6話 メリッサ再び
以前来たことのあるこの空間。
そう神という名の怠惰なメリッサという生物がいるという空間だ。
「今私に対して失礼なこと考えていたでしょ!?」
「そんなこと思うわけないじゃないですか」
そういいつつ頭の上から視線を下にやると。相変わらず残念無念な超絶壁な胸のパーツとのご対面でございます。
「今思ったことを口に出していってみようか?私心が読めること忘れてないよね?」
目元をヒクヒクさせながらにらみつけるメリッサ。
「いやー5年たってもここはあまり変わりませんね。」
とりあえずこれでここは乗り切ることとしよう。ここはということでこの空間全体、もちろんメリッサも含めて変わらないという意味合いでオブラートに包んでおこう。
「はあー。まあいいでしょう。今日は洗礼だったよね!?そのことで伝えたいことがあってここに来てもらったの。」
「能力の適正についてよ。」
「・・・適正。ですか?」
そういえば教会に来る途中の道のりで、メイドのリザとそういった話をしたっけ?
たしかリザは剣術才能があって、その中でダガーと相性がいいっていってたよな。
メリッサはドヤ顔で言い切った。
「全魔法属性!この世でただ一人の前衛魔法使いよ!」
腰に手をやりフンっと鼻息を出しながら、見たかと言わんばかりの偉そうな仁王立ちでメリッサが立っている。
全属性というのは素直に嬉しい。しかし、前衛魔法使いってなんだろう?この世でただ一人?レアっていいよね?魔法使いって後衛だよね?遠距離から攻撃する職だよね?なにそれ?前衛魔法使い?
「????意味がわかりません。」
「だ~か~ら!前衛魔法使いだよ」
笑顔で言われた・・・。違う違うんです。前衛魔法使いの意味がわからないんです。心読めるんだろそれぐらい察しろ。
「前衛魔法使いというのはどういった魔法使いなんですか?」
「そうねー。順を追って説明すると、全属性与えたでしょ?魔法使いたいっていってたからこのほうがいいかな~って。」
「それでね、それやったら魔法の射程が短くなったの。」
「短くってどれくらいですか?」
「最大2m」
「・・・今なんていった?」
「最大2mだよ。」
おいおいおい色々と突っ込みたいところ満載なんですが、魔法使いで魔法の射程が2mだと・・・。これ何かの冗談じゃないの?
そんなの剣もって戦闘するのと大して変わらない距離じゃないのか?
そんなことを考えているとメリッサは続けてこういった。
「大丈夫!!その代わり威力は通常の魔法使いよりも大きくなるようにしたから!」
ブイサインしながらいいきったメリッサ。
「射程2mって制限でちゃったから魔法の威力を上げたんだよ!なんと100倍の威力がでちゃいます。」
「射程が100分の1にまで短くなる魔法も多いし、それなら上げることができる威力を100倍にしてみましたー!」
「どう?嬉しいでしょ?」
いやいやいや。ちょっと待て。至近距離での魔法で射程2mで威力100倍とかやばくない?魔法使った僕が巻き添え食らいませんか?どこからどう突っ込めばいいんだ!
そう考えていたら心を読まれた。
「それも問題ないよー!」
「えっ!?」
「理斗今はテオだったね。テオには私の加護を与えているから問題ないんだよー。」
「どういうこと?」
「神の手という加護を持っているのは知っているよね?」
「うん。」
「あの加護がテオを守ってくれます。」
衝撃の告白。あの加護の意味がよくわかっていなかったんだけどここで役に立つの?
目を丸くした僕に対し、メリッサはニコリと微笑み仁王立ちでふんぞり返っている。