15話 10歳そして最終試験
家庭教師のクリス先生の訓練を受け月日は流れ僕テオ=イシュタルは10歳となった。
そして今は、『魔物の森』にいる。
なぜ、魔物の森にいるのかというとクリス先生との訓練の最終卒業試験を受けているのだ。
「テオくん。ここは危険な森だから周囲の警戒を怠らないようにね。」
「はいクリス先生。」
『サーチ(広範囲探査)』
僕はサーチのほうを展開した。このサーチの魔法は非常に相性がいいようだ。
前衛魔法使いの僕の魔法射程範囲は2m、しかしサーチという魔法は己を中心として周囲の魔物や魔力を感知する魔法であり射程0で使用していることになる。
そしてサーチの範囲は威力ということになるらしく『威力=効果範囲』と思っていいようだ。
簡単にいうと大きな威力で爆発させれば被害範囲が広がるイメージかな!
「テオくん周囲の様子は?」
「今のところ問題ありません。」
「気を抜かないようにね」
僕に向けてウインクをしながらそういうクリス先生。相変わらず寒気がするその行動に別の意味でサーチには引っ掛かりまくってますよ。クリス先生・・・。
それからしばらくは平和な時間が過ぎていたが、
「魔物発見!」
「北東、距離3キロ」
「うっふっふ!すごいわねテオくん。もうそんな距離までサーチできるなんてクリスしびれちゃう。」
「・・・・・・。」
魔物よりもこっちのほうが危険なんですけど・・・そんな可愛らしいポーズで言われても、あんた男だろ!!!
「ターゲットとの接触まであと2分。」
「テオくん準備はいい?」
「はいクリス先生。」
「わかってると思うけど、今は最終試験の最中。しっかり相手を見て自分で考えて戦闘してね。」
そうだ。今は最終試験。クリス先生の変態行動に気を取られている場合じゃない。そうこうしている間にターゲットを目視できるところまで距離が縮まっていた。
ターゲットは体長1mほどの白くモフモフとした触り心地がよさそうなウサギの魔物、頭から角が生えており、恐らくは『ホーンラビット』と言われるランクDのモンスターだ。
こういうことは基本が大事。よしまずは鑑定スキルで魔物を鑑定しておこう。
『鑑定!!』
「・・・。」
「・・・。」
あれ?もう一度
『鑑定!!』
・・・。なぜか反応がない。人以外に使ったことがないから知らなかったが魔物には使えないのか?
いや、そういったことは聞いたことがないぞ。
ホーンラビットと僕との距離が近くなっていく。もう一度やってみよう。
『鑑定!!』
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種族:ホーンラビット
HP:9 MP:10
力:3
耐久:4
敏捷:12
魔力:2
特殊スキル
なし
スキル
噛付き
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今度は成功。やっぱり『ホーンラビット』で合っていたんだ。
ステータスもやっぱり低いな。結構簡単に倒せる魔物みたいだしこんなものかな。
しかし、その身は非常に美味しく、鶏肉に近いさっぱりとした味で非常に人気があり安価なのだ。今晩の肉は君にキメた!!
素早さもあるようだし、今の僕にとっては余裕なステータスだけど、
『ウインドアーマー(疾風迅雷)』
風魔法を身に纏い敏捷性をアップ。
スパッ!!
「キュイーン・・・。」
僕はホーンラビットを瞬殺。
「ふうー簡単だったな。」
「さっすがテオくんね。相手が悪かったねホンラビちゃん」
ホンラビ・・・ちゃん・・・だと・・・。ビックリした表情でクリス先生のほうを見た僕。魔物になんて呼び方しているんだよ。ちゃんづけとか・・。しかも略したぞこの人。
ある意味クリス先生が一番の魔物ではなかろうか?そんな疑問を抱きつつ、
倒したホーンラビットをアイテムボックスに黙々と収納した。
最大射程2メートルの逆チート。鑑定スキルと相性悪すぎて使いづらいようですよ!?