66話 ケンストロフの街で調査
ここはトーライ帝国。450年の歴史を持つ超大国の1つであり、軍事国家である。
「皇帝陛下よろしいですか?わしの言う通りにすればこの国は平和なのです。」
ある男が皇帝に対しそういった助言をしている。
「うむ。おぬしの言う通りで間違ったことはない。よきにはからえ」
「ははぁー。承りました。皇帝陛下」
その男はそう言い残し部屋を後にする。
「いかがでしたでしょうか?」
色白でキレイな顔立ちが特徴的な美男子が問う。
「たやすいものよ。今や陛下はわしの傀儡となっておるわ。」
ニヤリと不敵な笑みを見せながらそう答える。
トーライ帝国。
建国され450年。初めて国を揺るがす大事件がこれから起ころうとしている。
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テオ達一行はバルジリア王国を出発し9日が経過した。
現在、トーライ帝国領に入っており、とある街で休憩している。
トーライ帝国『ケンストロフ』という街である。
ここで休憩しているのには理由がある。もちろんずっと野営ということもあるのだが、一番は情報収集である。他国に行く以上、いい情報新しい情報が欲しい。そうなると帝都に近いほど正確な情報を得やすく、新しい情報も耳に入る。
そしてこのケンストロフという街はバルジリアから帝都に向けての道中で一番帝都に近く大きな街なのだ。
大きな街ほど情報が集まる。
「ここってランベルグと比べるとちょっと物騒だね!」
「っすね。さっき財布すられそうになったっす。」
「ん!この街キライ!」
僕の問いに対し、レニーとウェンディーはそう答える。裏路地に目をやるとボロボロの布切れを身に着けた少年少女達が力なく座っている。
情報収集をしたいんだけどどうしたものか?やはりここは冒険者ギルドからかな?
そう思い冒険者ギルドへと向かった。
依頼が張り出されている掲示板を見ているとある程度の情報が伝わってくる。
『奴隷商護衛任務』『盗賊討伐任務』『街の隅に住み着いた浮浪者の退去』『商人護衛任務』
詳しく内容を見てみると、主に人に対しての警戒が強そうな内容であった。
この辺りでは盗賊が活発に活動しているようだ。
・・・帝都ではないしこんなものなのかな?
「すいません!この辺りの依頼はなぜ護衛が多いんですか?」
僕は受付で聞いてみた。すると
「遠くから来られたのですか?最近この辺りは急に物騒になりまして、帝都マクダリアから多くの人が流入するようになってきたんです。その結果仕事がない者が盗賊まがいなことをはじめ、馬車を襲い、街中ではスリや喧嘩など治安も悪くなる一方なんです。」
獣耳のちんまりとした受付のおねえ・・・おじょうちゃん!?がそう教えてくれた。
・・・なんだかこれ・・・深刻じゃないの?少数ならば受け入れることはできるけど、帝都から住民流入となると相当多くの者がいるのではないだろうか?
「なぜそんなことになっているんですか?」
帝都で何かが無ければこんなことにはならないよね?
「・・・実は・・・。帝都で何かが起こるという噂がありまして・・・。もともと黒い噂はあったんですよね。」
受付のお嬢ちゃんはこっそりと教えてくれた。まとめるとこういうことのようだ。
帝都で圧制を敷かれている。貧富の差が激しい上に貧しい者への救済処置はない。しかし帝国の貴族は贅沢をし、税金を上げ民の生活はより一層苦しくなる一方である。
そんなときに反対勢力の活動が活発となり、近く何かが起こるという噂がある。
それを恐れた住民の多数が帝都を離れ、この『ケンストロフ』の街へと避難をしてきた。
しかし帝都ほど大きくないこの街は一部といっても多くの住民を受け入れることができるわけではなく、仕事にありつけないものは盗賊やスリなど悪行を行うようになり治安が悪化しているということのようだ。
「これはクラウス案件だね」
「?なんすかそれ?」
「・・・?どういうこと?」
レニーとウェンディーはよく意味が分かっていないようだ。
「ひとまずクラウスと合流しようか?話はそのときにね!」
二人はうなずく。
クラウスに事の事情を話す。
「~ということなんだけど、どう思う?クラウス」
「怪しいな。」
「だよね・・・。」
「バルジリア王国との会談は数か月も前に決まっていた。この会談のタイミングで何かが起こるということは国にとって得策ではないのは誰の目にも明らかだ。」
「クラウス・・・はっきりいうけど戻った方がよくないか?」
「それはできない。」
「なぜ?」
「まだ起きていないのに戻ったらどうなる?正式な文書もなしに会談を行わないとなると国の面子にもかかわる。約束を破ることになる。」
たしかにな~。クラウスが戻った場合、帝都で何か起きたなら問題はないが、帝都でなにも起きないとなると大きな問題になる。起きるか起きないのかわからない以上、引くこともできないということか。
「クックック!まあ面白いではないか」
おいおい!面白がらないでください。
「テオ達がいるなら問題ないだろう!?」
なにやら含みのある笑顔で僕に視線を向けてきた。
「師匠がいれば百人力っす!」
「ん!帝国・・壊す!」
・・・おい二人とも何を言っている。特にウェンディー・・・物騒です。そんなことしたら人外認定されるよ。僕らは護衛だ!
「今できるのは最大限の警戒をしつつ、何か起こると仮定しながら進むしかない。」
クラウスはそういい、渋々だが僕もうなずくしかなかった。
僕は宿に戻り、久しぶりのフカフカベットを堪能。これからのことを考えると頭は痛いが文句も言ってられない。
そうとなるとやるべきことはただ1つ!
ハクトとベットのモフモフフカフカの競演で英気を養う!(ドヤッ!)
これしかない。
疲れた僕の心をこのベットとハクトに癒されながら気持ちのいい眠りへといざなわれていくのであった。
ケンストロフの街をでて2日目の正午前、事態は急変し不穏な渦の中に飲み込まれていくこととなる。
いつも読んでいただきありがとうございます。
モフモフで身も心も癒されたテオでした。




