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王子に婚約破棄された伯爵令嬢が若き総督と新たな国を作るまでのお話~悪いですが、この戦争、あなたの側の「謀反」ですよ~  作者: 森田季節


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最終話 新しい国作り

 副都が首都となり、名前が北都と改称されてから2年後。私は23歳になっていた。



 朝に娘の顔を見に、乳母のところに行ったのだが、その途端、娘に泣き出されてしまい、私はそれはないよと思った。


「ねえ、リーザ、あなたの母親は私なのよ。それなのに顔を見たら泣くってどういうこと?」


「あらあら、王妃様を人さらいか何かと勘違いしているのでしょうか?」


 乳母はリーザをあやしながら、そんなことを冗談で言った。

 リーザを妊娠しているのがわかったのは、アルファードが王に即位してから、間もなくのことだった。


 ある意味、ちょうどよい時期ではあった。もし、身重で中部の領主に協力を求めに行くことができなかったとしたら、歴史は今と変わっていたかもしれない。




 そのあと、私はアルファードが行っている「教育」に顔を出した。

 部屋ではアルファードが見守る中、王子となった息子のエリックが女性の教師から礼節の指導を受けていた。


「よいですか、王子。ドアの開閉だけでも、その方の品位がわかります。しっかりと振る舞いを学びましょう」


「う~、面倒臭い……。覚えることがたくさん……」


 エリックは完全にぐずっていた。あまり素直な性格ではないのだ。まだ6歳なのにすでに我が強い。


「エリック、ちゃんとしないと、父さんみたいな立派な王になれないぞ」


 エリックがアルファードのほうを見た。


「父上って立派だっけ……?」


 そのエリックの言葉に私は噴き出してしまった。

 たしかに気品のある王というのとはずいぶん異なる。この先、王国の歴史の中で優秀な王という扱いは受けると思うが、王らしさがあるかというと別だ。


「ちょっと、クラウディア! そこで笑うのはひどいんじゃないか?」


 アルファードに抗議された。


「いえ、子供は純真だからこそ正直だなと思ったんですよ」


「僕だって、なかなかの正直者だろう……?」


「そこは認めます。昔から王族とは思えないほどの正直者でしたね」


「そう、だから、正直なのが一番なんだよ。礼節なんてのは二の次なんだ」


「あの……陛下、礼節の授業の時に、そのようなことをおっしゃるのは、こちらの業務に支障が……」


 教師が困り顔で苦言を呈した。

 それはそうだろう。エリックのために礼節を教えているのに、それがどうでもいいというようなことを言われたら妨害になる。


「ああ、申し訳ない。そういうつもりはないんだ」


 だがエリックはこういうところは聞き逃さない。


「じゃあ、やっぱり礼節の授業はいいかげんでもいいんだ」


「こら、エリック、都合のいいところだけ聞くのはいけません! そういうことを繰り返すと性格が悪くなって、取り返しがつかなくなりますよ!」


 私ははっきりと注意をした。王になるかもしれない人間がずるい性格になるのはとてもよくない。それはまさに自分の身を滅ぼすことにもなるかもしれないのだ。


「はい……母上……。すみません……」


 エリックは素直に謝った。


「ええ。間違ったことはその都度、修正していけばいいんですからね」


「なんか、クラウディアに対してだけは従順な気がするんだよな」


 アルファードは愚痴っぽくエリックを見ていた。


「きっと、威厳が足りないから軽んじられるんですよ」


 私の言葉に礼節の教師まで笑っていた。








「はぁ、子育ては大変だな……」


 本当に疲れたという顔で、アルファードはベッドに倒れ込んだ。エリックが奔放な性格なのはアルファードもよく認識している。


「こんなことで大変と言っていたら、民衆から憎まれますよ。私たちは乳母に多くを助けてもらっているわけですし」


「そうだね。お世話になっている人にはいつも感謝してもしきれないよ。でも、今は子供の話は一度外に置いておきたいな」


 起き上がったアルファードは私をゆっくりと抱き締めた。


「何ですか? 今日は特別な記念日でもないのに、やけに積極的ですね」


「お世話になっている人への感謝は忘れないようにする。そしたら、一番に感謝しないといけないのはクラウディアだからね。これからもずっと愛している、美しいクラウディア」


「その言葉に正直でいてくださいね。殿方は年をとると、結局浮気したりするものですから。10年後に浮気相手が3人いるだなんてことになったら、承知しませんよ」


「そんなことないと誓う」


 アルファードが腕に力を込めた。


「今はウソじゃなくても、いつまでもウソじゃないようにするのは大変ですよ。それでもいいんですか?」


「大丈夫だよ。でも、この瞬間は、未来よりも今のことを考えたいな。今、クラウディアがすぐそばにいるんだから」


「それは同感です」


 私たちはじっと見つめ合って、それからキスをした。


 新しい国作りはまだまだ苦難の日々が続くだろうし、やることはたくさんある。王族は家族の時間だけをとれるわけでもない。


 それでも、アルファードとならやっていけると思った。


 私は幸せですよ、アルファード。



●終わり●

これにて最終回です! 本当にご愛読ありがとうございました!

このジャンルに挑戦するのは2度目なのですが、楽しんでいただけていれば幸いです!

もし、よろしければ、下の★のところなどで応援をいただけますととても励みになります!


まだ準備中ですが、できれば次回作も挑戦したいです!

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