表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/197

04 四天王最弱、反旗を翻す



 コア・ルームで目覚めた俺は、『接待用の分身体』が、シシオウによって、瞬殺された事を把握する。


 膨大な業務を同時進行でこなすために、『分身体』一個体へ割り振った魔力量は決して多くはない。


 考えてみれば、それは当然の事。

 第一、「お茶くみ」や「トイレ掃除」のような雑用までが俺の業務。


 当然、そんな軽作業担当の『分身体』に満遍なく力を注ぐくらいなら、もう一人『分身体』を用意して、作業を分担させたくなるのが人情というもの。


 結局、一体あたりの魔力配分は小さくなり、紙装甲上等!

 筋力など、掃除が出来れば十分! 

 ……そんな、柔らかくて、ひ弱な『分身体』が、やたらと増える事になるのだ。


 しかし、今回ばかりは、『接待用の分身体』を紙装甲にしてしまった事に後悔が噴き出す。

 俺が瞬殺された後、あの場に居たネーヴェリクは……!?


 俺は『分身体』に意識を飛ばすことを忘れ、本体のまま時空袋を引っ掴むと、謁見室へとダンジョン内瞬間移動をする。

 俺の本体が魔王城を管理するための『コア・ルーム』から出てしまうと、全ての『分身体』の活動が停止するのだが、知った事か!!


 いくらネーヴェリクがアンデット族のヴァンパイアとはいっても、サイコロステーキ並に切り刻まれては、流石に命が危ない!




 謁見室に戻った俺の目に飛び込んで来たのは、腹部を大きく切り裂かれ、右腕と右足を失い、散々殴られたような痕のあるネーヴェリクが部屋の片隅でぐったりと横たわっている姿だった。


「ネーヴェリク!」


 俺は、彼女に駆け寄ると、急いで時空袋の中からアンデット用の蘇生薬を取り出すと、彼女の口に含ませ、再生魔法を唱える。


「……ぅ、……ぁ?」


 よし! 何とか、彼女の命を繋ぐことは出来たようだ。


「喋るな、ネーヴェリク! 今、治してやるから!」


 ここがダンジョン内……そして、彼女がヴァンパイアでなければ、恐らく助からなかった事だろう。


 しかし……この謁見室の中に居る誰もが、俺たちの事になど注目をしていない。

 

 部屋の中央部では、俺が日々整備していたおかげで、無事に発動している決闘用結界の中で、あのケモミミ男のシシオウと四天王筆頭・陰険メガネのルシーファが、互角の戦いを繰り広げていたのだから。


 すでに、魔龍族のマドラはノックアウトされ、紅一点のサーキュはリタイアしたのか、ダメージを受けたらしき腹部を押さえて観戦モードだ。


「すげぇ、流石ルシーファ様……!」「いや、あの、シシオウ様、だっけ? 異国で魔王を名乗るだけあるぜ!」「ああ、あのマドラ様とサーキュ様を倒して、まだあんなに動けるんだろ!?」「一応、カイトシェイド様だって倒してるぜ」「おいおい、アレをカウントに入れるなよ」「あんな雑用係、居ない方がマシだろ」「新たな四天王の誕生だ!」「シシオウ様万歳! 魔王様万歳!!」


 ざわざわと興奮し、盛り上がる魔族達の言葉に、俺は、怒りとは別の……もっと冷たい感情が広がるのを自覚した。


 こいつらは……いや、ここに居る誰もが、考えた事すらないのだろう。

 あの結界の起動にどれだけ繊細な魔力操作が必要で、維持にはアホほどの魔力量を補充しておかねばならず、それをいつでも・誰でも使えるようにして準備しておくことが、いかに労力を使うのかということを。


「ふむ、中々……見事な戦いだ」


 魔王は満足気に、決闘用結界を解除する命呪を飛ばした。


「よかろう。シシオウ、そなたは今後、余の四天王を名乗るが良い。そして、カイトシェイドよ。先代魔王様の顔を立て、今日まで面倒をみてやったが、貴様にはほとほと愛想が尽きた」


「ええ、魔王様、その意見には俺も同感です」


続きが気になる方はブックマークをお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ