デザートアチーブ5
一般兵士の宿舎といえば大部屋に敷き詰められるように並ぶスチールラックと見紛うような狭いベッド。
それに硬いマットレスに毛布と相場は決まっているのだが、 の部屋は特別待遇だった。
「んー……」
ドアを開いて中に入る。
砂まみれだったので はひとまずシャワーを浴びてきた。
「……つかれた」
鍵付きの個室にセミダブルベッド。
小さな机にクッション付きの椅子。その横にはコートラックまである。
ホテル並みに豪華とは行かないが、その他大勢との格差は雲泥ほどあるだろう
もちろん電気も自由につけることも消すこともできる。
「とりあえず……」
ガミマルとは先程通路で別れた。何やら帰り道に特別な任務に就いていたと言っていたので、同じような部屋があてがわれているのだろう。
ベッドに腰掛けてブラシで尻尾の毛をすく。
「ふふ、ガミマル……ガミマル……」
不思議な響きだ。少なくとも の国の名ではないだろう。
明日は一緒に中佐に報告をしに行かなければいけないのは少し憂鬱だが、あの変なアンドロイドと一緒だと考えるとそれもまた楽しそうだ。
ブラッシングが終わり、満足げに「フンスッ」と鼻を鳴らす。
ベッドに潜り込んで は明日を心待ちにするのだった。
ーー基地倉庫。整理された物資の隙間にあるコンセントにケーブルを接続する。
「……」
青く光っていた視覚センサーが深い緑に変わる。
「まだ、わからない」
そう言って一体のアンドロイドはスリープモードへと移行した。