選択
やっぱり短いですね…
携帯なので、見づらい方は申し訳ありません。
何かが瞼の向こう側で光っている。
その眩しさで、青年はゆっくりとその目を開いた。
起き上がってみれば、目の前では燃え盛っているものがあった。もはや元の形は崩れ落ちてわからないだろう。
青年はそれを眺めていた。
「昼の住人にしては珍しく胆が座っているな」
と背後からの声に、青年は驚きもせず、
「ええ、全て受け入れることにしてるんですよ」
苦笑混じりに、
「まあ、割りと驚いてますけど」
青年の答えはどこか他人事のようだった。
「ふむ…とりあえず、それはいいとしよう」
こちらも今の状況などどうでもよさそうだった。
「どうだい、君。体の調子は?」
青年は言われて気づいたようだった。
「…確かに今までのような重苦しさは感じませんね…それに、肌の色も…?」
青年の肌のいろは僅かに青くなっていた。まあ、それも本人でしか気づかないような程度だが。
「それと、首筋に咬まれたようなあとがあるのですが…これはどういう…?」
やはり一番目立つのは、その首筋にある牙らしきものの痕だろう。ご丁寧に二本ついている。
「ああ、君には夜の眷族の加護を与えた…私の単なる気まぐれだよ。」
「けんぞく…」
青年はそれきり黙ってしまった。
火が消える頃にはもう夜も深い頃だった。
そこでようやく沈黙は破られた。
「さて、整理はついたかね?ついていなくとも、君の答えを聞きたいな」
青年はまだ背を向けたままだ。
「答え…とは?」
「そうだな…夜の眷族の力は強大だ。詳しくは日々を過ごすなかで、自分で知っていくといい。今までの昼の住人なら…仕返しをするだとか、この世で最強になるだとか…ああ、借金を踏み倒すなんてのもいたね」
面白かったのか、どうやら笑いを堪えているらしい。
収まった頃に漸く。
「ふう…何をしようとも君の自由だよ。ただ、それを知りたいだけだ」
青年は背を向けているため気づかない。
そう言った人物の目は、それだけで狂わせるような魅力をもった力がこもっていた。
「そうですね…」
青年は少しだけ悩むようにかぶりを振ったが…
すぐに。
「貴女についていってはだめですか?」