76話 内戦終結宣言
魔族を倒したテオ。
反乱軍そしてクラウス、レニー、ウェンディーと合流し、クラウス達が拘束している『皇帝ロンドパル』そして『フィランダ公爵』を反乱軍に引き渡し、ひとまずは反乱終結へとこぎつけることができた。
ストレチリアは引き渡された2人の前に歩み寄り話始めた。
「お父様、この者の口車にのり悪しき政治を行っていたことは間違いないことです。皇族として私にも非がないとは言えません。しかし既にお父様はこの国の皇帝としてふさわしくありません。退位を要求します。」
・・・ガクガクガク。
皇帝はなにも話をしない。というか何やら異様に震えているようだけど、どんな恐ろしい目にあったのだろうか?
「フィランダ公、あなたが行ったことは国の民を苦しめ、己の私利私欲の限りを尽くした行為。財産と領土の没収をし、廃位とします。」
・・・ガクガクガク・・・
「・・・こわい・・・許して・・・こないでくれ」
何やら上の空である。皇女が言ったことが耳に入っていないようだ・・・。
「ねえ!クラウス。あの二人なにがあったの?」
「ウェンディーがな・・・。『ヤンデレモード』になったんだよ!これ以上はわかるな?」
「えっ!あっ!うん・・・」
十分である。あの2人はこれと言って傷らしい傷はない。そしてあの状態を見ると察することができる。つまり【恐怖】。『ウェンディーヤンデレモード』に
心が折られたといったところだろう。
「ストレリチア様、これからどうなさいますか?」
ルイーズの父マキアが聞いている。
「うーん!そうだね。とりあえず勝利宣言をして、宴会じゃないかな?こういった状況だもの!これから忙しくなるし今だけは、少し浮かれてもいいんじゃないかな?」
「はっ!かしこまりました。すぐに準備をいたします。」
こうやって見ると普通に騎士に見えるんだけどなー。これがルイーズのこととなると・・・。
しばらくすると、広場で皇女から伝えたいことがあるということを聞きつけた住民たちが集まりだした。
何か何かとざわざわとしている広場。住民たちは落ち着かない様子でいる。それは当然である。これまで内乱が起こっておりどうなったのか?はまだ分かっていないものがほとんどなのだから。
多くの住民で埋め尽くされた時に広場中央に設けられた舞台にストレリチアをはじめ数名が登壇する。
その中には錠をかけられ拘束された2名もいる。それを見た住民達。広場はさらにざわめきだした。
「この者達は帝国を私利私欲の為に利用していました。皆も知っていると思います?この国の裏の姿を!貧しき者は重税を強いられさらに貧しくその日を生き残るのも容易ではありませんでした。そして貴族や一部のものは既得権益の亡者となり贅沢の限りを尽くしていたことを。」
「私たちはそれを変える為に戦ってきました。皆も知っているとおり反乱軍そして私は反乱軍のリーダーでもある『ストレリチア=トーライ』!トーライ帝国皇女である。そして本日、我々が勝利しました。」
周囲はさらにざわめき始める。目の前にいるうちの一人は皇帝陛下ということに住民は気づいている。ストレリチアは元々住民に人気の高い皇女であった。
親子で対立していたことを、初めて知った者が多いのだ。
「皆すまない。これまで皇帝陛下を止めることができなかったのは娘である私の責任です。私に力がなかったばかりにこのようなことになり国に混乱を招いてしまいました。許して欲しい。」
ストレチリアは深々と頭を下げる。すると
「そんなことありません。頭をお上げください皇女様」
「皇女様は何も悪くありません」
「私たちに頭を下げないでください。」
「ストレリチア様は今止めてくれたではありませんか。」
住民からそういった言葉が投げかけられる。
「皆ありがとう!これから帝国は変わる。いいえ変わらなければならないの!私もその為にできる限りのことを行い尽くしていきます。」
「帝国の悪しき支配は終わりました!これからは自由と平等の名の元に平穏で幸福な生活を約束します。ですから皆の力を貸していただけませんか?」
街中からあふれんばかりの歓声と拍手が沸き起こる。
「帝国が新しくなることを今日の出来事を街中、いいえトーライ帝国中に広めて欲しい。そして皆が幸せに笑顔で暮らすことのできるトーライ帝国を皆で作り上げていきましょう!」
この挨拶により本当の意味で反乱が終結。新しい帝国としての門出を迎えることとなった。
そして今夜は、宴会。そうこんなめでたいときには宴会だ。
皇女をはじめ街中の人を巻き込んでの大宴会となり大いに盛り上がった。
内乱は終結したものの、トーライ帝国はこれからが忙しくなる。
皇帝の不在により新しい皇帝の選出、腐りきった帝国上層部の処罰と再編。
この2つは特に急務である。
皇帝の選出には、反乱軍はもとより住民にも人気の高い【ストレリチア皇女】を推す声が大きいが本人は、自身の父が悪しき政治をしていたこともあり拒みに拒んでいた。
しかし、どうしてもという声が大きく周囲に背中を押される形で、皇帝に即位することとなった。
問題なのは帝国上層部の再編である。下手に悪に手を染めた者、その関係者すべてを処罰した場合、国の根底から揺らいでしまう恐れがあるのだ。
ある程度譲歩し、忠誠を誓う者、犯罪行為悪しきことに手を染めないことを宣誓させる念書に血判を押した者は階級を下げて国の運営にかかわることができるようにした。
そのようにしなければ国力の半減どころではない騒ぎになるのは目に見えていた。
国を運営した経験が全くない者だけで国を動かすのはリスクが高すぎる。
結果として、上層部で見るに堪えない横暴な態度や横領、着服をしていたもの以外は恩赦することとした。
戦よりも戦後処理のほうが大変というのは正にこのことである。
その後帝国の混乱は2週間ほどは慌ただしいものであったが、その後は収まる兆しが見え始め、トーライ帝国初の女性の皇帝として『ストレリチア=トーライ』の即位が正式に発表され、周辺諸国にも知れ渡ることとなる。
内乱終結から数十年後。
トーライ帝国は『幸せと希望の国』と呼ばれるようになるのであるがそのようになるとは今は知るよしもない。
いつも読んでいただきありがとうございます。
トーライ帝国での内乱が終わり、次回からはそれぞれの新たな道の始まりとなるお話です。




