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27 冒険者を釣ろう!


 俺は、その間にこっちのキツネ耳の少年に、もう一個確認したいことがある。


「あ、それと、君……」


「ん? 俺っスか? 俺、コギッツです」


「コギッツ君は冒険者だよな? この近くに『ダンジョン』が有るのか?」


 そう。もう一つの聞き逃せない情報はこれだ。


 『ダンジョン』には、生きたダンジョンと死んだダンジョンがある。

 違いは『コア』の有無。


 コアがあるダンジョンは生きているダンジョンだと言って良い。

 自然界では、魔素が溜まり過ぎると、勝手にコアだけが発生してしまうことがあるのだ。

 そこにある程度の知識のある『主』が居れば、コアに溜まったダンジョン・ポイントを使ってダンジョンそのものを成長させることができる。


 逆にコアの無いダンジョンとは、ダンジョンの跡地に野性の魔物等が住み着いたモノで、それ以上成長することはない。


 見分けるポイントはいくつかあるが、もっとも単純なのが「魔法石」の有無。

 生きているダンジョンだと、ダンジョン・ポイントが一定数以上溜まるようになると、これが勝手に路ばたにコロン、と転がっているようになるのだ。

 

 身も蓋もない言い方をすると「魔法石」とは、生きたダンジョンのフンみたいなものである。


 もちろん、ダンジョンがもっと成長すれば、主が躾け……もとい、どこのエリアに「魔法石を生み出せ」と指示を行うこともできる。


 この魔法石も『セーブ・エリア虫』と同じで回収しておけば色々と活用方法は多い。だが、なんせ生きたダンジョンを管理していると、掃除しきれないくらいぽろぽろ発生する。


 早いトコロ指示できるようになればいいのだが……たぶん、今の屋敷ダンジョンだって、しっかり探せば何個か転がってるんじゃねーかなぁ?


 数日前にオメガのヤツが、おはじき替わりにして一人遊びしてたし……


「ああ、ハポネスから南に進んだ黒の森ってところにダンジョンがあるんだ」

 

「そこでは、『魔法石』が採れる事がありますか?」


「魔法石? いやいや、知らないのかい旦那? そんな上等なアイテムが手に入るのは、迷宮都市のダンジョンまで足を延ばさないと無理なんだぜ」


 聞けば、迷宮都市とは、ココから片道だけでも2週間はかかる遠方の街らしい。

 しかも、魔法石は人間の街では通貨替わりに使えるほど価値のあるものなのだそうだ。


「あーあ、迷宮都市周辺の冒険者は良いよなぁ……この近くにもそんな優良ダンジョンが有ればいいのに……」


 彼のボヤキに思わず、笑いそうにひきつる頬を抑えるのに苦労してしまった。


 ほほぅ?

 何だ?

 もしや魔法石こんなもので冒険者は釣れるのか?

 

 それならば、地下にオーソドックスなダンジョンを作るのはやぶさかではない。

 やぶさかどころか、是非ともお越しくださいませ冒険者様! である……マジで。

 

 ほら、やっぱり高レベル者のポイント増加率はえげつない程おいしいですし?


「そうなんですね。それでは、こちらは午後の治療の準備をいたしますので、とりあえず、昼食を取りつつ一休みしてください」


「悪ぃな、旦那。なーに、午後にはきちんとギルドへ売りに行くのもきっちりこなすからな!」


 キツネ耳のコギッツくんが子供たちの世話に戻るのを見計らって、俺は、一旦接待の席から退席すると、2階の主寝室へと舞い戻った。



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