Ⅸ
そしてその日、僕はちょっとした出来事にあっていた。いや、イベントと言うべきか。
「なんで、こんな目に……」
「仕方ないん。魔女坂委員長と梶原君が手伝ってって言ったんだからん」
と、隣に居る霙が言う。
本日も第1ボタンと第2ボタンがはめられておらず、黒い下着がちらちらと視界に見えている。
只今僕と霙は、魔女坂委員長と梶原君の2人のお願いで少し物探しをしていた。
魔女坂委員長が言うには、梶原君が体育倉庫に少し大事な物をどこかに失くしてしまったらしく探すように僕達にお願いしたと言う訳である。たまたま早めに学校に来ていた僕達を。
「それにしても、梶原君はどうして体育倉庫なんか行ってたのでしょうん?」
「確か……昨日副委員長は先生に頼まれて体育倉庫に物を動かしていた。その際に梶原君は物を運ぶのを手伝っていた。で、そこで物を失くしてしまったらしい。
家に帰った後、物を失くしてしまった事を気づいたらしく、今日の朝急いで来たらしい。朝来たら魔女坂委員長が梶原君を見つけて、仕事を頼んだ。
梶原君はどうしようか迷った。そして梶原君の事情を知った魔女坂委員長も困った」
そして、そこに僕と霙が来た訳だ。そして梶原君の物探しが僕と初雪に引き継がれた、と言う事である。
「まぁ、どんな物なのかは分からないけれど少なくとも体育倉庫には無い物のはずだよなぁ……」
こそこそと、僕は探していたのだが……。
「わっ……埃が……!」
体育倉庫はろくに掃除がされていないらしく、埃が多く僕は埃でむせる。
「わっ、埃がん……!」
どうやら霙も同じ被害にあっているらしく、激しく咳をむし返している。
そうしているうちに、
ガタゴト!
と、大きな物音が鳴り響いて物が落ちる音がする。
そして、眼が慣れて気が付いた時は……
「え?」
僕は霙を押し倒していた。
僕の手は霙の柔らかそうな大きな胸に押し付けられており、彼女の頬はうっすらと赤く上気しており、
「……えっと、れいやん。いくら私でも、胸に触られて冷静に居る自信はん……無いんですけどん……」
「えっと、僕も触るつもりは……」
そして、どうやって誤解を解こうかと思っていると、
「……何してるんですか?」
と女性の声が聞こえる。
見ると、扉近くには1人の女生徒が立っていた。
少し大きめの女子のセーラー服、そしてその下から見える茶色のセーター。流れるような黒髪に、染み一つない肌。気だるそうな紫色の瞳に、高校1年生とは思えない歳不相応な小柄な体躯。
うちのクラスの女生徒、妹尾綺理ちゃんがそこには居た。
「……まさか朝早く来たら、このような光景に出会えるとは……。
これは皆さんにお伝えしなくてはいけませんね」
「「あっ、ちょっと待っ……」」
僕と初雪は綺理ちゃんに止めるよう進言したのだが、
「私の事はお気になさらず……後は2人で頑張ってください」
「「ちょっと待ってよ、綺理ちゃん!」」
「だーれーが、綺理ちゃんですか。
では、お楽しみあれ。お2人とも、ごきげんよう」
そう言って、綺理ちゃんは倉庫の外に出て行ってしまったのでした。
そして僕達はそのまま、彼女を追って行ったのでありました。




