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夫婦?いえ、兄妹です!  作者: 竜華零
2/5

1-A

 妹と同居――同棲? いや兄妹で同棲はおかしいな。

 そうだな、2人暮らし。うん、2人暮らしが適切な表現だろう。

 妹と2人暮らしを始めたのは、別に何か難しい事情があったわけじゃない。

 親が死んだとかでは全然ない。いわゆる不幸な事情は全くもって何もない。


 俺が一念発起して購入したマンションが、妹の大学から徒歩15分のところにあったからだ。

 ちなみに実家からは1時間半かかる。往復3時間。なかなかキツい。

 なので、理由としては本当に単純で気楽なものだ。

 10歳年下の妹が大学を卒業するまで面倒を見るという、ただそれだけのことだ。


「……? なに、お兄ちゃん?」


 引っ越し業者のトラックを表で見送った後、俺は何となく妹を見つめた。

 大学生だから、身体的にはすでに大人だ。

 ただ産まれた時から知っているだけに、いくら大きくなっても「幼い」という印象が抜けない。


「え、え。なに、私の顔に何かついてる?」


 妹は、ぺたぺたと自分の顔に触れていた。

 俺が何も言わないものだから、ゴミでもついているのかと思ったのだろう。

 何もついてないと言ってやれば良いものだが、しかしそれを言うとだ、見つめていた理由を説明しなけれりゃならなくなる。

 それはちょっと、いやかなり面倒くさかった。


「あ、ちょっと。どこ行くの?」

「…………管理人さんとこ」

「あ、ご挨拶? 置いてかないで~」


 小走りに俺の後を追いかけてきて、服の肘あたりを指先で掴んできた。

 妹の非難めいた視線は無視して、エントランス横にある管理人室のカウンターを覗いた。

 管理人は真面目にも競馬新聞など読んでいたが、俺の顔に気が付くとこちらを向いた。

 そして俺の背中から体半分を出してぺこりと頭を下げた妹を見て、どう思ったのかは知らないが。


「やあ、こんにちは。そちらの女性は……ははあ、奥様ですかな?」


 と、そんなことを言った。

 それが冗談だったのか本気だったのか、確かめる(すべ)も意味も無かった。

 問題は俺でも管理人でもなく、もう1人の方だった。

 これは俺だから気付けることだが、隣の妹から実に悪戯な雰囲気を感じたのだ。

 正直、嫌な予感がした。


「そうでーす! 新婚ですっ」


 そしてそれは見事に的中してしまった。

 妹は俺の腕に抱き着いて、実にイイ笑顔でそんなことを言ったのだ。

 これは面倒なことになる。管理人のニヤニヤした顔を見て俺はそう確信した。

 天を――もといエントランスの天井を――仰いで、俺は実に深い溜息を吐いたのだった。

真面目に1万字くらい書こうと思ったんですけど、とてもそんな時間はなかった。

なので早々に諦めて、短いのを重ねていくことにします。

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