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20 ダンジョン・エリアを広げよう!


 俺は、コアをつるりと撫でると、部屋の壁に現在のダンジョン状況を映し出す。


「だ、旦那様……こ、この魔法は!?」


「ん~、この屋敷の管理魔法みたいなものだ。細かいことは気にするな。」


 見れば、奴隷たちやネーヴェリクのおかげでかなりのダンジョン・ポイントが溜まっている。

 今まではこの屋敷の中だけが「ダンジョン」だったのだが、これだけのポイントがあれば、「庭を含む敷地内全て」をダンジョン・エリアに成長させても問題無いだろう。


 俺は、ポイントを消費し、敷地の全てをダンジョン・エリアへと成長させた。

 まだ範囲を広げただけなので、見た目は一切変化がない。


 壁の画像は室内から庭のエリアへ切り替わっている。


「おお……」


「えーと、畑か……『ダンジョン・クリエイト:肥沃な畑!』」


 俺がダンジョン・コアに向かって魔力を注ぎ込むのに合わせ、雑草や小石だらけで荒れ果てていた庭の半分が、あっという間に開墾された状態の畑へと姿を変える。


 一応、木の根とか石とかは一か所に纏めておいた。


「な!? なんと……!」


 ベータが、何度も目頭を押さえながらその様子をまじまじと見つめている。


 これなら、ダンジョンからの魔素が畑に直接流れ込むから、普通の野菜や穀物がよく育つはずだ。

 魔王城にもこういった畑に少し似た『魔王樹』の果樹園が創られていたものだ。

 まぁ、アレはアホほど魔力を喰うからホイホイ植樹できるようなものではないが。


 しかし、これだけ直射日光が当たり、尚且つ魔素の多めな場所なら『妖天蚕マギ・シルキー』が好きな魔桑が育てられるんじゃねーか?


 『妖天蚕』とは、魔虫の一種で、彼らが蛹になる時に吐き出す繭からは上質な糸が取れる。

 この糸を織り込んで作った布は、物理防御力もソコソコ高いうえに魔法防御力能力が桁違いに高くなるため、かなりの高級品。


 ただ、このエサとなる「魔桑」が、自然界の直射日光が大好き! という特徴があるため、魔王城付近ではなかなか育成が難しかったのだ。


「なぁ、お前たちの中に養蚕の経験者は居るか?」


「どうでしょう? 確認してみないと分かりません」


「まぁ、無理にって訳じゃないが、養蚕の経験があるようなら、育てて欲しいヤツが有るんだ」


「は、確認しておきます。他にも何か旦那様が育てて欲しい野菜などございますでしょうか?」


 うーん? 特に食にこだわりは無いなぁ……


「例えば、故郷の作物など……」


 故郷の……あ、そうだ。


「じゃ、マンドラニンジンはどうだ?」


 マンドラニンジンは、魔力回復薬マギ・ポーションの主原料となる根菜で、魔力の豊富な土地でしか育たない。逆にいえば、魔力さえ豊富な土地なら、多少、手入れが雑だろうが、初心者だろうが、土に種を埋め込んで、水さえぶっかけとけば、ぐんぐん育つビギナー向けの野菜である。


 魔王城でも住民サービスの一環やら野良ドラゴンのフン避けやらで大量に作っていたから、種は、あの時空袋の中に入りっぱなしになっているはずだ。


 一応、あの奴隷商人とかに奴隷を購入する理由が「薬作成のための実験用」と伝えてあるし、何らかの薬品を作っておかないと不自然だろう。


「マンドラニンジンですか!? しかし、それをこの辺りで育てるのは少々難しいかと……」


「そうなのか?」


「はい。マンドラニンジンは『精霊の森』や『魔女の谷』と呼ばれる特殊な場所以外で育つことは稀なのです」


 精霊の森や魔女の谷とやらは自然発生的に魔素の豊富な地なのだろう。


「ふーん。まぁ、ダメ元でやってみてくれ。種はこれだ」


「かしこまりました」


 俺はベータにマンドラニンジンの種を渡す。


 その後、ベータが確認したところ、実家に住んでいた頃に養蚕の経験がある奴隷が居る、とのことだったので、魔桑の種も渡してみた。

 魔桑が無事育つなら『妖天蚕』の卵を時空袋から取り出そう。


 ……と、俺はのんびりと構えていたのだった。



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