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公園に行くと既に彼女は居た。
彼女はこっちを振り向くと共に、
「何で分かったの?」
と聞いて来た。もしかして自分が適当に選ばれてそれで当たってしまった、運で当たっただけかも知れないと思ってるらしい。
じゃあ、彼女が納得するように言ってあげよう。
「まず、最初に一人称。王上院ハルリナは普段の一人称は『私』、けれどもちょっと戸惑うと『僕』になっていた。
そして3人の一人称をしっかりと聞いていた。
3人の普段の一人称は、『私』や『私』だったけれども、君1人だけが『僕』って言っていたよ」
そう。1回だけだったら何かの間違いかと思ってしまったけれども、それを聞いたのは1回や2回じゃなかったので確信が持てた。勿論、それも本当に数回だが。
「2つ目。このゲームの最初、Emanことエマン・マスターに言われた事で思い出した」
「やっぱりそっちにもエマンさんから事情説明が……」
エマン……。
やっぱりそっちにも口止めが行っていたか。
ハルリナがこっちに真剣に自身の存在を強調していたら、もっと早く簡単に見つかっていたのだろう。だけども、あの言葉をハルリナが聞いていたら話は変わって来る。
「エマンは僕にこう言っていた。―――――――『あなたが見覚えのない3人は、あなたの恋人とあなたのクラスメイト2人を元に作った人達です。そして、あなたに3人とも好意を抱いています』と。
ハルリナはちょっと嫉妬症の人間だし」
「……仕方ないでしょ? だってこの身体、前の身体じゃないからちょっと恥ずかしいんだよ……。
それに恋人を他の女性に取られるかと思ったら、妬けちゃうよ……」
まぁ、確かに、な。
今の身体は元の身体と比べたら、少し違うし。
例えば髪の色や長さとか、肌の色とか。いつもの姿も前のと違って、ちょっと格好も恥ずかしいんだろうし……。
「だから、少し妬いていた君はちょっと他の2人と違って積極的な行動はしていなかったからね。それでね」
そう言って、僕は大きく息を吸い、
「最後の1つは、君からのヒントだよ。ハルリナ、君のヒントもとても良かった」
「そ、そうかい? 冷夜の助けになったのなら、う、嬉しい……」
僕がそう言うと、彼女は今まででは無いくらい笑顔で微笑んでいた。
多分、ハルリナは自分が役に立ったと言う事も思いたいのだ。本当に、楽しそうだな。ハルリナは。
うん。今まで以上に、好きになったのかもしれない。
「君がくれたヒントは、『島ヶ原』、『伊賀』、『阿山』、『月ヶ瀬』、『大山田』の5つ。その5つの共通点は、君が持って来た本にあった。
そう、あの日。2人で一緒に勉強会をしたあの日」
あの日。
彼女は5冊の本を勉強に持って来た。
けど、使ったのは4冊。1冊は勉学には使わず、しかもその本を借りていた。
その本は決して読書用に使われる本じゃない。
「あの日、君が借りてた5冊の中で勉強に使わなかった1冊。『地図帳―近畿編ー』。
調べたらさっき挙げた5つの地名はその近畿にある地名だった。そしてその近くに1つの地名があった。
そう、今の君の苗字である、上野がね」
そう言うと、王上院ハルリナこと――――――――――――――上野初雪はこっちを見て、
「ちゃんと……言いたかった。冷夜、見つけてくれて嬉しい」
涙目になりながら、そう言っていたのであった。
次回から1週間後に投稿予定に変えたいと思います。
11月6日0時、『8』をご覧ください。




