばそうでしたね。お付き添いは一体誰に頼_」

「何を言っているの?勿論ベアだけど?」

「そうですよね…でも、たまにはもう一人誰かに付き添ってもらっては如何でしょうか?」

「嫌よ!だってベア以外の人だと皆気づいたら倒れてるんだもの!」

あぁ、そうだった。私以外の人がお嬢様と出かけるとシトリンお嬢様に振り回されすぎて倒れるんだった。

「そうでしたね、シトリンお嬢様…。でも、正直私も結構しんどいのですけれど…。」

「でもベアしか付き添いしてくれる人いないのよ。私だって他の人とお出掛けしたいんだからねっ!」

「左様でございます、お嬢様。」

「それに、ベアくらいしかとーっても面白い<魔法>を持ってる人居ないの!」

「それはそうですけれど…覚えれば誰でも使えるようになるはずです。私も魔導書を読み習得したので。」

「そんなの嘘でしょ?私お父様から聞いたのよ、ベアの使う魔法はベアの家系の者しか使えない魔法だって。」

「くそッ。」

「あっ、今くそって言った!私を黙そうとするなんて酷い!」

バレたしめんどくさいことになりそうだな…話はぐらかそう。うん、その方がいい。

「お嬢様、朝食の時間でございます。早く食べて早くお出掛けのご準備を。」

「話はぐらかしたでしょ。いいけど…食べないとお母様とお父様に怒られちゃうし…。」

よし、はぐらかせた。でもお嬢様のご機嫌が斜めだ…あんまりこの手段はお嬢様を調子に乗らせるから使いたくは無いけれど使うしかない。

「お嬢様、少しお待ちください。」

これ使う時凄い体熱くなるし痛いんだよな…骨ごと変えるから…。

「ほんじゃらほいほい。」

そう言うと私の体は光に包まれ、メキメキと音を鳴らしながら体の形を変えてゆく。

痛い、熱い、苦しい。だが、毎回こういう感覚になっている事は未だ誰にも明かしていない。シトリンお嬢様にバレる訳にはいかないからだ。

そうしてみるみるうちに私の体は変形していき、小さくなっていく…そして私がなった姿は…。

「きゃー!ウサギさん!ベア本当に私のことよく分かってるんだから〜!今日のお出かけはこの姿でいてね!約束よ!」

「きゅ。」

「あ、もし約束破ったら夕飯にするからね。」

「…。」

シトリンお嬢様が言うことは洒落にならないから勘弁して欲しいものだ。でも…案外この生活は悪くないと思っている、なぜなら私は昔の生活が酷すぎたからだ。詳しくは、また今度にでも…いや、言う必要も無いな。

なぜなら、私はただのルベラルス公爵家の実の娘である、ルベラルス・シトリン様の執事なのだから。

「とりあえず朝食場所へ連れて行ってよ!」

「きゅ。」

私はシトリンお嬢様に耳栓をし、その上にイヤーマフを付けた。この家の子供にはそうしなければいけないというルベラルスご夫妻のご命令なのだ。その理由は…

ゴンッ、バキッ、ぐちゃっ、ギィ…ギィ…

…この音をルベラルス家の子供に聞かせる訳にはいかない。なぜならこの音の正体は、人が拷問されている音だからだ。なぜ子供達に聞こえるような場所の下に拷問場所があるのかはよく分からない…分からない、というよりかは知りたくない。もしかしたらいつか私も…と考えてしまうから。

そんな話をしている間に今日もシトリンお嬢様を安全に朝食場所へ連れてくる事ができた。私はほっと息をし、シトリンお嬢様のイヤーマフと耳栓を外す。

「あ、着いた?」

「きゅう。」

「ありがと、うさぎさん!…ちょっと美味しそうに見えてきたかも…。」

「ぎゅゔ!?」

「あはは、冗談よ、ジョーダン!!マイケル・ジョーダン!」

「…きゅ。」

「そんな顔しないで?食べちゃうわよ?」

「きゅぅ…。」

本当に洒落にならないから勘弁して欲しい。本当に。貴方の発言ひとつで私は料理になるかもしれないし拷問されるかもしれない。…でも、シトリンお嬢様はそんな事は知らない。知らないままでいて欲しい。

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