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見た目は美少女、中身はおバカな女子高生の吹奏楽ライフ!〜オーボエを奏でる元野球少女〜  作者: 大橋 仰
新入部員勧誘 編

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アンズの答え

「あのさあ、アンズ。話は変わるんだけど——」


 アタシとアンズは自宅へと続く小道を歩いている。

 アタシはアンズに、ここのところサチさんと一緒にやっている、闇のエージェント活動について話してみた。


 サチさんの言うこともわかるような気がするんだけど、一度しっかり者のアンズに相談したいと思っていたのだ



「へぇ…… ナツはサチ先輩とそんなことをやってたんだ……」

 なんだか考え事をしているような様子のアンズ。


「ねえアンズ。アタシがやってることって、みんなを騙してることになるのかな?」

 アタシは新入生の中から、吹奏楽経験者を探している。

 サチさんは演奏の上手い新人を早めに、かつ確実に確保したいと思っているのだ。


 でもアタシはサチさんから、『ジャンケンで楽器を決めることがないように』とか、『1年生にも早めに練習に参加して欲しいから』とか言って、真の目的は新入生に伝えるなという指示を受けているのだ。


「うーん…… あのね、ナツ。この件については、モモコとかに相談してみたら?」

「え? なんで。ひ、ひょっとして…… アンズってばアタシを見捨てるの!? アタシ、アンズに捨てられたら、もう生きて行けないよ!」


「もう、大袈裟だよ…… あのね、ナツ。実はその計画、去年の秋頃に私がサチ先輩に提案したものなの」

「……え?」


「もう、そんなバカみたいな顔しないの。あのね、去年の秋頃、サチ先輩が私たちの中学に遊び来たの。その時ナツは一人でマーチングの練習をしてたから、サチ先輩とは会ってないと思う。それでその時にね、新入生の勧誘方法についてサチ先輩から意見を求められたの」


 なんと! そんなことがあったのか?


「サチ先輩は絶対に全国大会に行きたいと思ってるんだって。だから実力のある新入生はもれなく入部して欲しいって言ってたの」


 へえー。サチさんはそんなに全国大会に行きたかったんだ。どっちかって言うと、剛堂先輩の方が全国大会への憧れが強いのかと思ってたんだけどな。


「でも上手い人に入部して欲しいという気持ちは、あまり前面に出さない方がいいんじゃないですかって、私は言ったの」


「ああ。楽器未経験者はお断りみたいな印象を与えるからでしょ?」

「うん、もちろんそれもあるけど。でも、それだけじゃないの」


「え、どういうこと?」

「私ぐらいのレベルの人が入部をためらうから」


「え、何言ってんの?」

「私は中学3年間、吹奏楽をやってきたけど、自分のことを全国大会に行けるぐらいの実力があるとは思っていないの」


「え、アンズってば、めちゃくちゃホルンの演奏、上手いじゃない?」

「それはナツが他校の演奏をほとんど聞いたことがないからそう思うだけだよ。これは謙遜じゃなく事実。悔しいけど事実なの」


 うーむ…… アタシはアンズの演奏ってすごく上手いと思うんだけど。まあ、アンズがそう言うんだからそういうことにしておこう。


「それでね、まずは情報を集めることが大事なんじゃないかなって思ったの。まずはじめに吹奏楽経験者の存在を把握する。次に見学みたいな形でもいいから、吹奏楽経験者に実際演奏してもらう。それで先輩たちが上手い新入生を早めに見極めるの。その後、その上手い人に対しては、積極的に勧誘すればいいんじゃないのかなって思ったの。積極的に勧誘するリストの中に、私が入れるかどうかはわからないけど……」


「う、うん。そ、そうだよね」

「もう…… 本当にわかってるの? ここまでは誰でも考えつくと思うよ?」


 え? そうなの?


「私はそれに加えて、さっきナツが言ってたみたいに、早く見学に行った方が有利になるようなニュアンスをかもし出すのも一つの方法じゃないですかって言ったの。それから吹奏楽経験者を把握するためには協力員のような人が必要だと言ったし。とにかく甘い言葉も混ぜながら、なんとか音楽室まで来てもらうことが大切だって言ったの」


 アタシの知らないところで、アンズはそんなことを言ってたんだ…… アンズって、なんかやっぱりスゴい……


「ちゃんと時間をかけて新入生の実力を見るんだから、結果的には、ジャンケンとかで適当に担当楽器を決めるようなことも無くなって、新入生にとってもいい方法だと思ったんだけどな。でも、ナツから見ると、嘘をついてるように思うんだね」


「そ、そんなことないよ!」


「もう、無理しなくていいんだよ? ナツの良いところは、率直に自分の考えを言うところなんだから」



 しばらく、アンズは無言でなにやら考えているような様子だった。そして——


「あのね、ナツ。もしナツが『闇のエージェント』だっけ? その役が嫌なら私が変わるよ?」


「もう、アンズってば何言ってんのよ? アタシは今、『ふっ、所詮しょせんアタシは汚れ役さ』にハマってるんだから。それで、アンズは別に悪いことをしてるわけじゃないって思ってるんだよね?」


「うーん…… 確かに勧誘の段階では、新入生に対して不誠実な態度をとっていると言えるのかも知れないけど。でも全体的に見れば、サチ先輩の選択はより多くの人のニーズに応えられると思うの」


 ……アンズの言うことはいつも難しい。


「それから剛堂先輩は、絶対無理な勧誘をしないって言ってたでしょ? 見学に行って、もし吹奏楽部が嫌だと思ったら入部を断ることだって出来るんだし」


「そうだね。剛堂先輩はいい人だから」

「剛堂先輩とサチ先輩とナツが団結したら、きっとすごい吹奏楽部ができると思うな」


 いやいや、アンズこそスゴイと思うよ。

 でもなんだかアンズの話を聞いてスッキリしたよ。


 あのバカなサチさんが、こんなにいろんなことを思いつくなんて、絶対おかしいと思ってたんだよね。なるほど、作戦を考えたのはアンズだったのか。なんだかホッとしたよ。

 だって、やっぱりサチさんにはずっとバカなままでいて欲しいからね。なんと言っても、サチさんはバカなアタシの姉貴分なんだから。

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