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プロローグ
プロローグ
ああ、なんて綺麗なんだろう。深緑色の目をした男。くるくると踊るように辺りを見渡す。
上にも下にも闇夜にゆらめく光。宇宙にいるようだ、男は宙に浮く感覚に襲われる。しかしその足はしっかりと地についてる。
闇の領域が少ないくらいの光。地上の光はゆらゆらとゆれて、不安定だ。
男は自分が見えない、光を持っていないからである。ああ、見えない。男は闇夜に同化する錯覚を感じた。溶けていく。流れていく。男は今、闇夜となり光の隙間になっているのだ。
心地よい。この瞬間が続くことを願った。
しかし、夜はあける。
陽は夜を押しのけ、全てを照らす。
闇夜は陽に照らされて、男となる。
ああ、醜い。
大きな四角いモノがたくさん正体を現す、人々の姿も見えてくる。
朝だ。
悲しみの花をご遺体にそえよう。