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95 住人を強化しよう!

 

「あの、シスター・ウサミン、一つ質問なのですが……」


「は、はい。どうされたんですか? カイトシェイド様」


 ダーイリダ卿と和解(笑)(かっこわらい)以降、また接待用ダンジョンは前のような賑やかさを取り戻し、診療所は今日も大忙しだった。


 徐々に、5階の隠し通路の情報が浸透してきたみたいで、先に進む者も増え始め、冒険者のけが人も増加傾向が続いている。


 一応、地下ダンジョンはモンスターも増えたので、突貫工事で20階層まで増やしているのだが、微調整はこれから。

 サーキュのヤツは20階層ボス、ということになっているようだが、それ以前の10階ボスであるゴブローさんが強すぎて、未だに誰も10階より下に進んでいない。


 大きなトラブルはまだ発生していないので、先に懸案事項である回復魔法の使い手がこの街から出て行ってしまう件について、聞いてみよう。


「実は、私がこのような無差別回復魔法テロを行っているせいで、この街の回復術師達が出て行ってしまうと、いう噂を聞いたのですが……」


「ははは! 旦那、『無差別回復魔法テロ』って凄い事言うっスね!」


 本来は冒険者でありながら、こちらの診療所も手伝ってくれているコギッツくんが、笑いながら俺達に入れたお茶をわたす。


「うふふ……本当に、カイトシェイド様っておもしろい人」


「でも、確かに魔法医連中はもう半分くらい他の町に行っちゃってるんじゃないっスかね~? ね、ウサミン姉さん」


 おぅふ……マジか~……もう半数近くが出て行っちゃったのね……

 気づかなかったわ~……


「あ、で、でも、あの、出て行ってしまわれたのは……その……法外なお金を取るような方達ばかりですから……」


「そうっスよ! むしろ、良心的な先生は結構残ってくれているんス」


 やはり、同じ魔法医でも、地域に根付き、固定の患者おとくいさまが居るような良心的な人は細々と仕事を続けてくれているらしい。

 あ、ありがたや~……!


「それに、若い魔法医なんかは、それだけだと喰っていけないからって、結構、冒険者を始めてくれているんスよ! やっぱり、パーティに回復役ヒーラーがいるといないのとでは、生還率が段違いっスから、俺達にとっては助かってるっス!」


 おお! そういう道に走ってくれた人も居るのか!


「このハポネスのダンジョンは浅い階層でも普通に生活していける程度は稼げるっスからね~」


「しかし……どうやら、私の活動が彼らの迷惑になってしまっていたようですね……」


「そ、そんなことありませんわ!!」


 シスター・ウサミンがかなり強い調子で俺の弱音を否定してくれた。


「た、確かにカイトシェイド様ほどの使い手は少ない……というか、ほとんど居ないんですけど! それでも、ダンジョンに潜ったり、たくさん『回復魔法』を使うことでレベルを上げたりして、少しづつではありますが、街の回復術師の皆さんも技能を上げているんです!!」


「そうそう、旦那の活動が良い刺激になってるんだぜ!?」


「……もし、仮に……なんですけど、私がそういった皆さん方に『回復魔法』の技能を伝授したとしたら、ご迷惑になりますかね? 多少本人の才能も関係してきますが、大概、四肢切断程度なら再生可能になると思います」


 その言葉に二人は、アゴの筋肉が同時に溶けたんじゃないかと思うくらい奇麗に揃って、ぽかん、と口を開けた顔を見せてくれた。

 

「そ、そんな……こと、出来るんでしょうか?」

 

「はは……だ、旦那……流石に冗談だよなぁ? え? ……冗談っスよね??」


 建築技能と違って『回復魔法』は汎用魔法でもあるから、こっちは、どちらかというと「ダンジョン・クリエイト」の技能を分けるというよりは、ダンジョン・ポイントそのものを使って、住人を強化する作業に近い。


 魔族を進化させるよりは、その人の本来持っている才能を開花させるだけだから、消費ダンジョンポイントは少なくて済む。

 まぁ、説明するより、体験してもらった方が早いだろう。

 ……ちょっとショッキングな体験かもしれないから、シスター・ウサミンは後の方が良いな。


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― 新着の感想 ―
[良い点] > その言葉に二人は、アゴの筋肉が同時に溶けたんじゃないかと思うくらい奇麗に揃って、ぽかん、と口を開けた顔を見せてくれた。 ( ゜Д゜)( ゜Д゜)  こんな様子が眼に浮かぶ様だった。
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