表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

良いもの拾った!

留まる所をしらないキャラ崩壊

何故だ!何故衰退してくれないんだ!

 アップデートで出来る様になったNPCとのキャッキャッウフフを終え次の場所へと行こうと思ったのだけれど、一つ忘れていた事があったのに気が付いた。


 バグモードになった二週目ではこれをやらなきゃ始まらないが邪神ちゃんの拉致だったが、次に外せないお約束がある。


 『ズゴゴゴゴッ』


「何をやってるんです!?」


「なんだこの光景…」


 何でも入るようになった魔法の箱、ポケットの入ったお菓子や小物、肩に掛けてた鞄を入れてもまだ入る。そんなものを手に入れたらどれくらい入るのか気になるよね?手当たり次第に石ころや土なんかも入れちゃえ!どれだけ入れてもまだ入る。


 え?じゃあこの木なんて…入った!楽しい楽しい魔法の箱、どんなに大きくても入るのかな?でも木より大きい物なんてここには…あっ、一つ有るじゃないか!


「ということで遺跡を丸ごと回収しちゃいましょうねぇ」


「私の寝室が……」


「え?封印されてたんですよね?寝室扱いなんです、この遺跡?」


「300年も寝れば…」


「えぇ…そういうもんです?」


 このゲーム元々自宅を建てる事が出来るシステムがあるんです。ただまぁアイテムボックスに限界があったんで建材は基本的に町で買える木だとかで実際微妙なオマケ要素だったんですけど、お察しの通りこんなにアイテムボックスが成長してくれたんで城だって建築出来ちゃうんですよ。


 んで、自由に建築出来るならあの素敵なダンジョンみたいなの建てたいよねぇ、あの建材どっかで手に入らないかなぁからのダンジョンから剥げばいいじゃんという思考。


 ゲームプレイヤーは悪事だと批判されない場所なら何時だって略奪を是とする生物。所有権なら200年以上も前に手放されてるんだし、拾ってるって事でいいよね!


「もののあはれ……」


「歴史的建造物の破壊とか悪魔です。」


「破壊じゃないよ、リサイクルだよ!」


 そんなに微妙そうな表情で見なくたっていいじゃないか。俺には半分ほど埋まってた建造物だから綺麗に引っこ抜けて爽快感があるよ。


「それじゃあ次は小人の国へ行こうか」


 道なりに行けば小人がこちらを引き留めるイベントがある。公式のPVだと小煩く高圧的に騒ぐ小人を主人公が大股に跨ぎスルー、ピギャピギャ騒ぎながら追いかける小人に仕方なく振り向く主人公…というシーンがある場所だ。


 実際のプレイでは本当にスルーしてしまうのも可能でプレイヤーが自分の行動を決めるという事が出来る。一本道じゃない複数の分岐があるマルチエンディングタイプのゲームならではの自由度だ。


「ヒャッハー、者共着いてまいれー!」


「「テンション高っ…」」


 げんなりしんなりお供を連れて遺跡から途切れ途切れに続く粗雑な道をクネクネと歩くと、やがて車が1.8台程通れそうな大きな道に出た。道は定規で引っ張った様に真っ直ぐで、深い森をずっと先まで割いている。


「見えてきた。」


「うわ、滅多に出てこない小人に本当に会えたですよ…。予言者かなにか何ですか、この人。」


「邪神捕獲出来る時点で…」


 前方五十メートルに小さな生物なワイワイと輪になってピギャピギャと喚いている。彼らの服装は目が痛くなるくらいにカラフルで小さな体であることにより発生する隠密性を著しく下げている。あれで生きていける自然界。ここはファンタジーな世界なのだと改めて感じる。


 小人達に用はあるのだがこちらから話し掛けるとマウントをとろうと小人達が非常に面倒なのでPVと同じくやれやれ系で行きます。


「おい、人間!待ちやがるデス!」


 真っ赤な服を着た少女の小人『ルナルナ』は小人族の国王の六番目の娘。格下との交渉は彼女が担当するらしく何時でも高圧的に物事を進めようとするらしい。人間は小人より圧倒的格下と確信を持っている彼らからしたらピッタリの人選なのだろう。少なくとも助けを求める立場になろうとその考えは変わらないらしい。


「貴方に私達を助ける権利を与えるのデス!ぺえぺえニヤケ顔を晒して喜ぶがいいデス。」


 ぺえぺえって何だよ。人間は特集個体以外そんな鳴き声は出しません。


「ごめん、僕塾があるから」


「ジュクとか言うのなんて知らないデス!ぴぇけぴぇけと頷きやがりなさいデス!」


 怒っています、といった態度で腰に手を当てこちらにビシッと指を指すルナルナ、周囲の小人も「そうだそうだ!」とか「頭が高いぞぉ!」とかピギャって囃し立てる。踏んだら面白い声出しそうだなぁ。あと、ぴぇけぴぇけってどんな頷き方?


「相変わらず小人してるですねぇ…」


 ラスボス様が見かねて俺の肩に乗り小人達に話し掛ける。


「とりあえず話だけは聞くですから、話たらどうです?」


「何よ偉そうに!毛玉のクセに!」


「け、毛玉!また言われたです!こんな愛らしいモフモフフォルムに何て言い草です!さっきあの子にやってた切れかけの電球みたいにチカチカさせるのやっちゃっうですよ!」


「どうどう、事実を言われたからって怒るなよ」


「事実じゃないですよ!次言ったら鼻に細かくした毛を詰め込むですよ!」


「分かったって、分かったから大人しくその絶妙にくしゃみを引き起こしそうな毛は捨てるんだ。くしゃみでぎっくり腰になる人だっているんだぞ。」


「分かればいいのですよ、分かれば!」


 猫じゃらしやコヨリより危険な物を捨てさせ改めて小人へと向き直す。一瞬視界に映った邪神ちゃんは立ちながら眠っていた、仕方ない長時間寝ると何時もより眠くなるもんね。300年も寝た後じゃ立ちながら寝てても不自然じゃないか。


「ふぅ、さてルナルナ用件を聞こうじゃないか」


「なんで名前を!?さてはストーカーでいやがりますね!」


「ほらお嬢ちゃん、ここに来るまでに採取した木苺だよぉ。」


「いい奴でやがります!だから2個!!2個くださいデス!」


「僕も欲しい!」「私も!」「俺もー!!」

「「「ピギャピギャーー」」」


「静かに出来た子には二つあげよう。」


「「「シーンッ!!」」」


 口で言ったら静かに出来てないぞ。


「はい、二つずつねぇ」


「「「わーい」」」


「チョロいですね、この小人達。」


 ボックスから出した木苺を合計15人に二つずつ分け与えると小人達はマイ水筒を片手にオヤツタイムに入りだした。口は悪いけどこういう姿見ると可愛いよねこの子達。


「それでどんな用件だい、ルナルナ」


「いい奴だから特別に教えてやるデス!塔の天辺の掃除の許可を人間に与えに来てやったのデス!」


「そうかそうか、お兄さんがやってもいいのかい?」


「仕方ないでやがります!やらせてやるデス!」


 あっ、こいつロリコンなんだなって顔でラスボス様が見てるけどスルースルー。ロリは恋愛対象じゃないんだよ、掌で転がせるのが楽しいから好きなだけなんだよ。


「そんじゃ、さっさと着いて来やがれデス!」


 駆け出したルナルナを先頭に小人集団が人間の駆け足程度の速さで道の左側の木々の間に飛び込んだ。肩にラスボスを乗せ片手で邪神ちゃんを引っ張って俺も後を追う。


 見失いそうになると立ち止まってくれるので森の中で迷子なんてことはないが、木の上から落ちてきた芋虫型のモンスターが道を塞ぐ。


 バグモードではない場合は死にそうになる度に小人達が罵倒しながら回復してくれるのだが、アイテムボックスでしまっちゃえばいいので簡単に小人の国へと辿り着いた。


 道中に生えていた木苺なんかの木の実を集めながら来たので会話もスムーズに行ってくれるだろう。一つだけ激渋コゴレの実なんてのを手に入れたし餌付けがちょっと楽しみだ。


 「ここが私達の国デス!畏れオノノクがいいデス!ダメダメいい奴人間には勿体無いデスが、存分に感動しやがるデス!」


 目の前に広がるのはドールハウスを沢山並べて造ったような町並み、人間が入り込むなんて事は考えられておらず大通りでさえ片足が入れば良いサイズ。されど人の目すら魅了する繊細な町並みは確かに畏れ多いと感じられた。


「あれが問題の塔か」


「お父さんが一ヶ月前くらいに登ったけど帰って来ないデス。デカイだけが取り柄な人間なんだからプォプォッと登ってお父さんの手伝いをしてくるデス!」


 目眩のするくらい細かな町並みの中に場違いと言わざる巨大な黒い塔、何処まで続くのかと空を扇げば雲を突き抜け果ては見えず。小人の願いは塔の天辺の掃除、具体的に言うと塔の上に住み着いてゴミを上からポイ捨てする猿のモンスターを排除すること。


 一言で言えば馬鹿だよね。高所恐怖症の人に軒並み死ねと言ってる様なものだよね。まぁ、ネタバレしてしまえば登らなくて済む攻略方法あるし、登らない人の方が多いし、バグモードの人はこんな風に黒塔回収しちゃうし何の問題もないんだけどね~


「また!?またですか!?」


「起きたと思ったのに起きてなかった……」


「たぶん、これが一番てっとり速いと思います」


 このバグモード使用のTASさんは凄いぞ、平均クリア時間80時間の所1時間30分でクリアするからな。道がない?おっけアイテムボックスから今出すわ。扉が開かない?あのフラグ建てれば封印弛むから扉回収するわ。道のりが長い?シーソー造ってアイテム上から落としてカタパルトして行くわ。


 端から見るとバピュン!(カタパルト)ズゴゴゴゴ(回収)の連打。驚異のロールプレイング率3%!極まってる人だと「Oh yeah!!」しか言わないからね。やけにエコーかける編集するから決意抱きそうになる。


「やったデス!クッソォオ邪魔な目障り黒塔が消えたデスゥ!!日照権とかのモロモロのクレーム処理が片付くデス!」


『『『『ヨッシャァーーー!!』』』』


 小人達の大歓喜、シンボル的なポジションで小人の国が出来る前から建ってるシナリオに大きく関わってくる建物なのに虚しすぎる。


「「「ピギャアー!!落ちるぅ!!」」」


「おっとミニゲームあるんだった。」


「命の危機をミニゲーム扱いです!?」


 大丈夫だって、ここら地面一体にアイテムボックスの入り口しくから。周りの小人やこの国ごと飲み込んじゃうけど有事だから仕方ないよね。ついでに体にボックスの入り口這わせて落下してくる小人を何人体で受け止められるかチャレンジだー。


「ほっ!ふっ!とりゃ!ふんのぉー!」


「ピギャ!?」「フギュ!?」「メリャナァー」

「ポントラメントフィーバーじゃー」


「本当にミニゲームしてるです…」


「これが生命の冒涜…邪神より邪神してる…」


 スコアは30人中12人、ぬぅパーフェクトには程遠いな。終わったので回収しちゃった諸々を元の場所へ戻します。ほら、この通り黒塔の跡地以外は元通り!


「……?何が起こりやがったデス?」


「楽しかったのじゃ!スリル満点じゃったのじゃ!もう一回!もう一回したいのじゃ!」


「「「もう一回!もう一回!!」」」


「HAHAHA、元気の良い子達だ!いいだろう!やりたい人は手を上げて!」


「「「( ・∀・)ノ!」」」


「私も!私にもやらせてデスゥ!!」


「オーケー!お兄さんに飛び込んで来なさい!」


「「「ピギャッハーー!!」」」


 あぁ、小人の雪崩が私に襲いかかる。次々とキラキラした瞳が楽しそうな事に突撃していく姿は何だかこっちも嬉しくなるね。


「蟻に補食される昆虫の姿を思い出すです。」


「ミツバチに蒸されるアレも…」


 地面にボックス這わせてー、今度は何度も出すのが面倒なので町を覆うようにぃー。え?町を覆えるのにさっきは何故やらなかったのか?ほのぽのmodでは【小人のお手伝い】というシステムがあってだね。


 よし、小人を上空から排出!大体百人前後!フルコンボ目指すぞぉお!


 小人の雨あられを眺め達観した顔でクーリングオフしたい…と呟いてたけどしーらない!



残念ながらうちの小人さん達は

楽しい事があっても増殖しません。

比べることも烏滸がましいですね。

土下座日常的にしてゲージ貯めてるんで

何をしても許される気がしたんです。

許してね!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ