82話 出発とやりすぎ
二頭びき馬車が納品され遂に海洋国家シーラへ出発の時がきた。
僕たちはシーラへいく道のりでなにか依頼がないかと昨日冒険者ギルドで受付のメイアさんに相談をしていた。
するとロンプオン村にある酒場兼冒険者ギルトに届け物をして欲しいとの依頼を受けた。
ロンプオン村はバルジリア王国から西へいったラミーレ平原にあり、南西にある海洋国家シーラへ向かう際の休憩地としても利用することができるようで、移動しながら依頼も行えるというは一石二鳥である。
ロンプオン村までの街道は整備されている10日ほどで到着予定となっている。
御者ができるのが僕とルイーズのみ。
「みんな最初は僕とルイーズが交代で御者をやるけど、ウェンディーとレニーも覚えてもらうよ!」
「ん!大丈夫!任せて!」
「師匠わかったっす。」
しかしレニーは基本料理をしてくれるので、割合としては少なめにやってもらうことになる。
バルジリア王国を出発して数日たつがのどかな時間が流れている。季節はまだ肌寒い季節であり、御者をやっていると冷たい風が身に染みる。今はルイーズが御者をしている。
「大丈夫?」
「はい!大丈夫ですよ。」
少し身を震えさせながらルイーズが答える。
僕かアイテムボックスから布を出しルイーズの方にかけてあげた。
「ありがとうございます!」
「どういたしまして!無理はしないでね」
「はい!」
うーんさすがにこのままだと寒いだろうし、今のうちに魔道具の構想でも練っておくか?魚を冷やす為のものも考えておきたいけれど、今は防寒かな。
えーっと毛布の代わりになりそうなものはいくつか持ってきている。
電気毛布をイメージしてみるのはどうだろうか?
それなら布の大きさを変えればひざ掛けのように使うのもいいし肩からかけるのも良し。寝る時も使えるしどうだろうか?
「じゃあこの毛布に・・・」
えーっと電気毛布って確かコイルみたいなのが入っていたよね。そのコイルの中に電気、雷属性の魔力を巡回させ熱だけコイルから放出されるようなイメージをする。
『錬成!』
おし!なんとかできたけど実際に使ってみないと効果はわからないな。魔力を込め実際に使ってみると・・・・
・・・
・・・!
「・・・幸せ」
うんいい具合に温かい。あとは持続時間だけどこればかりはすぐにはわからないだろう。
「ルイーズこれ使ってみない?」
「?なんですか?」
「御者は寒いから防寒できるものが作れないかと思って魔道具を作ってみたんだ!」
「防寒ですか?」
「うん!これ着ると暖かいよ!」
そういうと僕はルイーズにかけてあげる。
「これは・・・すごいですね。これまでの寒さが嘘のようです。」
その声を聞いたレニーとウェンディーが喰い付いた。
「なんすかなんすか?そんなに暖かいんっすか?」
「ん!暖かくなりたい!触る」
そういって二人が電気毛布もどきをさわる。
三人共幸せそうなゆるんだ笑顔になっている。
これコタツとか作ったら快適なのではないだろうか?荷馬車だから荷台にスペースはある。椅子に座るコタツのようなものを作れば荷台も快適になるのではないだろうか?いやまて・・・キャンピングカーのように居住性を確保した荷台にすればいいのでは?
魔改造すればいいのでは!?
そうだその手があったじゃないか!
なぜなら荷物を運ぶ為に購入した荷馬車ではないのだよ。(キリッ!)
そして僕はどのように改造していくのか?ひたすら考える、あーしてこうしてこうやってこうすれば・・・。
楽しい。これは楽しすぎる!自分の好きなようにカスタマイズするこの楽しさ。無意識に笑顔になってしまいそうだ。
これはあとから聞いた話だけど、その時の僕はなんとも恐ろしい笑顔だったらしい・・・。それを知るのは数日後のことだった。
僕は熱中しすぎていわゆる過労というものだろう。飲まず食わずで3日間作業をし倒れたようだ。
僕は自分で作った荷馬車の折り畳み式のソファーにもベットにもなるカスタマイズしたベットの上で寝ていたのだ。
「もう無茶しすぎですよ」
ルイーズに叱られてしまった。
「ん!無理だめ!でもありがとう」
「師匠に弟子入りしてよかったっす」
レニーは涙を流しながら答える。大げさだよレニー。
こうして魔改造キャンピングカーのような荷馬車が完成したのだ。広さは6畳ぐらいの広さだが、ソファーもあるしそれに合わせた高さのコタツもできた。ベットも一応4人寝れるように折り畳み式で取り付けることもできた。風も通らないようにしたし、馬に負担がかからないように荷馬車全体を軽くなるようにイメージし『錬成』しなおした。
これにより部屋に居ながら移動しているような快適性が出来上がったのだった。そして嬉しい誤算もあった。荷馬車が軽くなるように『錬成』した結果、道が悪くともあまり揺れなくなったのだ。つまり快適性が向上。
この世界には二つとない馬車が出来上がってしまったのだ。
サスペンションとかつけるともっと快適になるのではないだろうか?
そんなことを考えていたら・・・
「なにか考えていますね?今は休んでください!」
少しむくれたような呆れたような表情でルイーズに叱られてしまった・・・
「・・・はい・・・。」
今はこれ以上何も言えません・・・。
それからの道のりは、魔物が出たりはしたものの問題のない程度。
電気毛布もどきについてもルイーズに聞いてみた。すると一度魔力を流し込めば、4時間ほどは持つとのことだ!
それぐらい持つのであればこの世界での使い勝手は決して悪いほうではない。
人数分製作しても問題ないといえる範囲だと思う。
夜は荷馬車がキャンピングカーのように魔改造されたとはいっても基本的にテントやタープを張り野営という形をとっている。いくつか理由はあるが、魔改造といっても窮屈さはなくならない。外で寝るほうが開放的であり長い期間の旅行となると狭いところで長期間過ごすのは苦痛になるからだ。
それに料理は外じゃないとできないからね。
料理に関しては、やはりレニーが大活躍している。そして想定外とも言えるのがルイーズだ。
元騎士ということもあり、料理の下ごしらえは非常に上手い。そう下ごしらえは・・・・。
もう一度いう。『下ごしらえは』
聞くところによると騎士は遠征の際に料理のようなことはするようだ。しかし味付けなどはかなり適当だったらしく、材料の皮むきやカットは上手いのだがそれ以外は素人以下だったのだ。
その為、レニーの負担はやや少なくなったのはいいことでもあった。ウェンディーは・・・うん、料理したいといっているけれど、ウェンディーが作ったものは料理じゃないから・・・。
うん・・・毒物としてなら・・・。本人には言えないけど。
ウェンディーは少し不服そうだけどさすがに作らせたらダメだ!旅の途中となると尚更なにかあっては遅いのだ。僕はまだ耐性があるが、ルイーズやレニーは別だ。
知らず知らずに仲間に暗殺されるなんてあってはいけないことなのだ。
しかも無自覚だから手の施しようがない。最善なのがウェンディーに料理をさせないということになるのだ。
それからさらに数日たちロンプオン村に向けて馬車で移動している。しかし何かおかしい。
ロンプオン村に近づくにつれて、気温が下がっているのだ。これからこの地域は暖かくなるはずなのだが、妙に寒いのだ。もっと暖かくてもいいはずで本来ならばバルジリア王国と変わらない気候と聞いている。それなのに近づくにつれて寒くなっているのだ。
これはどう考えても明らかに異常事態といってもいい。
僕の第六感も警鐘を鳴らしている。
これから先不穏な空気と悪感情が渦巻く流れへと飲み込まれることとなるのだが、今の僕たちにそれがなんなのか?知るすべがないのであった。
いつも読んでいただきありがとうございます。
ついにお魚を求めて出発しました。しかしその中でテオが造った荷馬車が・・・。
自重を知らないテオでした。




