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見た目は美少女、中身はおバカな女子高生の吹奏楽ライフ!〜オーボエを奏でる元野球少女〜  作者: 大橋 仰
コンクールへの道 編

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アタシたちの夏 後編

「ナツさん! ナツさん!」

「ねえ、ナツ! 大丈夫!?」

「おいナツ、しっかりしろよ!」


 武者小路さんとアンズとルイの声が聞こえる。


 アタシ、今、どんな顔してるんだろう?


 みんなに心配されるような顔をしてるのかな?


 ああ…… 顔なんて別にどうでもいいや。


 さっきは一瞬、心臓が止まったかと思った。




 司会者の口から聞こえて来た言葉、


『プログラム14番、



 愛媛県代表、



 東松山熟田津南高等学校』



 アタシはこの言葉を頭の中で、何度も繰り返した。



 間違いなんかじゃない!


 アタシたちは…… アタシたち東高吹奏楽部は……


 全国大会に、行けるんダァァァ!!!!!!




 まだ、周囲の歓声が鳴り止まない。東高吹奏楽部員の歓喜の声がこだましている。


「おい! お前らいい加減にしろ! まだ表彰式の最中だぞ!」

 剛堂ごうどう先輩の怒鳴どなり声が聞こえたと思ったら、周囲の歓声がピタリと鳴り止んだ。


 声の主、剛堂ごうどう先輩の顔を見ると…… 先輩は必死に涙をこらえようとしていた。


 でも…… いかに剛毅な剛堂ごうどう先輩といえども、溢れ出る涙を止める術は持ち合わせていないようだ。


 そんな先輩の顔を見ていたら……


 私も涙が止まらなくなった。


 そんなアタシを、武者小路さんとアンズが抱きしめてくれた。



 舞台の上を見ると、白鷺しらさぎ副部長が、観客席のアタシたちに向け、ほんの少しだけ握りこぶしを掲げた。


 それに応じたのは清風きよかぜ先輩だ。

 清風きよかぜ先輩は無言で右手の拳を高々と上げ、白鷺しらさぎ副部長に応えた。


 それはまるで、美しい戦女神いくさめがみが勝鬨をあげているように見えた。



 でも——


 右後方の座席からすすり泣く声が聞こえて来た。


 その声は清風きよかぜ先輩にも届いたようで、先輩はスッと右手を降ろすと、視線を自分の足元へと向けた。


 後ろから届く哀しみの声。


 それは、今日、一緒に競い合った仲間たちの声だ。


 きっとこの人たちも一生懸命練習してきただろうに……


 全国大会出場を目指して頑張ってきたのに……



 あれ? アタシはいったい、今、何を考えているんだろう。


 アタシは今、全国大会出場が決まって、調子に乗っているのか?


 同情と言う名の隠れ蓑を身にまとい、相手を見下しているのか?


 いや、違う。こんなことを考えるのは、きっと昨日の夜、先輩たちから去年のコンクールの話を聞いたからだ。



 あれはきっと、去年の先輩たちの姿だ。


 きっと先輩たちは、この悔しさを糧にして、1年間頑張って来たんだ。


 そして、先輩たちはつかみ取った。


 夢見て、努力して、待ち望んで、そしてやっと先輩たちは全国への切符を手に入れたんだ。



 なんだか、また胸が熱くなってきた。


 アタシも先輩たちと一緒に全国の舞台に立てるんだ。


 行こう、先輩たちと一緒に全国の舞台へ。



 アタシたちの夏は————


 まだ終わらない。

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