六
「まさか見破られるとは思ってなかったですよ。出来る限り、この素体での接触は避けておいたんですけどね」
七島戦ことエマン・マスターはそうあっけらかんとした態度でそう言っていた。
「まるで見破られたのが不服とでも言いたげですね。エマン。あなたの役目は本来、私達のサポートをするのが本来の役割なのに……」
「えぇ、本来の役割はそれが正しいです。でもね……」
そう言って、くるりとエマンは一回転回る。
「この度の、『恋人審査試験』は普通とは違うのですよ。何せ、今回の試験は王上院家の方が深く深く関わっているのですから。王上院家から直々に、芹沢冷夜には徹底的に邪魔しろって言われましたから」
「王上院家……」
それってハルリナの家だよな……。
王上院家。何となく思い出して来た。確か、かなり有名な金持ちであり、財政界にもかなり顔が効くとされる一家だ。
そうか。だから上野初雪こと、王上院ハルリナの時は彼自身が間接的に邪魔する機会が多かったのか。
「私の家……。それがこのゲームが私に、いや冷夜に厳しかった理由なのですか?」
「これでもですか?」
と、エマンはそう言って、懐から書類を取り出す。ぺらぺらとめくりながら、エマンは読み上げて行く。
「調べに対して、確かに君と彼女は中学3年から付き合っている。だがしかし、高校に入ってからの君と彼女の付き合いは、激減している」
「激減……」
嘘かと思って、ハルリナの方を向く。けれどもハルリナは何も答えずに、俯いていた。
どうやら正しいらしい。
「なんで……僕は……」
「多分、高校生活が大変だったから……。冷夜、高校生活に入ってからとても忙しそうにしていたから」
と、ハルリナが付け加えてくれていた。
高校生活と言う新生活。確かにそれで恋人同士の接点が減ると言う事も考えられる。
けれども、それは確かに重要な事は分からない。何せそれは記憶を失う前の僕だから。その記憶を失う前の僕に聞かないと分かりはしない。
「……」
ハルリナは黙りこくっている。何も言えないと言う事なのだろう。
「恋人と距離を取り始めたなんて、それは破局のカウントダウンと言った感じですよ。そして王上院ハルリナさんと結婚する事になれば王上院家を背負って立つのと同義ですよ? そんな人間がたかが環境が変わったくらいでハルリナさんと距離を取るだけの男が、ハルリナさんを付き合えるとでも?
じゃあ、お聞きします。
芹沢冷夜さん、あなたは本当に絶対に、ハルリナさんを幸せに出来ると言えるんですか?」
真剣に、エマンは僕に真剣な表情でそう聞いて来た。
それに対して、僕は……。
次回、12月25日0時、『七』を投稿予定です。
遂にあと2回です。これからも見てくれると嬉しいです。




