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喧嘩の行く末  作者: 胡桃
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大天使と呼ばれる彼女とは幾度となく大騒ぎを重ねてきた。大昔のように戦争こそしないものの、天使と悪魔の確執は厚い。


口喧嘩のような些細なものから、天界やら魔界の一部を破壊した大喧嘩まで実に様々。




『いつか膝を折らせてやる。』

「いつか地面に這い蹲らせてやる。」




そう顔を突合せて何百年か。

喧嘩を混ぜながらも交友していた─【友人】と呼ぶには少々難しい間柄だが─俺たちはいつしか隣に居ることが当たり前になっていた。彼女に引き寄せられるのだ。それは彼女にも言えることで、互いをみかけるとふらりと近寄り一言二言交わすのが常だった。知らぬ間に癖になっていた。


『あら、今日は寝癖が跳ねてるわ。お寝坊さんかしらねぇ?』

「そういうお前は口紅がズレてるぞ。男にでもやって貰ったのか?」


大体俺たちの一言目は皮肉や指摘から入って、喧嘩して、煽りあって。そしてそう空気の変わらないまま別れてしまう。別れた後は「なんなんだアイツ」とヤキモキし、次の瞬間には「まぁアイツだからな」と納得するのがいつもの流れだ。


例え彼女が完璧な状態で会ったとしても…俺はきっと悶着を作り出す。男でも出来たか、とか。今日は珍しくそれらしい失態が無いじゃないか、とか。本質は太古から変わりはしない。昔からそう、本質は悪魔だ。


天使と悪魔の違いどころか、ほかの悪魔と性質の違う俺を忌む事無く対等に扱ってくれる彼女が貴重で、愛おしかった。悪魔の愛など呪いに他ならず、潜めて潜めて飲み込んでばかりだったが。


彼女は未だ、俺のそばに居た。

彼女は天使の癖に優しい訳では無い。俺の扱いは雑だし、すぐ手が出るし、口は悪いし、汚い手口も使ってくる。そんな素をより強く感じられる彼女の存在が心地よい。


それは悪魔だとか天使だとか、そういう固有名詞を拭い去った、純粋な…好意、?あぁ、過去愛故に罪を冒し、禁書に名を連ねた者共もこんな気持ちだったのだろうか。分からないことだらけだ。それに、今の関係の【先】には罪しか無い。そしてそれを拭うには死しか待っていないことも。



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