三
約61万人。それが47都道府県の中で一番少ない人の数である。そしてその県の人口密度は1平方km175人である。つまり、最も少ない県でもそんだけ人数が居る。そしてこの街は王上院ハルリナ曰く、約500平方kmらしい。つまり少なく見積もってもこの街に居る人の人数は……
「……87500人」
つまり約9万人。
その内、約1%がこの学校に通っているとしたら、エマン・マスターである可能性がある人物は、約900人。しかもこれがもう少し減る事もあれば、もっと増える事もある。
僕、芹沢冷夜はそれを思い、ちょっと多すぎる人数に愕然としていた。
「もしも1000人としたら、それは大変ですね」
上野初雪の姿で、王上院ハルリナはそう言っていた。
茶色の瞳に豊満な胸と長身の体躯。肌色の頬にほのかに上気する赤らびた頬。赤味がかったショートの髪。
今日着ているのは白いワンピースの上に黒いセーターを着ていて、その豊満な胸で第1、2ボタンが留められずに黒い下着がちらちらと見え隠れしている。今日も頭から兎の耳がぴょん、ぴょんと跳ねている。
今居るのはあの見抜く際のデートでやって来た喫茶店、『Sette Isola』である。
初雪はオレンジジュース、僕はメロンソーダを飲みながら、エマンの判別の会話を始めている。
「それにしても、またここに―――――――しかも今度は王上院ハルリナとして一緒に来れて嬉しいよ」
「私も覚えてるわ。ここはあなたが魔女坂委員長にデレデレしてた所でしょ?」
と、ジト目でそう言って来る初雪。
あぁ、確かにそうだったな。
ここに何故か委員長である魔女坂黒猫さんが来ていたしな。今日もどうやら居るみたいで、「ご注文はなんなんだい?」とか聞こえるし。
「うぅ―――――――!」
そう言って、ジト目で唸るようにして言うハルリナ。
可愛いのは可愛いけれども、何か怖い雰囲気がするのは気のせいじゃないだろう。
「何か、魔女坂委員長って良く居る気がするわ」
「えっ……? そうなのか?」
「うん。だって、喫茶店もそうだし。随分前の体育館倉庫だってそうだし」
あぁ、そう言えば……随分前にそう言う事件もあったな。
副委員長と梶原君が体育館倉庫で物を動かしている際、梶原君が物を探すように頼まれたな。その際、委員長も居たような。そして探している際に、海王霙とちょっとトラブって初雪であるハルリナと気まずくなった事があったな。
「じゃあ、もしかして―――――――――」
「えぇ、私は魔女坂黒猫さんがエマン・マスターだと思っているわ」
と、僕とハルリナはウエイトレスである魔女坂黒猫を見つめていた。
次回は12月4日0時投稿です。
段々と物語の終盤へと向かって行ってます。もう少しで終わりますが、これからもよろしくお願いします。




