第2話『その名は暴君!』
何処の世界も姉や兄は暴君なのです。
そして、色々と理不尽なのです。
ヴィンセンよ!ただいま絶賛移動中よ!
影を移動しつつ、隠れ家へ急ぐアタシ。
隠れ家には誰がいるのかしら?
魔界猫固有結界を抜けると、そこには巨大な木の形をした家が・・・
えーっと・・・
シ○バニアファミリー!?(最近の人は知らないかしら?)
こんなファンシーな隠れ家ってどーなの?
色々とツッコミどころ満載だわ!
もう、これ以上驚くことは無いわよね?
ドキドキしながら扉を開けると・・・
「遅い!!!愚図、ノロマ!!何時まで待たせるのよ!!!」
いきなりマシンガントークで罵られたわ・・・
「このあたしをこんなに待たせるなんていい度胸ね!!」
そこには剣呑な雰囲気の少女がいたわ。
身長128センチくらい、魔界猫らしい猫耳、そしてかなりの魔力。
しかし、胸は無いみたい・・・
見事なストレート体系だったわ・・・
「えーっと・・・、保護者の方は何処かしら?」
プチンと何かが切れる音がした後、アタシは家の外まで吹き飛ばされたわ・・・
「あたしがあんたの姉の”ネロ”よ!覚えておきなさい!!!」
まさかの姉でした・・・
だってあんな身長で、あんな体系の姉がいるなんて思わないでしょ?
そんなことを考えていると・・・
「何か失礼なことを考えてるんじゃないでしょうねぇ、殺すわよ!!!」
必死に首を振るアタシがいたわ・・・
恐ろしいほど勘が鋭いみたい・・・
体系の話はタブーっと、注意しなきゃ・・・
「あんたが使えるかどうかは実際の仕事で判断するわ!いいわね!」
へ?仕事?
疑問系の顔をしていると・・・
「あんたまさか、仕事がわからないとか言わないわよね?」
あぁんと睨み付けてくる姉・・・
「仕事って、結界の維持と封印の確認よね?」
恐る々聞いてみると・・・
「一応、覚えてはいるのね。じゃあ、あんたの仕事は北周りね!」
「え!?北周り!?」
そんな横暴な!!
”煉獄”の北半球と南半球は、それぞれ気象が激しく、南半球は灼熱地帯で別名”炎獄”と呼ばれる灼熱地獄、そして北半球はその逆に
氷雪地帯で別名”氷獄”と呼ばれる極寒地獄・・・
ちなみに、赤道付近は過ごし易い気候になっていて、主要都市はこの辺に集中しているわ。
そんなことより、姉はアタシに死ねと言っているわ・・・
恨みがましい視線を向けてブーブー文句を言うと・・・
「あんたが来るまで全部の結界を維持してきたのよ!当然じゃない!!」
それを言われると妹なので立場が弱いわ・・・
遅刻もしたし・・・
でもね、魔界猫だって”猫”なのよ!!!
寒いと死んじゃうわ!!
「何?まさか文句でもあるって言うの?口で言ってもわからないなら、体でわからせてやるわ!」
全身から魔力を噴出して襲い掛かってきたわ・・・
そして、何も出来ず、一方的に敗北するアタシ・・・
無理、4元素全ての精霊を同時召還なんてずるいわ・・・
「さて、ごめんなさいお姉様は?
ボロボロのアタシを踏みつけながら姉が言ってきたわ・・・
「暴君だわ・・・」
ぼそりと言ったアタシの言葉に突然笑い出す姉・・・
「アハハハハッ、よ~くわかってるじゃない!!そう、あたしの名は”ネロ”、”暴君ネロ”よ!!覚えておきなさい!!!」
まさか二つ名が”暴君”だなんて・・・
アタシ、いつまで生きていられるかしら・・・
打ちひしがれるアタシに「姉」は・・・
「あんた、さっさと冒険者ギルドに登録してきなさい!」
姉様の突然の発言に思わず・・・
「はぁ?」
突然の展開に理解出来ないアタシ・・・
「あんた馬鹿!、働かざる者食うべからずよ!!自分の食費は自分で稼げって言ってるのよ!!」
しょんなぁ・・・
ガックリと項垂れるアタシがいたわ・・・
気持ちを切り替え、装備を整えるアタシ。
鎧はレザーよね、そしてこの口元が出るハーフ仮面を・・・
武器庫から出てきたアタシを見た”姉”は、心底呆れたようにため息をついたわ・・・
この姿がお気に召さないご様子・・・
「あんた、何のクラスよ・・・」
アタシの職業を聞いてきたわ・・・
本来なら、”あの子”と一つになって魔法系クラスになるはずだったんだけど、半
分の存在のアタシは戦闘系クラスになるしか選択肢が無いのよね・・・
ばれたら殺されるかしら・・・
アタシの背中を冷たい汗が流れたわ・・・
「アサシンです・・・」
「あっそ・・・」
特に興味も無いみたい・・・
「何でアサシンで赤い鎧なのよ。目立つじゃないの!!」
どうやらアタシの装備が気になるみたい・・・
「赤いレザーアーマーと仮面ははずせません!!3倍早くなります!!」
力説するアタシ!
そんなアタシに姉様は・・・
「あんた馬鹿?」
姉様の冷たい視線が突き刺さります・・・
呆れを通り越したため息ひとつ吐いて、吐き捨てるように・・・
「好きにすればいいわ。終ったのなら、さっさとギルドに登録してきなさい!
やることはいくらでもあるんだから!!!」
これ以上姉様の雷が落ちる前に、逃げるようにギルドへと向かうアタシがいた
わ・・・
それでは次回にwねこぱーーんちw
やって来ました冒険者ギルド!
そこで待ち受ける者は!?
次回『真魔界猫物語』第3話 運命の出会い!?にねこぱーーんちw