モチベがね…
モチベーションが地の底です
10ページだと思っていたのに裏切られた…
エラー許すまじ
本日は二重投稿となり申し訳ありませんでした
垂れた針葉樹が多くなってきた。森の奥に近づいている証拠だ。どんどんと少女は森の中を行く。
戸惑い止まる様子は無かった。モンスターから姿を隠し、足音を消して歩く姿は彼女が冒険者なのだと教えてくれる。
蛇葡萄の実る茂みで彼女と彼女の兄の仇は出会った。運が良いと言っていいのか分からないが、蛇は目に傷を負っている。彼女の目的が果たされるか彼女の命が果てるか、この二つ以外の結末は無いと思われた。
少女は剣を構え無言でカラカラヘビへ斬りかかる。カラカラヘビは渇き笑いの様な音を出しながら剣をスルリとかわし、少女の体に巻き付いた。
グキッ、骨が折れる音が空気を振動させる。俺はアイテムボックスでカラカラヘビを収納した。ここから先は生物としての捕食が続くだけだ。
「満足したかい?」
「……何故ここに?」
「自己満足出来てなかったから」
折れた骨が痛むのかこちらを睨みながら彼女は
顔を歪ませる。
「お節介の続きって訳か。…さっきの、私を止めたときのと同じ力?だったらもう一度あの蛇出せるよね?」
それが意味するのは彼女の死だ。
「出してどうするつもりだ?」
「殺す」
「殺されるの間違いだろ?」
「いいから!早く出して!」
彼女が声を荒げる。握り締めた拳に嵌めたグローブから腕へと血が流れるのが見えた。
「また楽な方に逃げてるぞ」
今更な指摘。
「貴方には関係ない!」
自棄になった叫びのような否定。
「…俺を殺せば出てくるかもな」
「だったら…貴方を殺す」
彼女の剣と足首から下をアイテムボックスに収納した。少なくともこれで足を動かすことは出来なくなった。
「放せ!私は兄さんの為に殺さなきゃいけないんだ!」
「俺があの蛇を殺してやることも出来るが?」
高い所から落下させるだけで終わりだ。心情としてはあまり行いたい行為ではないが。
「嫌だ!」
「嫌だって…だだっ子みたいじゃないか」
「もう…もう生きていたくないんだよ…貴方でもいいよ。私が私を殺すのは許されないから…貴方が私を殺して?」
「見事な錯乱状態だ。口に出して願っちまったら自分を殺すのと変わらねぇだろ。」
彼女の目が虚ろになっていく。俺の力ではどうしよもない。そう感じた瞬間に心の天秤がやや傾いた。
「まぁ、俺も結論出せずにここまで来ちまったんだがら偉そうな説得は出来ねぇけど。……兄さんとやらに会わせてやろうか?」
「殺して…くれるの?」
「それじゃあ止めた意味が無いだろ。生きたままでだよ」
酷い激昂。この反応は予想出来ていた。
「出来るわけない!兄さんはあの時確かに死んでしまった!」
その反応に実にそっけない態度で言葉を返す。
「あぁ、そう。信じないならそれで構わない。こいつは徹頭徹尾お節介で押し付け続けるのも性に合わねぇ。」
彼女は戸惑った。死者ともう一度会うことが出来るなんて宗教観はない。この世界で一般的な宗教では最後の時に過ちは消え去り愛した人々が舞い戻るという事は示唆されているが、あの世だとか天国地獄みたいな死者の国は存在すると言われていない。
「…本当に出来るの?」
「ちょっとばかし危険なダンジョンに行かなくちゃならんがね。今すぐにという訳にはいかないが近いうちに可能になる。」
地獄に垂らされた一本の蜘蛛の糸、会えると言われれば縋るより他にないだろう。アイテムボックスはバグだがこの手段はチートだ。生命としての特大のズルだ。生き死に泣き笑いする事を軽んじる行為だ。
「何を…何をすればいい?」
「俺の拠点に引っ越してもらう」
この決断にいつか俺は後悔するのかもしれないと、この時俺は思った。
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ほのぼのmod、それはこんなモンスターが闊歩し殺さなければ殺される世界で和やかな日常を過ごす為に作られた追加システム。
こんな所でしなくていいのでは?という質問を乗り越えて意地で作られたほのぼの好きの為のほのぼの好きによるほのぼの好きのシステム。
ならばそのシステムにおいて死が歓迎されることはなく、死を克服するという禁忌が歓迎される。
故に産み出されたのが【霊薬】である。霊薬を服用し願えば死者が幽霊となって戻ってくる。実際は真っ黒なウィンドウが現れプレイヤーに選択肢を表示させるのだが、フレーバーテキストではその様になっている。
必要な素材は星一つとプレイヤー専用蘇生アイテムである天使の涙一つだ。星は用意出来るとして天使の涙は市場で流れることはない。近場で獲得出来るダンジョンがある。
【ロロトの秘密回廊】、適正レベル60の後半用のダンジョンだ。レベル1の俺が侵入すれば確実に命はない。
そんなダンジョンの目の前で考えることではないなと、苦い笑いを浮かべて居住まいを正す。
ダンジョンをボックスに入れて帰宅した。
入らなくてもいいよね。
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マゼリオンに頼んで作り上げた霊薬を与えるとポンッと少女から幽霊になったお兄さんがご登場
「んで、これが幽霊になったお兄さんね」
「何とも呆気ないです…」
「こんな簡単に死者を弄ぶとかマジ悪魔…」
「兄ざぁぁぁあん!!」
「いもうどよぉぉおお!!!」
感動の再開となりました。そこそこイケメンなお兄さんが妹さんに抱きつこうとしてすり抜けております。
「あぁと、見ての通り生前の姿ではなくこんなんなんだが…大丈夫みたいだな」
「お、恩にぎまず!」
「蛇にガブられた時は死んだかと思ったぜ!死んでたけどな!」
元気MAXな幽霊兄さんは白く半透明な訳ではなく、恐らく生前のものである姿を半透明にした状態になっている。足もある。
「その状態で普通に生きられないのは分かるな?」
二人はコクコクと頷く。下手すりゃモンスター扱いで騒ぎになる。彼女は町の人を説得する為に俺の事を口にするだろう。俺がこんな事が可能だなんて広がると面倒事になる。
二人に拠点に連れていくことを了承させボックスに収納した。
こうして自棄にシリアスだった顛末は、兄妹の喜びと力の怖さへの想像と変わり幕を閉じたのだった。
誰か私を励ましてください。
アイテムボックスチート過ぎて
何をやっても一瞬で片がつくんです