4P;今
ようやく駿君登場です。
そして長い間書かなくてすみませんでした。
漢字が最近全くわからなくて文にたくさんあると思いますが、多目に見て下さい……。
「おはよー。」
朝の挨拶が交う学校で、私は千歳と校門の前にいた。
「放課後迎えに来るから、ここにいてね。」
念を押すように、朝から何度も言ってる事を再度言う。
「分かってるってば。」
「あっそ。ならいいけど。」
と言いながら顔の造りが良い弟は、高等部の女子からの熱い視線をはね退けて、自分の学校に帰って行った。
あれから。
つまり、叔父が亡くなって叔母が記憶喪失になった日から。私達姉弟は、叔父の葬式や叔母の世話で結局1週間程学校に行っていなかった。
早紀や谷先生からも電話が来ていたが、それに気付いたのは昨日の夜11時過ぎだった為、結局誰とも連絡を取らなかった。
約一週間ぶりの学校は、別に何とも感じはしなかった。
何も感じなかった自分が、他人ごとのように酷く可哀想に思えた。
「チロ!」
教室に入った瞬間、中にいた早紀が私を呼ぶ。
「おはよ。」
とりあえず挨拶をしてみると、早紀が大股で近付いて、
「何で来たの!?」
と言った。
さすがに言い過ぎじゃないですか?
「…先生から聞いた。何も出来なくてごめん。」
「そんな事ないよ。ありがとう。電話返せなくてごめんね。」
「忙しいってのはわかってたから、それはいいんだけど。それよりあんたに面会者。」
と言って、後ろにある自分の席を親指でクイっと指す。
そこには、男の子がちょこんと立っていた。
その子が近付いてきて、ポツリ言う。
「まさかまた名前忘れちゃいましたか。」
ぷぅっと膨れた彼が少し可愛いい。
「覚えてるよ。南 駿君でしょ。」
名前を言った瞬間、彼はパァっと笑顔になる。
うん、犬みたい。
「良かった、また忘れられてたら落ち込んでもう高等部に来れない所でした。」
くすっと笑う彼。
…あれ?
今…
「あっそう言えば…駿君何で中学生なのにここにいるの!」
横で早紀が
「何を今更」と呟く。
駿君は駿君でニコニコしてるだけだし。
「駿君、駄目だよ。これから授業があるでしょ?」
彼の背中を押しながら、教室の外に出る。
「ちょっ…先輩!」
チャイムまで、後20分弱。
「分かりました。なら放課後迎えに来ますから。」
と言って走って帰って行った。
「嵐が去った……。」
「モテモテだね。」
「止めてよ。」
体が重い。
頭が痛い。
心が苦しい。
「顔色悪いけど大丈夫?」
「んー、ダメかも。」
「おい。」
こんな会話が懐かしく、笑いが込み上げる。
「ふはは、大丈夫。休まないよ。ただでさえ最近休みがちで授業出てなかったんだし。」
自分の席に戻る。
こんなに椅子って固かったっけ。
机ってこんなに大きかったっけ。
隣の席ってあんなに遠かった?
一つ一つが不安になる。
「変わる」という事がこんなにも怖いんだ。
あー、やっぱり気持ち悪いな。
授業が始まるチャイムと同時にそっと教室を出る。
途中座りながらも、保健室に着く。
「失礼します。」
ノックをして入る。
先生は机に向かって仕事中だった。
私と目が合うと、少し悲しい顔をして『いらっしゃい』と手招きをした。
「2年の春野さんね。」
「えっ何で名前……。」
私は一応元気だけが取り柄だった為、保健室は普段出入りはしない。
多分これが初めてだと思う。
「あなたの事は最近、職員室では持ち切りよ。」
あー、だからあんな顔したんだ。
大人しく先生の机の前にある丸椅子に座る。
「それで。どうしたの。」
「具合が良くないので、少し寝かせて貰ってもいいですか。」
「…いいわ。一番右のベッドを使いなさい。」
お礼を言って立ち上がり、ベッドまで歩いてふと立ち止まる。
「先生。」
「なぁに。」
「先生ってお子さん何歳ですか。」
「今年の11月で2歳。」
「可愛い?」
「そりゃあもう。」
「…幸せ?」
「とっても。」
何でそんな事を聞いたのかはわからないけど、
目の前にいる人は幸せなんだ。
なんて素敵な事だろうと思った。
その後、ベッドに入った瞬間暖かい気持ちになりすぐに眠れた。
「で?こいつ誰。」
放課後。
バカな私。
朝あんなにも言われたのに、千歳が来る事を忘れてた。
昼あんなにしつこかった駿君が来る事を忘れてた。
肝心の私は、ガッツリ教室で友達と話して門まで来た。
そして気がついた。
門の両側の男子2人に。
2人同時に『遅い!』
と怒鳴られる。
あたしは友達に謝り、走って彼らの所に行く。
2人は自分の声を掛けた相手に、もう一人かけた相手が他にいるもんだから、驚いてポカンとしていた。
ねぇ。
あなたは今『幸せ』?
そんなの、今の私には答えられないけど。
少なくとも、私は一人じゃない。
今回もこんなヘボ小説を読んで下さってありがとうございました。
まだ未熟者ですが、どうか次もお付き合い下さいませ。
ありがとうございました。