44 ギルドと友好関係を築く!
「お前さんは目立つ御仁だから、ウチのギルドでもこの屋敷購入直後からの行動を少し探らせて貰っていたんだ」
そんな事してたのか?
「なんでまた……?」
「気づいてないのか? その顔の良さと金払いの良さだよ。街の商人共が、どこぞの御落胤か王族の隠し子か何かじゃないかと勘繰ってたんだぜ? しかも見た事も無いほど質の良い宝石に、支払いは金貨の中でも最も価値のあるエース金貨ばかりだ。」
な、なるほど?
つーか、金貨ってそんなに何種類も有るものなんだ?
これしか金貨は無いものだと思ってました……
「最近じゃ、マンドラニンジンなんていう高級素材の栽培に成功して、その金を何に使うかと思えば孤児院支援の慈善事業……ほぼ無償に近いような扱いで、貧乏人からは金をとらずに無尽蔵の『回復魔法』を施行し、人望も厚い。そのうえ、下働きや労働も厭わない」
人間から見るとそうなるのか?
「元々は、ダンジョン・エリアが俺の屋敷の敷地内だけだったからな。可能な限りその中に生き物が集まって欲しかったんだ。だが、今は、エリアをこの街全部に拡張した」
別にもう、回復魔法を使ってウチの屋敷に集める必要性は無いんだが、前の職場でも回復は雑用係の仕事の一環だったし、こんなのは大した労力じゃない。
それに、ネーヴェリクのご飯の為にも、献血の協力にはこぎつけたいし、この業務は結構好きなんだよな。
ほら、唯一、一般兵からは感謝される事があった仕事だったし。
「つまり、カイトシェイド殿からすると、この街の住人が増えて貰った方が良いんだな?」
妙に神妙な表情でボーギルが確認を取って来る。
「ああ。そうだな。俺としては、人間は子だくさんで、健康に長生きし、この街の中で死んでもらえば言うことはないな。あ、できれば魔力が多かったり、レベルが高いヤツが多いとより美味しいから、ダンジョンで鍛えて自分自身を磨いて欲しいし、人間以外の他種族もいろいろと居た方が好ましいな」
「つまり、街の発展に寄与する気が有ると?」
そういわれると、そういうことになるのか?
まぁ、早く街を発展させることはポイント増加にもつながるし、仮にあの脳筋魔王に見つかったら、まだまだ防衛機能が足りな過ぎる。
「まぁ、そうだな」
その一言で、結局、ここに冒険者ギルドとの正式な友好関係が結ばれたのである。
俺たちが魔族という事や、ここで話した内容は基本的に完全オフレコだ。
俺とボーギル、カシコちゃん、それに映像を見ていたであろうネーヴェリクの4人しか知らない。
「このダンジョンなら間違いなく『生きたダンジョン』認定は降りるし、ランクだってB-A級はカタイし、上手くすればB-S級だってで行けるぞ」
「何だ、そのB-A級とかB-S級って?」
聞けば、人間達のダンジョンの区分で『危険度ー報酬度』の区分けなのだそうだ。
大概は危険度と報酬度は同じクラスであることが多いのだが、ウチの場合は『危険度が少ない割に得るものが多い』という判断になるらしい。
危険度も報酬度もE→D→C→B→A→S→SS、SSSと大きくなっていくのだそうだ。
特に接待用の1~5階はD-S級という他に類を見ない激甘設定らしく、ここに慣れてしまったら他に行けない、とまで言われてしまった。
「あ、そうだ、折角だから冒険者の目線の感想を聞いてみたい。このダンジョンはどうだったんだ? 何か、直した方が良いトコロとかあるか?」
何気ない俺の言葉に、ボーギルは少し疲れたような呆れた様な眼差しをこちらに向けた。




