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転生魔法使いは射程2メートル  作者: ひでんのたれ
温泉都市ユバスラ編
144/147

141話 母の冒険譚その3

私はアメリア。

今より害虫駆除を始める。

目標は妖魔の森に逃げ込んだ獣人たちが建てた街。人口およそ1500人程いるみたいね。

とある冒険者がこの街を見つけ、種族としても認められいない獣人は動物と同じ扱い。

いいえそれよりもひどい扱いをされることもある。獣人はなにをされても文句は言えない。奴隷として扱われるのは当たり前。


今のこの世界はそんなルールで胸糞悪い。


ちょっと話がそれちゃったけど、その冒険者が奴隷狩りと称して人を雇い獣人の村を襲った。逃げてきた獣人の男の子セペルの案内で村の近くまでいき、作戦を立て、今まさに作戦開始の時間が迫っているの。


「アメリアちゃん緊張しているの?」

彼・・・いいえ彼女はクリス。初対面での印象はよくなかったけれど獣人の村に対する、とある冒険者の行動に腹を立て、奪還作戦の話し合いをしているときに意気投合したの。


「してないよ。どうして?」

「ほらなんていうのかしら?アメリアちゃんって表情読めないのよね。」

「ありがとうよく言われる!」

「それはありがとうでいいのかしら?ほんっとうに面白いわね」



今日は新月。月の明かりに照らされた妖魔の森はなんとも幻想的で静かな森となっている。

しかしこの静けさが悲鳴に変わることを知っているのはごく一部の者しかいない。



深夜0時!


「さあ狩りの時間よ。」

私は気配を立ち、門番のような真似をしている男に向かい魔法を放つ。


『アイスショット(氷弾丸)』

先が尖った氷のつぶてを門番の男の眉間に打ち込む。


ドサ・・・。


声をあげることなく倒れ、一人また一人と倒していく。

その様子を見ていたクリスは


「まったく。可愛い顔してアメリアちゃんはえげつないわね。魔法といったら威力を上げたがる人が多いけど、正直そんなに威力が必要な相手ってそこまで多くないのよね。あの魔法自体は破壊力は高くないけど、連射性と貫通力を高めることで急所を狙い体を貫通させれば一撃で敵を倒せる魔法ね。」


そうクリスは正しい。アメリアの魔法は破壊力があるのではない。撃ちだす力を強めることで貫通力を高める。急所を狙えば即死可能。もし急所を外しても連射すれば狙われたものはハチの巣状態となり最終的には倒すことができる。魔力の消費も魔法の威力を高めるのと違う為、燃費がよい。


ようは同じ硬さの石を投げた場合、より投げる強さが強ければ当たった時の衝撃は大きくなる。


この投げる強さというものを強力にしているのがアメリアの魔法の特徴である。

そしてその威力はというと簡単に人なら貫通できるほどの威力を持っている。


新月に照らされた村のあちこちから悲鳴が上がる。

次々と崩れ落ちる、村を占拠しているとある冒険者から雇われた者達。


中には命乞いをするものまでもいる。


命乞い・・・なんて無駄なことを!

私はそう思う。


「た・・たのむ・・。命だけは・・・。」

冒険者に雇われた者の一人がそのように口にしたの。


「あなた方はこれから何をしようとしていたの?獣人を奴隷商に売り飛ばそうとしたのよ。それは死ぬよりも辛いことになる。そんな思いもせずに死ねるなら幸せよね?」

私は『アイスショット(氷弾丸)』を眉間に打ち込み痛みを感じさせることなく貫いた。


その後も次々と倒していく。なんとも手ごたえのない者達ばかりであり、5分も経たないうちに戦意喪失したものも多く、討伐というよりも単なる虐殺になってきたの。


攻撃を仕掛けてくる者には容赦なく死を!

命が助からないと思った荒くれものが同じ雇われた冒険者の女に辱めを受けさせようとしているものには、男性としての機能が不能となるようにそちらに『アイスショット(氷弾丸)』を放つ。そういった男にはこのほうが罰を与えるのであれば死よりもいいと思うの。


「ぎゃあーー!!!」

男が叫び声をあげる。そんな男に対し

「命があるだけましよね?」

といい、そこから視線を女性冒険者のほうに移し

「そこのあなたもこんなことになりたくなかったら悪いことには手を出さないこと!いいわね?」

「は・・はい。すいませんでした。」

その女の冒険者は涙ながらに感謝の言葉を述べた。


「首謀者の冒険者はどこにいるのかな?」

私は周囲を見渡し、戦意喪失しているものに居場所を聞き出す。すると


「おいお前か!俺の計画を邪魔した奴は!どうなるかわかっているんだろうな!」

「あなたがこの者達を雇い獣人の村を襲った首謀者ですね。」

「ああそうだ!それがどうした。」

「確認が取れればそれで結構です。さようなら」

にこりと微笑み。


スパン・・・

ボトリ・・・。


首と胴体が二つに分かれ転がり落ちた。

獣人の村の襲撃を主導していた者は討伐し、獣人の村での戦闘は終わったのであった。



戦闘が終わり獣人の村に入って来たウォルター、ギデオン、セペル。その光景を見て


「これアメリア一人でやったんだろ?すごいな・・・」

ウォルターはまさに開いた口が塞がらないような、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になっていて少し面白かった。


ならず者、そして雇われた冒険者で戦意喪失したものたちは捕らえられ、その後王都まで護送される手はずとなった。


「お父さん。お母さん。」

そういってセペルが両親であろう獣人の元へ走っていった。近くにはクリスもいる。

クリスは今回は捕らえられていた獣人たちの救出と護衛をしてもらっていた。


「「セペル!」」

親子で抱き合い涙ながらに無事を確認しあっていた。


「この度は誠にありがとうございます。この村の村長をしておりますトラバジと申します。」

「困っている人がいたら助けるのは当たり前よ!」

「しかし、我々は獣人。種族としても認められておらず動物、魔物と同じ扱いをされているのですよ。」

「うーん!?よくわからないけど言葉は通じるよね?」

「ええ・・・。それはもちろんです。」

「だったらそれでいいじゃない?話ができて仲良くできるならそれでいい!私はそういう人となら友達になりたいな。」

優しい笑顔で微笑みかえす。

それはまるでそれ以上の言葉は必要ないという優しく母性が溢れる表情で輝かしいものだったとその顔を見ていた獣人たちは後世に語り継いでいかれたという。



その日はそのまま野営をし翌日である。


「ウォルターこのままじゃだめよね?」

「だめとは?」

「獣人の人たちのことよ。また奴隷狩りのようなことが起きるじゃない?転々と住む場所を変えているみたいだしなんとかならないの?」

「そう言われてもな。獣人は種族として認められていない。取り締まる法もなく攫われても泣き寝入りとなっているからなー。」


「「「・・・・。」」」


「!!!!!!!」

私はいい案を思いつく。

「それなら獣人を種族として認めさせればいいんじゃない?」

「何を言っているんだ?」

ギデオンが聞き返す。

「だ・か・ら!人族と同じ身分というか地位?になるの?存在を与えれば?認められていないのがだめなら認められればいいってことにならない?」

「うっふっふ!なかなか面白いけどウォルちゃん」

クリスがなにか言いたいことがありそうな表情でウォルターを見る。

「無茶だな。さすがに・・・。」


「どうしてよ!」

私はなぜ無理なのかウォルターに質問をした。


「認める者はいないだろう。獣人は下等な生物という認識のものが多い。それを認めてもらうのは無理だろうな。」

「なにをいっているの?『認めてもらう』じゃないの。『認めさせる』のよ」

決定事項です。


「それはどれだけ難しいことか分かっているのか?」

「難しいからやらないの?」

「そういうわけじゃ・・・」

「この村の人たちの前で『これからも奴隷として生きてください』っていえる?」

「それは・・・。」

「じゃあやってくれるわね?」

「いや・・・だから・・・。」

「言い訳は男らしくないよ」

「・・・・。」


ウォルターは黙ってしまった。

そんなウォルターの肩をクリスとギデオンが叩き、無言でうなずいた。


ウォルターは心の中でつぶやく。

「アメリアが言っていることは間違っていない。間違ってはいないんだが無茶すぎるんだよ。(トホホ)」


ウォルターはその後、妖魔の森から戻ってから『獣人解放』を訴え一つの種族として認めさせる為に奔走することとなる。ときにはアメリアの助けもあった。


とある会議に参加していたアメリアたち。

貴族たちは


「強きものが弱き者、下等な生物を導くのは当然だろう。」

「力しかなく頭の悪いものは我々の奴隷でよいではないか。」

「獣無勢が粋がるでない。」

「弱いものは弱いものらしく分をわきまえろ。」


そんな言葉を聞いた私は体から『負のオーラ』と殺気を出しその場を支配する。

表情はいつも通りにこやかに。


「なるほどあなた方の意見はわかりました。ではこれからあなた方は私の奴隷ということでよろしいですか?」


「何を言っているんだ小娘無勢が!」

「強いものが弱いものをどうしてもいいのですよね?」

「そうだ!ゆえに口を開くな下賤なものめ。」


私はそのものの顔を掠るように『アイスショット(氷弾丸)』を放つ。

その貴族の頬はパックリと切れ血が流れだす。


「ヒ・・・ヒィィィ・・・。」


「今この場に私より強いものはいません。つまりあなた方の理屈でいえばここで私があなた方をどうしてもいいということですよね?」

笑顔とドス黒いオーラのコラボで周囲を威圧する。


「「「・・・」」」

貴族たちはその行動と言葉により誰も口を開くことができなくなった。

その場は私が支配した。その結果全会一致で獣人を一つの種族として認めるという決定がバルジリア王国の方針となる。


その後世界に向け発信。

ドワーフ、巨人、海人族、エルフなどの種族は賛同し、人族の国では、

『トーライ帝国』では、どちらでもいいといったスタンス。あまり興味がなさそうだけど無理やりどうこうするといったことはないみたい。

『リース国』では奴隷商が盛んな国である為、渋ってはいたけどリース以外はほぼ賛同ということになり表向きは賛同という形になっているようね。


次に問題となるのは定住できる場所ね。


獣人は獣人族として一つの種族として認められ、このときから奴隷として不当な扱いや奴隷狩りで各地を転々とする生活から解き放たれることとなったのであった。

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