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71 勇者誕生計画!?


「ねぇ、結局、この子はハポネスへ連れ帰る、って事で良いのよね?」


「ああ」


 俺は、カシコちゃんの問いかけに頷いた。


「あ、ありがとうございます……」


「そりゃ、このままここに置いておいたら、お前さんの命も尊厳も危ないからな?」


 ボーギルがそう言いながら優しくルシーファの頭を撫でる。そのまま号泣してしまったルシーファを慰める様子は、まるで親子のようだ。


 ボーギルのヤツ、確かまだ独身とか言っていたから、また後でからかうネタにしよう。


 だが、俺達の中で話はまとまったとしても、ルシーファのヤツを連れ帰るには一つクリアしておかなければいけないことがある。

 俺としては、もういつでもカシコちゃんの【出戻移動リターン】で帰れば良いんだが、どうやら人間的には、勝手に戻れば良いというものでもないらしい。


「ふーん? じゃ、どうすれば良いんだ?」


「簡単よ、そんなの。勇者や聖女が確定すれば、守護天使はその人について行くのが普通だもの。だから、カイトシェイドさん、名目だけでも『光の勇者』やってあげなさいよ」


「ああ、それがいいな」

 

「「えぇぇッ!?」」


 思わず、俺とルシーファの声がハモる。


 元・堕天使のルシーファのお告げで、魔族の俺が、スゴピカ様の加護を得た『光の勇者』をやるの?

 何……その茶番……


 だが、どうやら、マジでそういうことになった。



「ルシちゃん……もうちょっと大人だったら箔が出たんだけど……まぁ、私のメイク術で何とかするしかないわね」


 カシコちゃんがガサガサと自分のポーチを漁りながら呟く。

 ……ふむ? 


「なぁ、ルシーファのヤツ……成長させるか?」


「ハァッ!?」


「そ、そんな事出来るのか?」


 ボーギルとカシコちゃんが目玉をひん剥いているが、一応、コイツは今、俺のサブ・ダンジョン内に居る生き物である。

 多分、体内に魔力を思いっきり注ぎ込めば、数時間程度は元の姿に近い状態に出来る……と、思う。

 

 天使に試した事は無いが、魔王城では、妖精族やインキュバスのガキから、時々『数時間だけ大人の姿にして欲しい』とせがまれたものだ。

 ……まぁ、滅多にやらなかったけどな。


 ダンジョン・ポイントを使った正式な進化は、流石にポイントが少なすぎて無理だが、ハッタリかます程度ならいけるんじゃないかな?


「わたしは構いませんよ」


 ルシーファの方も別に問題は無いらしい。


「もしかして、この背中の羽が羽毛だけじゃなくて、もう少し成長した翼になるくらいまでいけるのか?」


「本当はもう少し威厳が欲しいのよ。今だと本当に白い赤ちゃんヒヨコの羽みたいでしょ? せめて、幼鳥か若鳥くらいまで育てて欲しいわ」


 二人にそう指摘されルシーファは、少し気まずそうに、背中の羽をぴよぴよと動かしているが、確かに……威厳とは縁遠い状態だ。


「あの、成長させるなら、男性タイプと女性タイプのどちらにするんですか?」


「どういうことだ? それ?」


 ルシーファ曰く、天使や堕天使には特に決まった性別が無く、本人が仕えている相手次第なのだそうだ。

 相手が男を望めば男になり、女を望めば女になるらしい。


 へ~? 知らなかったぜ。

 あんまりホイホイ変更されるとしんどい、と言っていたが、ヤツが女の姿で居たのなんて見た事ないぞ?


 ちなみに、男性タイプだと攻撃系の魔法が得意で、女性タイプだと防御系の魔法が得意。

 なお、回復はどっちの姿でもいけるらしい。


「あー……だから、攻撃力重視な魔王城では常時、野郎姿だったんだな」


「ええ、魔王様のご趣味です」


 あそこは『直接的な強さこそが正義』だったもんなぁ。


「この神殿、破壊するんだろ? だったら男でいいよな?」


「ダメよ!」「ダメに決まってるだろ!」


「おぉ!?」


 ボーギルとカシコちゃんから同時にダメ出しされました。


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― 新着の感想 ―
[一言] 両性だったのね。
[一言] なるほど、このアホ天使もそういや被害者だったか たしか、主人公のお婆さんの守護天使で洗脳されて無理矢理打点させられた上に時折洗脳前の状態で魔王に犯され、直後にまた記憶いじられたりしてたんだっ…
[一言] ロリコンが釣れたぞ!!
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