四
魔女坂黒猫。
うちのクラスの委員長、そしてエマン・マスターと思った人物である。結構、良く出来ている。
しかし、何か違う気がするんだよな。何がとは言わないが。
「あの、魔女坂さん」
「ん……? ちょっと待って」
そう言って、彼女はお客さんに失礼しますと言って僕達の元へ来た。
「何か用なのかい、上野さん?」
と、魔女坂さんがそう言って来る。きょとんとした顔で、ハルリナは魔女坂さんに真剣な表情で、
「魔女坂委員長、王上院ハルリナと言う名前に心当たりは無いですか?」
そう聞くと、魔女坂委員長は
「何か用なのかい、上野さん?」
と、先程とまるで同じ言葉を言って来た。しかも今度は感情がまるで籠っていない、ロボットのような目をして。
「……いや、良いよ」
「そう? なら良いけれども……」
そう言って、魔女坂さんはウエイトレスの業務へと戻って行った。
「……あれは」
ゲームとかで良く見た事がある。あれはNPCの見せる台詞の繰り返しである。
「間違いないわね、あれはNPCの台詞ね。つまり魔女坂さんはNPC、ノン・プレイ・キャラクターね。
あれにはエマン・マスターと言う感じがしないわ」
「た、確かに……」
「……駄目ね。振り出しに戻ってしまったわ」
……振り出し? 果たしてそうだろうか?
僕としては考え方は間違っていないと思う。そう、考え方は間違っていない。
分かりやすく言えば、計算問題で最初の仮定条件は間違っていないが、結果が間違っていると言う感じ。多分、過程が間違っているのだろうけれども。
どこだ? どこが間違っているんだ?
梶原君が無くした物を、梶原君と魔女坂院長に頼まれた事。
『Sette Isola』の魔女坂委員長のウエイトレス。
エマン・マスター。
……あれ?
「もしかして……」
この条件に合う人物が1人だけ居る。
その人物は会った事は無いが、存在は今まで十分に存在を示している人物。そして、もしかしてもしかすると、
「なぁ、ハルリナ」
「……ん? 何だい、冷夜君?」
「そよぎって、英語だとなんて言うの? 僕、英語には少し弱くて……」
「スター、よ。星のスターと同じ発音だけど、AじゃなくてIの方のだけど……。それがどうかしたの?」
……やっぱりか。じゃあ、ここで重要視すべきなのは、ちゃんと聞いておこう。
僕はそう思って、後ろを向いて魔女坂さんの方を向く。
「なぁ、魔女坂さん」
「……ん? なんだい、今度は君が用なのかい? なんなりと要件を言ってくれたまえ」
そう言う魔女坂さんに、
「『Sette Isola』でどう言う意味なんですか?」
と聞いたのだった。




