5話 洗礼を受ける
キレイなステンドグラスから降り注ぐ太陽の光が教会内部をより一層厳かに神秘的な場にしている。
ここはバルジリア王国にある由緒正しき教会であり、5歳になった貴族は洗礼を受けステータスボードを得ることができ、自身の才能を見極める場でもある。
そして、5歳になったテオはこれからその洗礼を受ける為教会内部へと脚を踏み出していった。
「ようこそいらっしゃいました。イシュタル子爵様、アメリア様、テオ様」
「本日ご案内させていただきますアンジェと申します。」
教会のシスター【アンジェ】が出迎えの挨拶をする。年齢は、まー52、3歳ぐらいだろうか!?女性に年齢を聞くのは失礼になるので、ここはグっとこらえて笑顔で対応しよう。
「こちらこそよろしく頼む」
まずは父が挨拶を返した。そして次に母、僕の順番で挨拶だよね。
「あらあらシスターアンジェお久しぶりね。あえてうれしいわ。」
「これはアメリア様。いつみてもお若くお美しいですね。」
「うふふ!もうアンジェったら口がお上手ですわ。今日は私のテオちゃんをよろしくお願いしますね。」
「お任せくださいアメリア様。」
これは日本でもよく聞く女性同士の心では想っていなくとも、お世辞という名のオブラードで包んですぐ解けると言われる社交辞令ではなかろうか!?
そしてついに僕の番だ。
「初めましてシスターアンジェ。テオ=イシュタルと申します。本日は洗礼を受けさせていただきたいと思っておりますのでどうぞよろしくお願いします。」
そう伝え一礼するとアンジェは、ビックリしたような表情をしその後笑顔で
「こちらこそよろしくお願いしますテオ様。」
と一礼し答えた。
それを見ていてうれしそうに体を左右に揺らしながら両手の指先を合わせ口元にやり話し出すのは、やはり母アメリアであった。
「アンジェ!テオちゃん賢いでしょう!?自慢なの!可愛いの!大好きなの。」
目をキラキラと輝かせながらアンジェの顔に顔を近づけ、アンジェの手をとり一心不乱に自慢し始める。
おい母上。最後になにか聞き捨てならない言葉が入っていなかったか?他人の前でそんなこと言われたら、男として恥ずかしいだろが。
僕の顔の温度が上がり赤くなっているのを感じている。
この母オープンに気持ち出しすぎだろう。
ここでもやはり父が助け舟を出してくれた。
「そろそろ洗礼場所へ案内してもらえるか?」
「はいかしこまりました。こちらでございます。」
シスターアンジェはそう言い、僕たちを洗礼の場まで案内してくれた。
「こちらで洗礼の儀を執り行います。テオ様準備はよろしいでしょうか?」
「もちろんです。」
「それでは神へ祈りなさい。さすれば神はあなたを祝福することでしょう。」
僕は片膝を床につけ、両手を組み神への祈りを始めた。
すると数秒後に、頭の中が真っ白になり見慣れた景色の場にいるではありませんか!
「あっ!!ここってまさか」
「パッパラー!おひさー元気してたかな?」
この聞き覚えのある声って・・・。そうそこは以前僕を間違って殺したという神メリッサと初めて出会ったあの空間だったのだ。