Ⅵ
昼休みに「いや、僕は参加する気はないよ」と2人に伝えて、2人はがっかりしながらも納得してくれて。そして、学校を終えた僕は家へと帰った。
「あ、おかえり、兄さん」
と、家に入ると僕の弟である芹沢秋人がそう言って来た。
芹沢秋人は、1歳下の潮中学に通う中学3年生の僕の弟。
僕よりも少し女性よりの可愛らしい顔に、茶髪の肩まで伸びる髪。僕より少し低い背丈に、派手な男らしい『漢』と言う文字が書かれた赤のTシャツを着ている。
「あぁ、ただいまだな。秋人」
と、僕も女の子と言っても然程問題ない彼にそう返答する。
「あ、そうだ。今日も兄さんの部屋に来てるからね」
「……了解した。今から会いに行くさ」
まぁ、あいつが来てる事は大体予想していた。
僕はとことこと階段を上り、自室の前へと来た僕は1つ小さく溜め息を吐く。そして、気合を入れて扉を開ける。
「おぉーい! 来たぞ、アリア!」
「もう兄様ったら。そんな大きな声出さなくても聞こえてるなの」
扉を開けながら彼女の名前を呼ぶと、中から女の子が現れた。
その女の子は、ツインテールの銀色の髪の髪型をした女の子だった。
王上院ハルリナの特徴である腰の細さ、白魚のように細い指を持つ。
狐を思わせる少し長細めな顔に、切れ目の藍色の瞳。平均的な背丈に、平均より少し大きめの乳房が、彼女の着ているゴスロリドレスの上からでも分かる。少し暑めのゴスロリドレスからでも分かると言う事はかなり大きいと言う事なのだろう。
そして、頭には神と同じ銀色の狐耳と、ゴスロリドレスの下から見える8本の銀色の狐の尻尾。
大人びた雰囲気に、人の視線を集める魅力たっぷりなフェロモンを放つ女の子。
子供ながら大人の魅力を漂わせるそんな不思議な女の子だった。
「兄様、おかえりなの。今日も遊びに来たなの?」
「あぁ、ただいまだな。アリア」
僕の従妹と言う”設定”になっている彼女、弟と同じ潮中学3年生の病院坂アリアがこちらを見ていた。
「毎日、毎日、来て疲れないか?」
「ううん、大丈夫なの。私は平気。私は兄様に会いたくなったから来てるなの。
だから兄様が気にする必要は何一つ、無いなの」
「なら、良いんだ」
「うん。じゃあ、兄様。今日もお話、聞かせてなの」
毎度毎度、しつこい事だ。
この病院坂アリアは毎度ここに来て、今日学校で何があったのかをお互いに話し合うらしい。
こっちの世界で初めて会ったのも彼女だった。海王霙と上野初雪の2人は学校が休みだったから電話やメールで大体の事情は知っていたが本格的に会ったのは休みが明けた後だった。しかし彼女は学校が休みの時でもこの家に来ていたので、彼女がこの世界で初めて会った、王上院ハルリナ候補と言える。
これが僕、芹沢冷夜が王上院ハルリナ候補だと思った3人の情報である。
果たして誰が王上院ハルリナなのか。
僕はそれを必ず突き止める。
僕はそう小さく心に誓った。
例え記憶を失っていたとしても。例え別人になって居たとしても。
それでも僕は、王上院ハルリナを見つけ出す。
だって、王上院ハルリナは僕の彼女で、僕は彼女の恋人なんだから。
病院坂アリアはひとしきり喋った後、そのままいつものように家へ帰って行った。最も、彼女の家は僕の家の隣だが。
そして弟と夕食を取って、王上院ハルリナに嫌われないようにお風呂で身体を洗った後、ベットで就寝する事にしたのであった。




