二
「エマン・マスター……ね」
エマン・マスター。
このゲームの支配者とでも呼ぶべき人間。
そして、僕の記憶を戻す方法を知っている人間である。
「正確には機材を持っているね」
と、ハルリナが訂正して来た。
「記憶変換装置。こう言う場合を想定して作られた装置をエマン・マスターは使う事が出来るの。
そしてこの世界で記憶を取り戻さないと、冷夜。あなたの記憶は永遠に戻らない」
「えっ……! それってどう言う意味だい、ハルリナ!」
僕はそう言って、彼女の肩を掴む。すると、彼女はまるで沸騰するやかんのように顔の下から赤くなっていき、頭まで昇ると白い煙を出す。可愛い、めっちゃ可愛い。
「え、えっと! この実験では一分を一週間にする特別な薬を使っているんですよ。だから、現実時間に例えるとこの世界は、10080分の1で進行しているんです。約1万分の1で。
だから、その中で記憶の取り戻す期間と言うのは、約1か月。10800分の1だと、約5分だと言う研究結果があるわ。そして記憶を取り戻す機械は約5分使うんです。この世界の時間に慣れきってしまっている私達は、10分間はこちらと同じように時間が過ぎる」
「5分……」
つまり、現実世界に戻ってしまうと記憶を取り戻すリミットに間に合わないと言う事か。それに対してこの世界だと時間は十分にあるか。
「その研究結果って言うのは……」
「確かよ。前例があるから、私もこうやってログアウトを遅らせているんでしょうが」
「まぁ、確かに……」
前例が無くて分かったらびっくりだ。
と言うか、そんな事を覚えている天才的な頭にもびっくりだが。まぁ、彼女の天才性は良く知っているけど。
……ん?
良く知っている?
可笑しいな、彼女の事を良く知りだしたのは、3か月もないと思うんだが?
「……まぁ、さっさと見つけましょう。エマン・マスターはこの世界をより良く観察する為に、この世界に素体を使って観察しているはずです。さぁ、早くエマン・マスターを探しましょう!」
「は、はい!」
強く言い放つ王上院ハルリナを見て僕は少しびびった。そして僕は彼女に連れられて歩いていた。
と言うか、エマン・マスターは何処の誰なんだろうか?
次回は11月27日0時に、『三』を投稿予定です。




