12話 家庭教師
僕は客間の前に立つ。この先には僕の訓練を担当する家庭教師が待っているのだ。
いったいどういった方なのか?興味に耐えない。これから僕が強くなる為に教えを乞う方なのだ。
トントン・・・。
「失礼します。」
扉を開け客間へと入るとそこには父ウォルターに母アメリア、そして家庭教師と思われる人物がソファーに座り談笑していた。
「テオ来たか。」
「テオちゃんママの膝の上に座る?」
さすがに客人の前ではそれは失礼すぎますよ母上。
「いえ、僕はこのままで。」
と親子の会話を交わしたあとに家庭教師と思われる人物に視線をやる。えーっとこの方は男性!?だよね?なぜ化粧をしているのだろう?
視線に気が付いた父上は僕の視線の先に座っている家庭教師の紹介を始めた。
「テオ、こちらの方がこれからお前の家庭教師となるクリスチャン=ピエールだ。」
「初めましてテオと申します。」
一礼し頭を上げるとクリスチャン=ピエールがソファーから立ち上がり挨拶を始める。
「きゃあーーーこの子がテオくんね!か・わ・い・いぃ~!」
あれ?なにこのテンション。この反応。嫌な予感しかしませんよ。
「でしょでしょ!もうクリスったら見るねあるわね。なんたって私の息子なんですから!」
母上がクリスチャン=ピエールの発言に乗っかりキャッキャウフフしはじめた。
「もうなんでアメリア教えてくれなかったのよ。こーんなに可愛い子ならなんでも教えちゃうわ。」
これ・・・ダメなやつだ・・・。絶対にダメなやつだ。なんでも母上と気が合いすぎている。それに・・・日本でいう『オネエ』というやつじゃないだろうか?
「あのー父上これはどういうことなのでしょうか?」
恐る恐る僕は父上に聞いてみる。すると
「実は私たちとクリスは知り合いでな。テオの訓練と考えるとステータスのこともあり、よく知らない者に任せるのはいささか不安もある。」
「さらに訓練は魔法のみではなく格闘もやってもらう。」
詳しく話を聞くと格闘は敏捷性があり前衛として攻撃を受けるというよりも避けるほうが得意らしい。前衛魔法使いということを考えるとやはり避ける手段は持っておいて損はないし、耐久面での不安もあるということらしい。僕もそれには同意である。
ただ・・・人選が気になるんですよ人選が・・・。
もちろん力を入れて訓練するのは魔法。クリスは魔法使いで格闘術もたしなんでいるらしい。
余談だが、趣味はお花にお茶とクリス本人が暴露した。どうでもいいよそれは。
「信頼できる者で、強さも申し分のない者となるとクリスしかいないのだ!」
「やーねーウォルちゃんったら!信頼は嬉しいけどか弱い乙女っていってよね!」
・・・!!この人、父上のこと『ウォルちゃん』って呼ぶ人なんだ・・・。
父上に目を向けると顔が若干引きずっているのがわかる。
それを見ている母上はニコニコしながら楽しそうだ。
それに先ほど乙女って聞こえたような・・・乙女??
『『どの顔で言う!!!!』』
心の中で盛大にツッコミを入れてしまったではないか。いや言わずにはいられない。
見た目100%おっさんなんですけど・・・
ここは紳士として口から出そうになったその言葉は飲み込もう。
訓練は明日から始めるらしいが、母上に似ている性格のようで母2人を相手にするような精神的ダメージがありそうだ。
この家庭教師の特殊さを感じている。なにせ母上と話しが合う。どちらかを立てるというのではなく、同じベクトルで話が通じている以心伝心しているということが僕にとって非常に問題のあることでもあるのだ。
そしてテオは思う。切実に精神耐性が欲しいと。
濃い
とにかく濃いです。
いろんな意味で濃いです。




