『速記者と二階級の検定試験』
速記者が、日本速記協会の検定試験を受けました。実力よりも低い階級でしたので、余裕を持って受けることができ、間もなく全部を反訳し終えるというころ、次の朗読開始時刻が迫っていることに気がつきました。全ての受験地においてではないのですが、二つの階級を同日に受検できることがあるのです。
すると、実力以上の階級と、実力以下の階級を、二つ受けて、保険をかけながら挑戦ができるのです。
そこで、この速記者は、反訳を中断して、上の階級の準備に入りました。もちろん下の階級は捨てました。
上の階級を受けて、一月ほど後、不合格の通知が来ました。
目の前の、手に入りかけた小さなものを捨てて、より大きなものに挑む心意気は立派ですが、確実なものを押さえておいたほうがいいときもあります。
教訓:二つの階級が受けられるのは、東京だけである。